◆助けたい気持ちは大事だけど…
部下が悲しい顔して、こんな報告をしてきました。
「今期の売り上げが落ちたのは、
最近の物価高の影響で
お客様が買え控えをしているからだと思うんです」
もし、あなたが上司だったらどう答えるでしょう。
ある職場のA課長は、
「うん、わかるよ。
私もそう思う」
と答えました。
このとき、部下はどんな気持ちになっているでしょうか。
『上司はわかってくれた。
私だけがそう考えていたわけじゃなかった。
私は間違っていない』
と同情(賛同)してもらい嬉しくなります。
上司に対しても
『この人はいい人だ!ついていこう!』と。
◆同情(賛同)で起きる部下の思考
多くの上司はA課長のように賛同するかもしれません。
ところが、部下の頭の中はどうなっているかと言うと
『賛同してもらえるから、もう現実は観なくていいや!
間違っていないから、自分で考えなくていいや!
変える必要がないから、このままでいいや!』
と思考停止の状態に陥ってしまうのです。
上司も『私は部下の気持ちがわかるいい上司だ!』
と良い上司気取りになってしまいます。
これでは、上司も部下も問題解決のための
原因も解決策も考えられなくなる状態に。
◆部下が思考しはじめる上司の共感的な対応
一方、ある職場のB課長は、
「今期の売り上げが落ちたのは、
最近の物価高の影響で
お客様が買え控えをしているからだと思うんです」
と部下が報告してきたら、
「そうだったんだ。そう思うんだね」と
一旦、部下の考えを受け止めます。
すると部下は
「私のことをしっかり受け止めてくれた。
そうか、私はこういう風に考えていたんだ。」
と気づくことができます。
同時に上司に対して
『信頼できる人だ』という気持ちになっていきます。
◆自己対話こそ、自立の第一歩
その状態の部下に
「君は、どうしてそう思ったの?
それを考えるとどんな気持ちになるかな?」
と質問してあげれば
『どうして、そう思ったんだっけ?』
と自分の考えを探りはじめ
『どんな気持ちになったのかな?』
と自分の感情を感じようとします。
自分自身と自己対話をし始めるのです。
この自己対話ができることが自律の一歩です。
部下が自己対話をしながら
問題の原因や解決策を考えていくことが重要です。
このとき、上司の持つべき思いは、
『部下を支えたい。
あなたと共に進みたい』という思いです。
部下は『はい、やってみます!』という気持ちになってきます。
◆部下が不安な気持ちのときは
ただ、ときにはA課長のように同情することも必要です。
部下が不安な状態でいるときは、
B課長の共感的対応だと部下も心が折れてしまうこともあります。
部下の状態を見極めて、不安な状態なときは
「その気持ちわかるよ」と同情して安心させてください。
部下の気持ちが安心状態になってから
共感的な対話をしてあげましょう。
◆今回の質問
【部下が悲しい顔をして報告して来たら、どんな対応をしますか?】
次回に続けます!お楽しみ!
お問い合わせ、企業研修やビジネスコーチングのご依頼は吉田裕児公式サイトからお願いします。