• うさぎのシュン 11そこにいること

    「なんでハナコが、つかうのよお」
    またまた コノハが、口をとがらせています。
    「だって、みんなが使っているから」

    ハナコが、悲しそうに言いました。
     今日は、みんなで絵本を作っています。

    みんなが、絵やお話を書いた画用紙に先生がきりで穴をあけます。そして、それにひもを通してまとめて本のようにします。
     けれど、コノハだけが、大きなホッチキスを持って来てそれで止めていました。先生にあなをあけてもらうには、順番を待たなくてはいけません。すると、時間がかかるので、何人かがコノハにホッチキスを借りました。
    「みんなはいいけど、ハナコはだめ」

    コノハがいじわるそうに言いました。
    「わかったよ」
    ハナコは、さみしそうに順番を待つことにしました。

               つづく

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  • 13 ごめんなさい の最初へ

    「ドラ君は、たたかれるのがいやだから、すぐ言うといったね」

    「うん」

    ドラは、うなずきました。

    「たたかれるから、言うの?」

    「あっ」

    何匹かの子が、気がつきました。

    「先生が思うには、いつ いっても良いと思う。ただ、本当に自分が悪いと思って、あやまる気持ちになったら、いつでも、良いと思うんだ」

    すると、

    「私もシュンちゃんとけんかして、1週間くらいたってから、あの時はごめんねって いった事がなんどもある」

    と、ハルナがいいました。

    「そうだね。その時は、いろいろな気持ちで いえない事もあるけれど、シュン君、いわれた時どうだったかな」

    先生が、シュンに聞きました。

    「そうだなぁ、もう ゆるしてあげようって思ってる時だったから、ちょっとはずかしかったよ」

    そういって シュンは 頭をかきました。

    みんなが、くすくすっとわらいました。

    「ごめんね ということばが、今まで以上にごめんなさいをする相手となかよしになれるような合図だといいね」

    みんな、うなずきました。


    ― 心のこもった 言葉を 出したいですね


    「こまったなぁ、おいら すぐに言っちゃう」

    ドラが、うでぐみをして かんがえています。

    「ドラ君、それでもいいから、いった後に悪かったと言う たいどをおかあさんにしてあげなさいね。いいかね。心からだよ」

    と先生にいわれると、

    「うん。お手つだいするよ」

    と、ドラは、はちまきをするまねをしました。

    みんな、また 大わらいしました。  おしまい

  • 14 悲しいめがねへ
  • うさぎのシュン 11そこにいることへ

    「今日は、『ごめんなさい』について 考えてみましょう」

    さるのルサ先生が、みんなに言いました。

    今日は、週に一度の「お話しましょう」の時間です。


    「ごめんなさい?」

    「そう。ごめんなさいを、すぐに言ってしまう子と、言わない子といるよね」

    先生がそう言うと、

    「おいら、すぐいうよ。かあちゃんに たたかれる前に」

    ドラが、そう こたえて、みんな大わらいしました。

    「そうか。どっちが よいのだろうね?」

    先生は、みんなにたずねました。

    すると、みんな 

    「すぐ、言うのがいい!」

    と元気に こたえました。

    先生は 少し間をおいて、

    「言わないのは 良くないね。 でも、すぐに言うのもどうだろうか?」

    「えっ?」

    みんな おどろきました。         つづく

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  • 12 ぶたのモモ最初へ

     先生は悲しそうな顔をして

    「先生が 一番いけないと思うのは、キノミ君が モモさんの事をぶたが乗るとぶらんこがこわれるって いった事だと思うわ。

    なぜ、ぶただと こわれるの?」

    キノミは、細長い口をますますとがらせて

    「太っていて、重いから」

    と、言いました。

    「モモちゃんが乗ってぶらんこ こわれたことないじゃない」

    ハルナがおこって言うと、キノミは だまって横をむいていました。

    「あのね。先生は、ぶらんこに 早く乗りたいと思う気持ちはゆるせるの。もちろん順番は必ず守らなくてはいけないことよ。でも、モモさんがどうしようもない事を、意地悪く言うのは絶対にゆるしません」

    ソープ先生は、真っ赤な顔をしておこりました。

    そして、つづけて

    「きつねのくせにっていわれて、キノミ君は きつねをやめられるの?」

    と、先生はキノミに聞きました。

    すると、キノミは 下を向いたまま

    「ごめんなさい」

    と言いました。   おしまい

  • 13 ごめんなさい へ
  • 11 そこにいること へ

      

    「なんだよ。でぶ」

    「だって、次は私の番だもん」

    きつねのキノミとぶたのモモがけんかをしています。

    すべり台で遊んでいたハルナが、おどろいてやってきました。

    「どうしたの?」

    「キノミが、ぶらんこの順番をまもらないの」

    モモが、ぶーぶー言います。

    「だって 乗りたいんだもん」

    キノミが口ととがらせて言います。

    「乗りたいって、順番でしょ」

    ハルナが いうと、

    「うるさい。ぶたが乗ると ぶらんこが こわれるんだよ」

    と キノミがいいかえしました。すると、

    あらあら、とうとうモモは、泣き出してしまいました。


     さわぎを聞きつけて、いのししのソープ先生が、向こうからやってきました。

    「どうしたのかしら?」

    ハルナがけんかの事を話しました。

    「先生がこのけんかで 一番いけないと思う事は何だと思う?」

    キノミは

    「ぼくが、ぶらんこに乗りたいって いったからです」

    ハルナは

    「キノミ君が 順番を守らないのがいけないと思います」

    そして、モモは、泣いたままです。 つづく

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  • 11そこにいることの最初へ

     いつも食事の用意もせんたくもそうじも、みんなママがしてくれて、シュンは何もしないのに、ママを幸せにしいるとママは言います。

    おどろいているシュンを見て

    「シュンは、ハルナちゃんが大好きよね。ハルナちゃんと一緒にいるだけで 楽しいでしょ?

    みんな大好きなものが 必ずどこかにいて幸せな気持ちにしてくれているのよ」

    シュンは なんとなくわかりました。

    「そっか、じゃぁ、大好きなママがよろこぶようにしなくちゃね」

    シュンは、少してれながら言いました。

     少し開けた窓のすき間から、やさしい春風が吹いてきました。 シュンは、ママにうれしいことを言われて、だんだんと心が温かくなってきました。

    「シュン。だから、あなたがいるだけでママはうれしいのよ」

    今日の空には おぼろ月が描かれています。

    「いるだけでか…」

    シュンは、うれしそうにつぶやきました。 おしまい

  • 12 ぶたのモモへ
  •  犬のバスおじさんが、人間といつものように

    森の小道を散歩していました。

    「ママ、バスおじさん お仕事をしているね」

    「そうね。静かにしてあげましょう」

    シュンは、バスおじさんに向ってそっと手をふりました。

    すると、おじさんは、ちらっとシュンのほうを見ましたが、すぐに、まっすぐ前を向いて歩いていきました。

    犬のバスおじさんの仕事は盲導犬(もうどうけん)と言って、目の見えない人があぶなくないように道の案内をするのです。


     夕食の後でした。

     シュンは、ごちそうさまをして、部屋の窓辺に腰掛けていました。

    シュンは、みんな何か役に立っているという、ママの言葉を思い出していました。

    「桜さんも、いろいろな洋服に着替えて、楽しませてくれるし、雲さんも、形を変えて時に天気を教えてくれる。みんな、何か役目があるんだ…」

     

     その内外が暗くなって、窓に映った自分の顔をみてシュンは、はっと しました。


    「こどもの僕は、何の役に立っているんだろう」


    ママが、ホットミルクを運んできました。

    「ママ、僕は何かの役に立っているの?」

     それを聞いたママは、やさしくほほえみながら、

    「ママを幸せにしてくれているわよ」

    と、言いました。

      「ええっ?」

    シュンは、おどろきました。     つづく

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  • 10 時間くんの最初へ (6話は 下に入る所があります)

    次の日の夕ぐれになりました。シュンたちが、家に帰る時間です。

    東の空に 細く白い三日月が見えます。

    少しずつ夕焼けが消えて行きます。

    なたね油のランプに、家々の窓が灯をともしました。

    「ああ、もっとあそびたいね」

    ハルナが言うと

    「でも、なんでもずっと続けるのは、大変かもよ」

    シュンが、時間くんの話しをしました。

    すると

    「そうね、ずっとあそび続けるのも大変かも」

    ハルナとハナコもそう思いました。

    そして、

    「おなかすくし、ねむくなるものね」

    ハナコが、わらいながら言うと

    「うん。おべんきょうしてる時には、すぐ ねむくなるね…」

    と、ハルナがまじめなかおをして言いました。

    それを聞いて、

    「だから、たのしいことも とちゅうで やめないといけないことがあるのかもね」

    と、ハナコがつぶやきました。

    そして、やっぱり さみしそうにみんな家に帰っていきました。         おしまい

  • うさぎのシュン 6 ダックスフンドのダック
  • うさぎのシュン6ダックスフンドのダックへ

    「ねえ。1日中ずっと遊んでいられる方法がないかしら」

    ハルナが、家に帰る とちゅうの道でつぶやきました。

    「そうだね。あるといいね」

    シュンも言いました。

    「でも、ごはんを食べたり、ねむったりしないとだめだよ」

    うさぎのハナコが、言いました。

     夕ぐれにお友だちとさよならする時や、

    たのしい所へ出かけて帰る時、みんなさみしくなります。


     その夜 シュンは、時間の夢をみました。

    時計の文字ばんの顔をした時間くんが、やってきて言いました。

    「お前らは、ぼくの大変さを知らない。ぼくは、ねむることができないんだぜ」

    「えっ、ねないの?」

    「そうだよ。ねることもひと休みもないんだ。しかも、ずーっとだよ」

    「すごいね…」

    「だから、お前らが楽しそうだと、早く時間をすすめてやって、つらそうだとわざと ゆっくりしてやるのさ」

    時間くんが、いじわるそうに言いました。

    「えー。いじわるしないでよ」

    「それくらいしか、楽しみがないのさ」

    時間くんはくるくると手をまわしながら、さみしそうに言いました。 つづく


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  • 9 うさぎのルルおばさん最初へ

    夕ごはんを食べながら、ママがシュンにたずねました。

    「ハナコちゃん、元気?」

     ママに聞かれて、シュンは昨日の事を思い出しました。

    それは、きつねのコノハがみんなでおにごっこをしようと言い出した時のことです。

    ハルナは、走りまわることができないハナコのためにお花つみをしようと言いました。

    けれど、きつねのコノハだけは、おにごっこをしたいと言います。

    みんなが、お花つみを始めると、コノハは ひとりでおこって、家にかえってしまいました。

    ハナコは肺(はい)が、かた方しかないので おにごっこはできないのです。

    コノハもそれを知っています。

    「ママ、おにごっこができなくて一番悲しかったのは、コノハちゃんじゃなくて、ハナコちゃんの方かもね」

    シュンのつぶやきに、

    「あのね。ルルおばちゃんは、自分の赤ちゃんができないのよ。あんなに、明るく 子どもたちをかわいがってくれるのにね」

    ママが、残念そうに言いました。


    「ルルおばちゃんも悲しいだろうね。おばちゃん赤ちゃん大好きだもの」

    シュンは、もも色のくつ下を思い出して言いました。

    ママは

    「そうね…ハナコちゃんも ルルおばさんも 見ただけでは 肺がないとか 赤ちゃんができないとかわからないから わたしたちが知らないうちに いろいろなことばで傷(きず)ついているかもしれないわね」

     と、言いました。

    シュンは

    「そうだね。みんな知らないあいだに いじわるをしているかもしれないから いつも 自分でできるだけ みんなにやさしくしてあげるようにもしないとね」

    と、言いました。

    ママは、シュンの頭をなでながら

    「見えない苦しみを包んであげて 包んでもらえるようにね」

    と、言いました。  おしまい

  • 10 時間くんへ