開運童子のブログ -106ページ目

雨のあとに虹 その44

「おはようございます。」

久美子はひとみに言った。

「今日もがんばりましょう。」

ひとみはいつものように明るく言った。

「ひとつ聞いても良いですか?」

真剣な表情で久美子から言ったのでひとみの表情は驚いたようであったが

「どんな事なの?」

と言った。

「高村さんの事です。」

久美子が言うとひとみの頭の回転がスピードを増していった。

「高村さんのどんな事?」

ひとみが言うと

「人の恨みを買うような悪い人でしょうか?」

久美子が言った。

「どうしてそんな事を私に聞くの?」

ひとみが言うと

「店長なら何か大人の目線で見ているから解ると思いったのでものですからね。」

久美子は言った。

「どうして私が知っていると思ったの?」

ひとみが言う。

「最初に店長から親しくするようにと指示には理由がありそうでしたので!。」

久美子は言った。

ひとみは

「あれは失礼があったからお詫びのつもりで言ったまでよ。」

と言った。


「会長さん!」

声をかけられた手塚は顔を上げたるとえりが立っていた。公園の掃除をしていたのだ。

「船山さん。」

手塚は言った。

「お掃除なのにすみません。」

えりは言った。

「気にしなくて良いよ。」

手塚は言った。

「相談を聞いてもらえますか?」

えりは遠慮がちに言った。

「どんな事でも言いなさい。」

責任感が強い手塚が言った。

「最近困った事があって悩んでいます。」

えりが言った。

「何かあったのかい?」

手塚は優しく言った。

「人通りが少ない道であとをつけられ事が多くなりましたので何とかできないかと思い増しましてね。」

えりが言うと

「それはけしからん。」

手塚は言った。

「下着も盗まれた事があります。」

えりは恥ずかしそうに言った。

「それはわしも気になっていたよ。」

手塚は言った。

「何は良い方法はないでしょうか?」

えりが言うと

「近々に町内会でも対応策をとるから待っていなさい。」

手塚は頼もしく言った。

雨のあとに虹 その43

「国立の首都圏大学の経済学部を出て三友商事に入社した高村は順調にエリート人生を進んでいるように見えた。」

矢島が言った。

「何かあったのね?」

早苗は言った。早苗は矢島の次の言葉を待った。

「高村は今から12年前に入社12年目でロンドン支店長として海外赴任する事になった。」

矢島が言うと

「さすが高村さんね。」

早苗は言った。

「これは異例の出世だった。」

矢島が言うと早苗は

「私にも解るわ。」

と言った。

さらに4年後経営企画部長としての昇格をしている。」

矢島は言った。

「そんなに早く部長に昇格したの?」

早苗は驚いて言った。

「そのロンドンに赴任して半年後に婚約者の入江麗子さんが謎の死を遂げている。」

矢島は言った。

「原因は何だったの?」

早苗は言った。

「未だに不明だ。」

矢島は言った。

「不明って?」

早苗はさらに言った。

「警察は事件と事故の両方から捜査をしたようだが難航したみたいだな。」

矢島は言った。

「そんな事って!」

早苗はそう言ったままである。

「高村は小さい時から親や親戚などから冷たく扱われてきた。」

矢島が言うと

「それは聞いたわ。」

早苗は言った。

「高村は心の歪みを一切隠して表向きは青春ドラマの主人公のように爽やかさを出しているがどこかで人を信じない面もあるような気がする。」

矢島は言った。

「私もそれを感じていたわ。」

早苗は言った。

「入江麗子さんがどうして亡くなった事も原因かもしれないな。」

矢島は言った。

「麗子さんもかわいそうね。」

早苗は言った。

「高村が三友商事の部長にまで上り詰めたのに会社を辞めた原因がそこにあるように思う。」

矢島が言うと

「そうかもしれないわね。」

早苗は言った。

「あの件から高村は人並みの幸福には背を向けて生きているようだ。」

矢島は言った。早苗は矢島のは話を聞いていて胸が張り裂けそうに辛かった。

「最近は忙しいですか?」

喫茶店の奥の席で俊之は言った。

「クリスマスが近いからそんなに忙しくないよ。」

長島修一は言った。

「それでしたらひとつ相談がありましてね。」

俊之は言った。

「私で出来る事なら何でも相談に乗るよ。」

長島は言った。

「私の友人に建設会社の社長がいます。」

俊之は言った。

「建設会社とは興味深いね。」

長島は言った。

「長島先生のお力が必要になりましてね。」

俊之が言うと長島は

「もっと詳しく説明してください。」

と言った。

「友人は矢島と言う名前ですけどね。」

俊之が言うと

「ひょっとして矢島建設さんかな?」

長島は言った。

「ご存知ですか?」

俊之は言うと

「矢島建設は中堅の優良企業だよ。」

長島は言った。

雨のあとに虹 その42

 俊之が目を覚ましたのもいつもの時間より早かった。起き上がり周囲をゆっくりと見るとキッチンで久美子が何かをしていた。朝食を作っているのであろう?俊之には昨夜の余韻が全身に残っていた。久美子にも余韻が残っているだろうかと思いながら俊之は久美子の方を見た。

「おはよう。」

俊之は言った。

「おはようございます。」

久美子は言った。

「早くからありがとう。」

俊之は久美子が料理を作っているのを見て言った。

「もうすぐですからね。」

久美子は言った。

最初にサラダとトーストが俊之の目に映った。次にオムレツにソーセージが見えた。果物に珈琲もあったる。

「おいしそうだね。」

と俊之は言って表情を崩したのである。

 ふたりは俊之の部屋を出た。俊之は公認会計士の長島に会ってから矢島建設へ行く予定がある。久美子はトレンドカフェへ行く前に自分の部屋に行くのだ。マンションの玄関で町内会長の手塚昌弘と俊之の隣に住む主婦の糸田絹枝が立ち話をしていた。

「おはようございます。」

俊之が言った。

久美子が軽く会釈をして

「おはようございます。」

と言うと

「おはようございます。」

手塚は言った。手塚は気を使って久美子が横にいても意識しき過ぎないように振舞っていた。

「会長さんも朝から大変ですね。」

俊之が言った。それを聞いて絹枝が

「最近この辺に痴漢やストーカーみたいな変質者が出るので困っているのよ。」

と言った。

「そうですか?」

俊之は言った。

「先日も船山えりさんが誰かにあとをつけられたみたいですよ。」

絹枝が言った。

「何か対策を取らないといけないですね。」

俊之が言うと手塚は

「それの対策を考えていてね。」

手塚は困り顔で言った。

「それでしたら町内でパトロール隊でも結成しませんか?」

俊之は言った。

「それは良いアイディアだね。」

手塚は言った。

「さすが高村さんね。」

絹枝が言った。

「そんな大げさですよ。」

俊之が言うと

「首都圏大学を出ているだけの事はあるわね。」

絹江は言った。俊之は

「それはあまり関係ないですよ。」

と言った。

「早速町内パトロール隊の結成を協議しよう。」

手塚は言った

「僕も出来るだけお手伝いさせていただきますよ。」

俊之は言った。

「町内会で議決をはかってみるよ。」

手塚は言った。久美子はそんなやり取りを黙って聞いていた。俊之にはこういう一面もあったのかと改めて感じていた。

 矢島は社長室で珈琲を飲みながら

「高村の話の続きだけどな。」

と言った。

「聞いているとかわいそうになってきたわ。」

早苗は言った。

「幼い頃から親には放っておかれたらしい。」

矢島が言うと。

「高村さんは不幸だったのね。」

早苗は言った。

「夕方になって友達のお母さんたちが迎えに来るのを高村は羨ましく見ていたそうだ。」

「僕は向こうの喫茶店に行くからね。」

俊之は言った。久美子は

「今夜にでも電話します。」

と言った。ふたりは駅前まで来たのである。久美子は部屋へ帰ってからトレンドカフェに出勤である。俊之は公認会計士の長島修一に会ってから矢島のところへ向かうのであった。部屋へ急ぐ久美子を俊之は見送ったがすぐに足早に歩き始めた。これからふたりの1日が始まるのだ。