• 16 ハルおばあちゃんへ

     ハナコがしくしく泣いています。

    「どうしたの?」

    シュンとハルナが、聞きました。

    「あのね…内緒にしてね」

    そう言ってハナコは、泣いている理由を話てくれました。

    ハナコは、ハナコのママに買ってもらった大事なかみどめを、いのししのポーが、知らずに踏んで壊してしまったそうです。

    「でも、わざとじゃないから、ポーには、また買ってもらうからって、嘘をついたの…。でももう、本当はお店には売ってないの」

    シュンとハルナは、

    「…」

    何と言って良いかわかりませんでした。

     シュンは、ママから聞いた話を思い出しました。

    小さな女の子が、赤いくつをお店のショーウインドウの前で、来る日も来る日もながめていたそうです。

    ある日、お店のおじさんが出てきて、

    「おじょうちゃん。それが欲しいのかい?」

    と、聞きました。

    すると、女の子は、元気良く

    「はいっ!」

    と、言いました。

    しかし、女の子は、きゅうに顔をふせて

    「でも…、ママに言ったら、お金が無いからがまんしなさいって言われたの」

    と、つづけたそうです。

    おじさんは、毎日 そう雨の日も雪の日も女の子が、見ていたのを知っていました。

    おじさんは、

    「そうかい、夕べそのくつがね。おじさんに言ったんだ。『ぼくを本当に好きな女の子が、毎日見つめてくれています。どうぞ、その子にぼくをわたして下さい』って」

    と言いました。

    「えっ」

    そして、おどろいている女の子に

    「あぁ、だから持っておかえり。お金はいらいないよ。くつのやつが、そう言うんだから しょうがないからね」

    そう言っておじさんは、笑いました。

    「ありがとう!おじさん大事にするね!」

    女の子はよろこんで持って帰ったそうです。つづく

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  • 18 ぼうりょくの最初へ

    シュンはパパにたずねました。

    「パパは、僕をたたいた事ないね」

    「そうだね」

    「でもパパもたたく事があるんだね」

    するとパパは

    「暴力は絶対にいけないよ。

    でも愛するものを守る為に使わなければいけないこともあるね。

    使い方が大切だ。 それだけは、覚えておきなさい」

    ― あなたの使い方は だいじょぶですか―

    「パパ かっこよかったよ」

    「そっかあ」

    パパは嬉しそうに笑って

    「ママを愛しているからね」

    と、付け加えました。    おしまい

  • 19 やさしいうそへ
  • 16 ハルおばあちゃんへ

    「きゃあああっ」

    ああ、大変です!

    せっかくパパとママとシュンで楽しんだ、山登りの帰り道です。

    少し後ろを歩いていたママにいじわる狼がおそいかかろうとしています。

    「ママ!シュン 隠れてなさい」

    パパは、走ってママの所へ行って後ろ足で 狼をけっています。

    シュンは、こわくてすぐりの木の陰で じっとしていました。

    「このやろう。えいっ」

    すると、向こうから

    「だいじょうぶかぁ」

    声を聞きつけた、熊のブルおじさんがやってきてくれました。

    熊のブルおじさんは、森一番の力持ちで、森の警察官です。ブルおじさんの姿を見て狼は逃げて行きました。

    「あなたっ」

    ママがパパのそばにかけよりました。パパは、

    「だいじょうぶだ、少し怪我しただけだ」

    と言って、ほほ笑みました。

    ママは、パパの胸でお家に帰るまで泣いていました。

               つづく

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  • 17 あらいぐまのサボの最初へ

    次の日の 1時間目は、『サボ君の消しゴムという』時間になりました。

    「さぁ、サボ君は消しゴムを返しましょう」

    サボが一匹ずつ 返すと、いのししのトンが言いました。

    「ママに 新しいの買ってもらったから返さなくていいよ。あげる」

    すると先生は、

    「ママにどうして 新しいのを買ってもらったの?」

    と、聞きました。

    「返してもらえないから」

    「トンさんは返してってサボ君に言ったの?」

    トンは、返事をしません。

    「何故、返事ができないの?」

    するとトンは泣きながら

    「新しい消しゴムが 欲しかったから…」

    と言いました。

    先生は困った顔をして、

    「他の みんなは どうなの?」

    と聞きました。

    他の4匹はきちんと返してと言って他の古い消しゴムを使っているそうです。

    「まず、一番いけないのは、サボ君ね。借りたものはちゃんと返しましょう。次にいけないのはトンさんね」


    さあ、トンさんが、なぜいけないか みなさん 考えて下さいね―


    「そして、教室のみんなもいけないわね。

    どうして、どうしたら サボ君が借りないようになるか みんなで話をしないの?」

    みんな 黙っていました。

    「どうしたらいいのかしら?」

    先生がたずねると、さるのキーが言いました。

    「サボ君は、消しゴムをいつも帰りに先生に あずければいいと思います」

    「そうね、そしたら家に忘れなくなるまで、 帰りにあずけてくれてもいいわね。他には?」

    先生が、たずねました。

    しかし、みんな黙っていて、とても 静かでした。

    するとサボが立ち上がって

    「ごめんなさい。ちゃんと 気をつけます」

    と、言いました。

    先生は、にっこり笑って、

    「さぁ。もうだいじょうぶね」

    と。言いました。

    教室のみんなが声を合わせて返事をしました。

    「はぁい」

    サボは、手に消しゴムとマジックで書きました。おしまい

  • 18 ぼうりょくへ
  • 16 ハルおばあちゃんへ

     アライグマのサボが、何人かに消しゴムを借りたまま返さないでいました。

    「サボ 返しなさいよ!」

    ねこのニャアが言うと

    「あっ、家に忘れた」

    とサボは、とぼけていました。

    「先生。サボ君がニャアさんの消しゴムを 返さないんですけど」

    いのししのポリーが、とうとう おこって言いました。

    「私も貸したよ」

    「僕も」

    あら、あら。5匹ものお友達がサボに消しゴムを返してもらえないと手をあげてしまいました。

    「サボ君?みんなの消しゴムはどうしたの?」

    先生が、たずねました。

    「家に置いてあるんだ。返すのを忘れてそのまま持って帰っちゃったんだ」

    サボが、頭をかきながら言いました。

    「では、明日もって来てくれなかったら、先生一緒にお家へ取りに行くわね」

    「はい」

    サボは小さく返事をしました。 つづく

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  • 16 ハルおばあちゃんの最初へ

    「うーん、ママはね。きっと長く生きている分いろいろな事が頭の中にたまって、それがいっぱいになって少しずつこぼれているんだろうねっていうの」

    「そっかあ」

    「うん、スープのお皿も マグカップもバケツも 私の手も お口もいっぱいつめると

    入らなくなって こぼれるでしょ。それと同じだって」

    「そっかあ」

    「だから、お年寄りに何度 同じ事をきかれても きちんと教えてあげなさいって、ママが言ってた。こぼれた記憶を拾ってあげなさいって」


    けれど、ハルおばあちゃんは、おばあちゃんの目がルビーのように美しい赤だとおじいちゃんに言われた事だけは、わすれていないそうです。

    「アキオさん、あなたのひとみは 夕焼けのようよ」

    おばあちゃんは、おじいちゃんのしゃしんを見ながら、時々つぶやくそうです。

    ああ、一つだけおばあちゃんが、忘れていて良い事がありました。

    「アキオさん、早くかえって来てね。私は ずっと 待っているから…」

     おばあちゃんは、口紅をひきながらつぶやくそうです。

    おじいちゃんが、先にお空に行った事を わすれているのです。

    「ハルおばあちゃん、そのことだけは思い出さなくていいよ」

    ハルナとハルナのママは、そっとつぶやくそうです。  おしまい      


  • 17 あらいぐまのサボへ
  •  ハルナのママとおばあちゃんが、向こうからやってきます。

    「あっ。ハルさーん!」

    ハルナが、にこにこしながらおばあちゃんに手をふりました。

     しかし、おばあちゃんは、ハルナを見てもきょとんとして、わからないようです。


    「ハルナ。あのおばあちゃんは、ハルナのおばあちゃん?」

    シュンが、小さな声で聞きました。

    「うん。そうよ」

    「えっ?おばあちゃんって呼ばないの?」

    「うん。私のこと、よくわすれるし、自分を18歳だと 思っているから、おばあちゃんって呼んでもだめなの」

     ハルおばあちゃんは、いろいろな事をわすれてしまうそうです。

    いつもはママのお兄ちゃんと一緒に暮らしていますが、こうして時々あそびに来るそうです。

    「ママがついていないと、お家にかえる道もわすれちゃうの。ごはんを食べた事も、わすれるし大変なのよ」

    「そっか、どうしてなんだろ」   つづく


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  • 15 たぬきのポンタ最初へ (11話は 下に入る所があります)

    シュンのママは、悲しそうな顔をして言いました。

    「ポンタちゃん。メイ先生は すばらしいお医者様よ。何でもわかるのよ」

    ポンタは、今にも泣き出しそうな顔をしています。

    「だいじょうぶよ、ポンタちゃん。きっとママは病気なのよ。ポンタちゃんだって頭が痛い時、シュンに何度も遊んでって言われたら嫌でしょ?でも、元気な時は シュンと遊んでくれるよね。ママの病気もなおれば、きっとやさしいママになるよ。だから教えて」

    「そっか!!・・・ あのね・・・

    ・・・ママね、時々 ぼくのぽんぽんとかいろいろな所をたたくの

    ゆうべもごはん食べるの ぼくおそくて、それでしかられたの」

     シュンのママは、ポンタをだきしめて、

    「パパは知ってるの?」

    と聞きました。

    「パパも 病気なの・・・」


    ― どうしたら いいのでしょう―


    メイ先生とシュンのママは、ポンタをポンタのおばあちゃんの所へとどけました。

    「先生あれでいいのかしら」

    「ポンタは、ぼくの子供でも きみの子供でもない。でも この星の子供だから 守りたい。みんなで 考えたいね」

    ひげをさすりながら、先生の目が うるんでいました。

     おしまい

  • うさぎのシュン 11そこにいること ( ←11話は ここをクリック)
  • うさぎのシュン 11そこにいることへ

    「うっ」

    たぬきのポンタが、おなかをおさえて、すわりこみました。

    「ポンタ どうしたの!」

    通りかかったシュンとシュンママが、かけよりました。

    「ぽん ぽん いたい」

    「たいへんだ!!」


     かしの木のほら穴の病院へ シュンとママはポンタを連れて行きました。


    「ポンタ君 おなかを打ったのかな?」

    やぎのメイ先生が、たずねました。

    ポンタは、だまっています。

    メイ先生が

    「ママを呼んで来ないといけないね」

    と言うと、

    「えっ!だいじょうぶだよ。うっ、 ママには、ぜったい言わないで、ぼく元気だよ」

    ポンタは、なみだをためて言いました。


    メイ先生は、シュンのママに何かを言うと、シュンのかたを抱いて、シュンと一緒に部屋を出ました。


    「ポンタちゃん、どうしてママに言ってはいけないの?」

    シュンの ママが、ポンタにやさしくたずねました。

    「・・・」

    けれど、ポンタはだまっています。

    「ねえ、教えてくれる?もしかしたら、ママは 病気かしら?」

    「えっ?」

    「ぽん ぽんをたたいたのは ママね」

    「えっ!おばちゃん、どうしてわかるの?」  つづく

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  • 14 悲しいめがね の最初へ

    「本当に、コノハちゃんは、いじわるね」
    ハルナがおこって、自分のすでに綴じてある ホッチキスのしんをはずしました。
    そして、ハナコといっしょに順番を待つことにしました。
    「なんでよ。いいじゃん。私のだもん。誰にかしたっていいでしょ」

    コノハが、ハルナにむかって大きな声で、気持ちをなげつけるように言いました。
     その声が、先生にまで とどいてしまいました。
    「コノハさん、早く その悲しいめがねをはずせると いいわね」
    コノハとハルナのいい合いの理由を先生は聞いて、そう言いました。
    「私、メガネなんてかけていません」
    コノハが言いかえすと、先生は、
    「では、どうして、ハナコさんだけ違う?」
    と、聞きました。
    コノハは、だまっています。


    「コノハさんの目は一つなのに、なぜ みんなとハナコさんが違ってみえるの?先生には、悲しいめがねを ハナコさんを 見る時だけ、コノハさんは、かけてしまっているように 思えます」
    そう言って、コノハのホッチキスを 先生は、あずかりました。
    すると、コノハにホッチキスを借りたみんなも、ホッチキスのしんをはずして、列にならびました。

    それを見たコノハもふくれっつらのままですが、しんをはずして、列にならびました。  おしまい

  • 15 たぬきのポンタへ