雨のあとに虹 その38
店に久美子が入って来た。純子が先に久美子を見つけて右手を上げた。純子を見つけて久美子は席に着いた。久美子は純子の目を見た。純子は久美子の目がいつになく真剣で深刻なのに気付いた。
「どうしたの?」
純子が言った。久美子は考えてから
「純子は私より男性に詳しいよね?」
と言った。
「それは当たり前よ。」
純子は言った。
「相談があるけど良い?」
久美子が言うと純子は
「久美子より経験があるから何でも聞いてよ。」
と冗談交じりに言った。
「真剣に考えてよね。」
久美子は言った。
「男がらみなの?」
と純子が言うと久美子は
「実はね。」
と言って考えた。
「何でもいいから言いなよ。」
純子が言った。
「バイト先で知合ったお客さんだけどね。」
久美子が言った。
「ドラマみたいな話かな?」
純子が言った。
「その人に店長が復讐しようとしているみたいだけどね。」
久美子が言うと
「そんなに悪い人には見えないって言うでしょ?」
純子が言う。
「よく解ったわね?」
久美子は言った。
「久美子がその人を好きになったのかもね?」
純子が言うと久美子は
「私には悪い人には見えないくて良い人に見えただけよ。」
と言った。
「店長が誤解していると言いたいわけね?」
純子が言うと
「私はそう思うけどね。」
久美子が言った。
「久美子はダメだな。」
純子は言った。
「何がダメなの?」
久美子が言うと
「男は何にもしないような顔をして狼にも仏にもなるからね。」
純子は言った。
「そうなのかな?」
久美子は言った。
「その男の人は何歳なの?」
純子が言うと久美子は
「46歳って聞いたけどね。」
と言った。
「特に中年はダメだよ。」
純子は言った。
「どうして?」
久美子が言うと
「汚くて臭くてエッチだからやめときなよ。」
純子はあっさり言った。
「そうなのかな?」
久美子は言ったがそれ以上に言葉が出なかった。
「ひとつ試す方法があるけどやってみる?」
純子が言った。
「あるの?」
久美子が言う。
「子供騙しかもしれないけどその中年のおじさんを試すには良い方法かもね?」
純子は言った。
「どんな方法なの?」
久美子は興味津々で言うと
「アイディア料は高いよ。」
と純子は言った。
俊之は矢島と高校のOB活動もやっていた。矢島が会長で俊之が副会長だ。久しぶりにPTA会長や校長たちの懇談会と忘年会で宴席が盛り上がっていた。アルコールが弱い俊之は適当に酒を飲んでノンアルコール飲料に切替えた。俊之は酔わなくてもサラリーマン時代から場を適当に盛上げるのは得意だった。途中で矢島が退席したために俊之は最後まで宴席に付き合うことになった。
「それではみなさんお疲れ様でした。」
俊之は言った。
「お疲れ様でした。」
とそれぞれが挨拶を交わした。駅で散会した時はみんな酔っていた。俊之だけが冷静であった。自分のマンションへ急いで歩いた。明日は、矢島建設へ午後から顔を出せばいいのだ。俊之は部屋に入りコートを脱いで小さいボリュームで音楽をかけていた。昼間に太田に言われた事を頭で繰返した。禊が終わっていれば良いと考えていた。そんな事を考えていると俊之の携帯に久美子から着信があり俊之は電話に出た。
雨のあとに虹 その37
店に久美子が入って来た。純子が先に久美子を見つけて右手を上げた。純子を見つけて久美子は席に着いた。久美子は純子の目を見た。純子は久美子の目がいつになく真剣で深刻なのに気付いた。
「どうしたの?」
純子が言った。久美子は考えてから
「純子は私より男性に詳しいよね?」
と言った。
「それは当たり前よ。」
純子は言った。
「相談があるけど良い?」
久美子が言うと純子は
「久美子より経験があるから何でも聞いてよ。」
と冗談交じりに言った。
「真剣に考えてよね。」
久美子は言った。
「男がらみなの?」
と純子が言うと久美子は
「実はね。」
と言って考えた。
「何でもいいから言いなよ。」
純子が言った。
「バイト先で知合ったお客さんだけどね。」
久美子が言った。
「ドラマみたいな話かな?」
純子が言った。
「その人に店長が復讐しようとしているみたいだけどね。」
久美子が言うと
「そんなに悪い人には見えないって言うでしょ?」
純子が言う。
「よく解ったわね?」
久美子は言った。
「久美子がその人を好きになったのかもね?」
純子が言うと久美子は
「私には悪い人には見えないくて良い人に見えただけよ。」
と言った。
「店長が誤解していると言いたいわけね?」
純子が言うと
「私はそう思うけどね。」
久美子が言った。
「久美子はダメだな。」
純子は言った。
「何がダメなの?」
久美子が言うと
「男は何にもしないような顔をして狼にも仏にもなるからね。」
純子は言った。
「そうなのかな?」
久美子は言った。
「その男の人は何歳なの?」
純子が言うと久美子は
「46歳って聞いたけどね。」
と言った。
「特に中年はダメだよ。」
純子は言った。
「どうして?」
久美子が言うと
「汚くて臭くてエッチだからやめときなよ。」
純子はあっさり言った。
「そうなのかな?」
久美子は言ったがそれ以上に言葉が出なかった。
「ひとつ試す方法があるけどやってみる?」
純子が言った。
「あるの?」
久美子が言う。
「子供騙しかもしれないけどその中年のおじさんを試すには良い方法かもね?」
純子は言った。
「どんな方法なの?」
久美子は興味津々で言うと
「アイディア料は高いよ。」
と純子は言った。
俊之は矢島と高校のOB活動もやっていた。矢島が会長で俊之が副会長だ。久しぶりにPTA会長や校長たちの懇談会と忘年会で宴席が盛り上がっていた。アルコールが弱い俊之は適当に酒を飲んでノンアルコール飲料に切替えた。俊之は酔わなくてもサラリーマン時代から場を適当に盛上げるのは得意だった。途中で矢島が退席したために俊之は最後まで宴席に付き合うことになった。
「それではみなさんお疲れ様でした。」
俊之は言った。
「お疲れ様でした。」
とそれぞれが挨拶を交わした。駅で散会した時はみんな酔っていた。俊之だけが冷静であった。自分のマンションへ急いで歩いた。明日は、矢島建設へ午後から顔を出せばいいのだ。俊之は部屋に入りコートを脱いで小さいボリュームで音楽をかけていた。昼間に太田に言われた事を頭で繰返した。禊が終わっていれば良いと考えていた。そんな事を考えていると俊之の携帯に久美子から着信があり俊之は電話に出た。
雨のあとに虹 その36
三友商事のフロアーで榊原は次の一手を考えていた。自分にはあまり時間が残されていない。
「どんな手を使ってでも高村には負けられない。」
榊原は電話で沢田に言った。
「解りました。」
沢田が言った。
「高村が会社にいた時には俺は一度も勝てた事はなかった。」
榊原は言った。
「そんなに意地を張らなくて良いのではないですか?」
沢田が言うと榊原は
「今回だけは負けないしひとみはまだ利用価値がある。」
と言った。
「それは状況にもよりますよ。」
沢田が言うと
「もう少し高村の情報を集めてくれないか?」
榊原は言うだけ言って電話を切った。
「これでどうだね?」
整体の施術を終えた太田は言った。
「だいぶ身体が軽くなりましたね。」
俊之が言った。
「身体の歪みをとればそれだけ体調も良くなるよ」
太田は言った。
「身体が軽くなりましたよ。」
俊之は言った。
「残念な事に心の歪みは取れないけどね。」
太田が言うと俊之は
「心の歪み?」
と言った。
「今の高村さんに必要なのは身体の健康にだけでなく心の健康だよ。」
太田は言った。
「心の健康ですか?」
俊之が言うと太田は
「いつまでも過去にこだわっていても未来はないよ。」
と言った。
「はい。」
俊之は言った。
「12年前の事は早く忘れないといけないよ。」
太田は言った。
「12年も経ちましたか?」
俊之が言うと太田は
「禊は終わったと思うよ。」
と言った。
「そうでしょうか?」
俊之が言った。
「いつまでも高村さんが過去にこだわっていたら麗子さんも浮かばれないさ。」
太田は言った。70歳を少し過ぎた太田は父親の感覚で俊之を見ていた。考えていた俊之は小さく
「はい。」
と言った。