夕ごはんを食べながら、ママがシュンにたずねました。
「ハナコちゃん、元気?」
ママに聞かれて、シュンは昨日の事を思い出しました。
それは、きつねのコノハがみんなでおにごっこをしようと言い出した時のことです。
ハルナは、走りまわることができないハナコのためにお花つみをしようと言いました。
けれど、きつねのコノハだけは、おにごっこをしたいと言います。
みんなが、お花つみを始めると、コノハは ひとりでおこって、家にかえってしまいました。
ハナコは肺(はい)が、かた方しかないので おにごっこはできないのです。
コノハもそれを知っています。
「ママ、おにごっこができなくて一番悲しかったのは、コノハちゃんじゃなくて、ハナコちゃんの方かもね」
シュンのつぶやきに、
「あのね。ルルおばちゃんは、自分の赤ちゃんができないのよ。あんなに、明るく 子どもたちをかわいがってくれるのにね」
ママが、残念そうに言いました。
「ルルおばちゃんも悲しいだろうね。おばちゃん赤ちゃん大好きだもの」
シュンは、もも色のくつ下を思い出して言いました。
ママは
「そうね…ハナコちゃんも ルルおばさんも 見ただけでは 肺がないとか 赤ちゃんができないとかわからないから わたしたちが知らないうちに いろいろなことばで傷(きず)ついているかもしれないわね」
と、言いました。
シュンは
「そうだね。みんな知らないあいだに いじわるをしているかもしれないから いつも 自分でできるだけ みんなにやさしくしてあげるようにもしないとね」
と、言いました。
ママは、シュンの頭をなでながら
「見えない苦しみを包んであげて 包んでもらえるようにね」