雨のあとに虹 その43
「国立の首都圏大学の経済学部を出て三友商事に入社した高村は順調にエリート人生を進んでいるように見えた。」
矢島が言った。
「何かあったのね?」
早苗は言った。早苗は矢島の次の言葉を待った。
「高村は今から12年前に入社12年目でロンドン支店長として海外赴任する事になった。」
矢島が言うと
「さすが高村さんね。」
早苗は言った。
「これは異例の出世だった。」
矢島が言うと早苗は
「私にも解るわ。」
と言った。
さらに4年後経営企画部長としての昇格をしている。」
矢島は言った。
「そんなに早く部長に昇格したの?」
早苗は驚いて言った。
「そのロンドンに赴任して半年後に婚約者の入江麗子さんが謎の死を遂げている。」
矢島は言った。
「原因は何だったの?」
早苗は言った。
「未だに不明だ。」
矢島は言った。
「不明って?」
早苗はさらに言った。
「警察は事件と事故の両方から捜査をしたようだが難航したみたいだな。」
矢島は言った。
「そんな事って!」
早苗はそう言ったままである。
「高村は小さい時から親や親戚などから冷たく扱われてきた。」
矢島が言うと
「それは聞いたわ。」
早苗は言った。
「高村は心の歪みを一切隠して表向きは青春ドラマの主人公のように爽やかさを出しているがどこかで人を信じない面もあるような気がする。」
矢島は言った。
「私もそれを感じていたわ。」
早苗は言った。
「入江麗子さんがどうして亡くなった事も原因かもしれないな。」
矢島は言った。
「麗子さんもかわいそうね。」
早苗は言った。
「高村が三友商事の部長にまで上り詰めたのに会社を辞めた原因がそこにあるように思う。」
矢島が言うと
「そうかもしれないわね。」
早苗は言った。
「あの件から高村は人並みの幸福には背を向けて生きているようだ。」
矢島は言った。早苗は矢島のは話を聞いていて胸が張り裂けそうに辛かった。
「最近は忙しいですか?」
喫茶店の奥の席で俊之は言った。
「クリスマスが近いからそんなに忙しくないよ。」
長島修一は言った。
「それでしたらひとつ相談がありましてね。」
俊之は言った。
「私で出来る事なら何でも相談に乗るよ。」
長島は言った。
「私の友人に建設会社の社長がいます。」
俊之は言った。
「建設会社とは興味深いね。」
長島は言った。
「長島先生のお力が必要になりましてね。」
俊之が言うと長島は
「もっと詳しく説明してください。」
と言った。
「友人は矢島と言う名前ですけどね。」
俊之が言うと
「ひょっとして矢島建設さんかな?」
長島は言った。
「ご存知ですか?」
俊之は言うと
「矢島建設は中堅の優良企業だよ。」
長島は言った。