• うさぎのシュン1いたちのテンへ

    「ううぅ…」

    「あぁ…」

    教室中からうめき声やため息が、聞こえてきます。

    今日は、週に1度 その週に習った、算数の テストの日なのです。

    一人ずつ 先生のそばへ行って、一人ずつに出された問題の答えを口で言わないといけません。もしも、まちがっていたらその場で先生が教えてくれます。

    「おいら…だめだあ」

    ねこのドラが、頭をかかえています。

    「ドラ、どうしたの?」

    シュンが、しんぱいをして聞きました。

    「うーん。この前もだめだったし…」

    「がんばろう」

    シュンは、自分にも言い聞かせるように、ドラをはげましました。

     さあ、いよいよドラの番です。

    困ったかおをしているドラに、

    「ドラ君は、算数がきらいなのかな?」

    と、言ってさるのルサ先生が、ほほえみました。


    つづく


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  • うさぎのシュン 3黒鳥のサー最初へ


     その話をママにすると

    「あなたのせいじゃないわ。サーはね…」

    と、ママはこんなお話をしてくれました。

     サーは、卵の時にまちがって、あひるのお父さんとお母さんに育てられたそうです。

    大きくなるにつれ、みんなと体の色や形が違ってくるので いじめられました。

    そのうちサーは、だんだん無口になって 一人ぼっちでいることが多くなったそうです。


     シュンが、サーにお別れに行くと サーの首にいばらのつるが まきついていました。

    サーは、自分でいばらのつるを首にまきつけ生きて行くことをやめてしまったのです。

     シュンは、サーに向って言いました。

    「おにいちゃんが、さみしくないように天国のおばあちゃんにおねがいするね。

    おにいちゃんにもぼくのように たくさんやさしくお話してあげてねって」


    美しい黒い羽が、きりさめに ぬれて光っています


    「ぼくがもっと早く、お友達になっていたら 良かったな…」

     シュンは、とても気にしていました。    おしまい                       


  • ☆ 4 ねこのドラへ
  • うさぎのシュン1いたちのテンへ

  •  きりのような雨がふっていました。

    黒鳥のサーが、天国へ旅立ちました。

    「ママ、おじいちゃんにならなくても、天国へ行く事があるの?」

    シュンは、びっくりしてママに聞きました。

    なぜなら、サーはまだ、15歳だったからです。


     シュンはあの時の事が、とても気になりました。

    シュンがお友達とみずうみのほとりであそんでいると、水面で動かずにじっとしているサーがいました。

    「おにいちゃん、病気なのかなあ」

    シュンは静か過ぎるサーが気にかかり

    「こんにちは、おにいちゃん」

    と、サーにあいさつをしてみました。

    すると、羽でかくしていたかおを羽からそっと出して、やっと聞こえるような声で サーは答えました。

    「やあ」

    「みんなとあそばないの?」

    サーは、だまったまま またかおを羽につっこみ 動かなくなってしまいました。

    「おにいちゃん 気分が悪いのかなあ」 つづく

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  • うさぎのシュン 1 いたちの テンへ
  • うさぎのシュン 2うさぎのシュン最初へ

     けれどもママが言った通り、午後はあらしとなりました。とても強い風がふくので、さくらの小さなえだが、今にも折れてしまいそうです。
     シュンは、しばらく心配そうにながめていましたが、気がつくとベッドの上にいました。

    どうやら、知らない間にシュンはねむってしまったようです。


    「あっ、さくらさんだいじょうぶかなあ」
    目をさましたシュンは、いそいでまどべに行きました。
     するとどうしたことでしょう、
     「わあ、きれいな七色のはしが空にある!」
    シュンは、さけびました。

     しんぱいしたさくらの木の上に、それはそれはきれいな‘にじ’が出ていました。
    「まぁ、なんてきれいな‘にじ’でしょう!きっとシュンが、よい子にしていたから神様からのごほうびね」
    シュンの声にやって来たママも、とてもおどろきました
     シュンはあまりににじが大きくきれいなので、ハルナちゃんにも見せてあげたくなりました。そしてシュンは、ハルナちゃんに電話をかけました。
    「もしもし。ハルナちゃん、ハルナちゃん。空をごらんよ。ごほうびだよ!」


     きれいな夕焼けも、西の空に広がりはじめています。
    「明日は、ハルナちゃんと川へあそびに行けるわよ。にんじんのクッキーを作ってあげましょうね」    
    ママは、シュンの長い耳を手でささえて、やさしくささやきました。
    シュンは、ママのいいつけをまもって今日はお家にいて本当によかったと思いました。 おしまい


  • うさぎのシュン 3黒鳥のサー最初へ
  • うさぎの シュン 1 いたちのテンへ

     うさぎのシュンの部屋には大きなまどがあります。そのまどから見えるけしきはとてもきれいで、一枚の絵のようです。

    その絵には、大きなさくらの木が一本、右よりに立っています。その向こうには、美しい森が広がっています。
      春 夏 秋 冬ときせつが変わるたびに、いろいろな色や花が変わってその絵は、シュン達を楽しませてくれます。
      今は、さくらの木がきれいな緑色にぬられて立っています。今日は、おひさまの光をあび、きらきらと輝いています。 そして、風のささやきにさくらの葉は、さわさわとやさしくおしゃべりをしています。

    「ママ。気持ちいい風だね」

    シュンは、まどべにすわって青い空を見ていました。
     けれども、黒い雲が遠い青空をかくしはじめました。
    「今日はあらしになりそうね」
    ママが、遠くをながめながら言いました。
     そして、友だちのハルナちゃんとやくそくした川あそびは、行ってはいけないと言いました。

    「ええっ。行きたい」

    「だめよ。あらしになって、川の水があふれておぼれたらどうするの?」

    シュンは、とてもがっかりしました。
    「黒くもなんてこっちにこないでよ
    シュンは、遠くの黒い雲をにらみました。 つづく

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  • キキキキーッ ドンッ 。


    「なんだ、いたちか」


    男は、車の窓から顔を出してそう言うと、走り去ってしまいました。

    たいへんです。

    いたちのテンが、車にはねられてしまいました。

    それは、いっしゅんの出来事でした。
     うさぎのシュンとハルナは、とてもおどろいて何もできずに、立ちすくんでいました。

    「テン!」

     ふたりの頭の上で、すずめのチッチが叫びました。シュン達は、その声でやっとまほうがとけたように、いたちのテンにかけよりました。シュンとハルナは、何度もテンの名前を呼んでみました。けれども、テンは返事をしません。


     やがて、チッチが大人を呼んで来て、みんなでテンを病院へ運びました。テンは、病院のベッドの上で、ぴくりともしません。

    テンのママは、テンのそばで ずっとふるえていました。

    やぎのメエ先生やかんごしさん達が一生けんめい、テンの手当てをしました。

     けれど、とうとう テンは、星になってしまいました。

    メエ先生がなみだをこぼしながら、言いました。

    「テンは、空へ行ったよ」

    そのしゅんかん


    「テン!わぁああああ」


    テンのママは、テンをだきしめて泣き叫びました。


     ほんのついさっきまで、テンはシュン達と木の実の投げっこをして、とても元気に遊んでいました。

    その木の実が ころころと転がって、夢中で追いかけて行ったテンでした。

    そう、そのほんのいっしゅんの出来事です。


    「ママ、車はこわいね」

    シュンは、かけつけたシュンのママにつぶやきました。

    人間にとって、車はとても便利な物です。けれど、動物達や人間自身にとっても、とてもきけんな物でもあります。


    大切ないのちをうばう多くの原因は

     人間ではないでしょうか 


    「できるだけ注意して、遊んでね」

    シュンのママは、口びるをかみしめシュンの肩に置いた両手に力をこめました。

     何の心配もなく楽しく遊べる場所が、この星からどんどん少なくなっているようです。        おしまい


  • ☆うさぎの シュン 2 うさぎの シュン へ
  •   

     いつも つたない私の話を読んで下さって、ありがとうございます。

    心より感謝いたします。

    まだまだ、寒い日が続いていますね。

    どうぞ、お体ご自愛下さい。


     明日からは、以前にメールマガジンで、

    発信していたおはなしのリメイクを載せてまいります。

    うさぎの しゅん(春) と はるな (春菜) という 

    うさぎの男の子が主人公の話です。

    宜しかったら、引き続き 読んで頂けますよう お願い致します。

    皆様からの忌憚のないご意見を お待ちしております。

      これからも、心安らぐ童話を書いていこうと思いますので

                      宜しくお願い致します。

                                          すずらん


  • おはなし 手紙の最初へ
  • 手紙の最初へ

     母は、その手紙を見てくしゃくしゃの顔になりました。そして、居間の奥にあるたんすの引出しから白く新しい封筒を出してきました。

    母は、私の手紙をきれいに三つ折りにしてその封筒へと入れました。

    「ここに おじいちゃんへって 書いてごらん」

    母に言われて、私は表書きにおじいちゃんへと やはりひらがなで書きました。

    すると 母は

    〒777-7 と 郵便番号を書いて

    天国 1丁目 幸せ 1番地 と 住所も書いてくれました。

    そして、菊の絵柄の1円切ってまで貼ってくれたのです。

    「明日、お天気になったら ポストに落としに行っておいてあげるわね」

     母は、そう言って、その封筒を黒電話のそばに置いてくれました

    いつも、出す前のお手紙を置く場所です。

    私は、両手をあげて

    「わーいわーい」

    と、とても喜びました。

     次の日、学校から帰って黒電話の横を見ると、既に封筒はありませんでした。

    「おかあちゃん! お手紙だしてくれたの?」

    私が叫ぶと、母は台所から

    「だしといたわよ」

    と、ほほ笑みながら言いました。

     数日して、学校から帰ってみると台所の机の上に、私あての手紙がありました。私は急いで封を開けました。


    ちーちゃん へ

    おてがみありがとう

    おじいちゃんは、しあわせにくらしています

    おべんきょうがんばってね

         おじいちゃんより


     それから、私は何度かおじいちゃんとの文通をしました。


     そして、いつしか40年以上経ち母が、おじいちゃんの所へ行きました。

    私が、母の嫁入り道具で、母がとても大事にしていた質素な箪笥を整理していた時です。

    母は、戦後すぐの事だったので、この本当にシンプルな大きくもない箪笥を持って来るのが精一杯だったと、私に話してくれたことがありました。

    その箪笥の引出しの一番下の奥に、見覚えのある封筒の束が出てきました。


    777-7 天国 1丁目 幸せ1番地


     私は、その封筒の束を今度は自分の大事にしている箪笥の中に入れました。

     私の名前を書いた少しまがった字が、母の字にそっくりな事に、あの頃の私は気づかずにいました。けれども、今それがわかっても、母のやさしさがそれを隠してくれます。消印の無い私への手紙が、母からの一番の形見となりました。    完


  •  あれは、私が七つの時でした。学校でひらがなを習って全部書けるようになった時です。

     風がいつもより強くて、外に遊びに行くのを母に止められました。

    「今日は、とても寒いから、家の中で遊びなさい」

    いつもなら、表通りを駆けて行くズックの足音や楽しげな叫び声がします。けれど、その日は木枯らしの口笛だけが聞こえていました。

     私は母の言いつけを守りこたつの中にいました。退屈だった私は、広告の裏に絵を書いたり、ひらがなを書いたりして遊びました。

    「あら、ちーちゃん字が書けるの?すごいわね」

    と言いながら母は、私が書いたひらがなを、のぞき込みました。

    私は、誇らしげに形がゆがんだり、つぶれたりしたひらがなを母に見せました。

    「字が書けるようになったなんて、いつの間にこんなに大きくなったのかしらね」

    母の瞳が少しうるんでいたような気がしました。

     私は、外はとても寒いけれど家の中は春のような暖かさと雰囲気に包まれていると思いました。

     そして、ひらがなを書けば、こんなにほめてもらえて、喜んでもらえるのなら、天国のおじいちゃんにも見せたくなりました。

     いつも私をひざにのせて

    「お前は、わしの宝物だ」

    と、頭をなでてくれたおじいちゃん。

    私は、新しい広告の裏に ひらがなで おじいちゃんに初めての手紙を書きました。

    おじいちゃん おげんきですか

    てんごくは いいですか

    わたしは おべんきょうしています

    また あそびましょう    

                 ちえこ



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  • ぼくのなまえは わん 最初へ

     ぼくは おりにいれられて まいにち なかまのかなしい

    ぐちをきいていたよ。

    プードルのポンパは、ごしゅじんさまが こいぬに

    こころをうばわれて すてられたんだって。

    スピッツのキャンは、なきごえがうるさいからって

    すてられたんだって。

    ざっしゅのたろうは、あそびで ごしゅじんのてを かるくかんだから すてられたんだって。

    パグのププなんて、ひっこしするから じゃまなんで

    すてられたんだって。

    「ひどいな…」

    ぼくは、みんなのはなしを きくたびに

    『 にんげん ってなに?』 て おもったよ。

     そして、とうとうあの日が きたんだ。

    「このいぬは あした しまつしよう」

    おじさんが ぼくのおりのまえで いったんだ。

    ぼくは かなしくて かなしくて 

    ひとばんじゅう ないたよ。

    だって、ライオンに たべられちゃうんだよ。

    がーって おおきく くちをひらいた ライオンが 

    めに うかんで ねむれりゃしない。

    でもね。 きせきが おこったんだ!

    ぼくが おりから おじさんに ひきずりだされそうに

    なっていたとき 

    「パパ、このいぬがいい」

    げんきな おとこのこのこえがしたんだ。

    そう ぼくのおりのまえで!

     ぼくはすぐに 

    「ぼくのなまえは わんだよ。たすけて!」

    って おとこのこに むかって なんどもほえたよ。

    おとこのこのなまえは ひろくん。

    そして、ぼくは ひろくんのいえに つれていかれた。

     いまのきぶんは どうかって?

    さいこうさ!

    ひろくんは ドックフードしか くれないけど

    いつだって おなかいっぱいに たべさせてくれるし

    さんぽだって よく つれていってくれる。

    ひろいのはらで じゆうに あそばせてもくれる。

    ああ でもね。

    ただひとつ ふまんがあるんだ。

    ぼくのなまえは わんなのに

    ひろくんは ぼくのことを ぽちとよぶことさ。 おしまい