虹の約束♪ -4ページ目

虹の約束♪

「いつも喜んでいなさい・・・」

・・・

 

数日後が過ぎ、アルはラーモセに頼んだ。

「今日はご馳走をたくさん作って」

 

 

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ラーモセは舌打ちした。

 

「俺に命令するつもりか。いつも作っても大して食べずに残すくせに。

なのになんだよ、突然。何か理由でもあるのか?」

 

アルは上眼遣いで哀願する。

 

「お願い。手伝うから。なんだか食欲が湧いてきて、三、四人分は食べられそうなの」

 

「信じないな、何を企んでいる?」

 

「誰か来るのか?」

 

「誰も来ないわよ。どうして?そう、そうなの、今日は私の誕生日なの」

 

アルは咄嗟に嘘をついた。

 

 

 

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「誕生日?」

 

ラーモセは釈然としない様子だ。

 

「そう、だから一緒に祝ってほしくて」

 

「まあ、いい。その代わり、残したら罰を加えてやるからな。覚悟しておけよ」

 

そう毒突いても、案外まんざらでもなさそうな表情で、気持ちよく承諾してくれた。

 

夕刻になるとアルはそわそわし出した。食事の支度は大体整っている。

 

 

 

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「落ち着かない奴だな、座れよ。早く食おうぜ。俺も腹が空いた。何をしているんだよ」

 

「もう少し待って、今祈っているの」

 

「はあ?何を?本当に変な・・・・・」

 

ラーモセの顔が途端に緊張した。

 

誰かの気配を感じたようだ。

 

アルは口元を緩めた。

 

 

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間もなく、エセがサブの手を引いてやってきた。

 

ラーモセは顔を背け、まるで子供のように口を尖らせていた。

 

サブの方も同じで、腕を組みそっぽを向いている。

 

意地を張り合って、どちらも頑なに口を利かない。

 

エセとアルは再会を喜び嬉しそうに抱き合った。

 

 

 

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エセは強情を張るサブを無理やり座らせ、久し振りに四人は膝を突き合わせた。

 

不承不承腰を下ろしらものの、サブはラーモセと眼を合わせようとしない。

 

無論、ラーモセも同じだ。

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

 

 

・・・

 

アルはどんどんラーモセに惹かれていく自分に戸惑う。

 

このままでは、気持ちが弱まってしまう。勇気が失せてしまう。

そう思えば思うほど、落ち着かなかうなる。

どうしていいのか全くわからなくなっていた。

 

 

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困り果てているアルを、ラーモセは労りながらこう言った。

「心配するな。俺たちは大丈夫だ」

 

その一言で少し楽になれた。心配するのはよそう。

明日何が起ころうとも、向き合う気持ちさえ失わなければ、何とかなるはずだ。

 

「お前は案外頑固者だよな。素直じゃないし。昔からそうなのか?直せよ、その性格」

 

「何よ、それ?やっぱりあなたとは結婚できそうにないわね。本当に無神経なんだから」

 

 

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「だってそうだろう。俺のこと一度も、どう思っているのか言わないじゃないか。

好きなら好きって言えばすむのに。

何照れているんだよ、お前なんか好きな人間なんか、俺ぐらいしかないだろう。

あとで後悔するなよ」

 

アルは確かに、自分でも素直じゃないのは認めていた。

それでも自分の気持ちを表現するのは、思いのほかとても難しく、簡単ではない。

そんな器用なら、この世界に来ることもなかったはずだ。

口をへの字に曲げ、今度はアルが機嫌を損ねた。

 

 

 

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ラーモセは少し心配そうにアルを横目で盗み見た。しばらくラーモセは考えあぐね、渋々折れた。

 

「わかったよ、俺が悪かった。だから機嫌直せよ。

お前がそんな顔すると、今の俺には勝ち目がない。お前のことしか考えられなくなっているんだ。

それをわかっていて意地悪くしているなら、お前も相当食わせ者だぜ」

 

アルは満足そうにラーモセを眺めた。

 

「なんだよ、その勝ち誇った顔は。全く、どうしてこんな女好きになったんだろうな。

本当に俺はバカだぜ」

 

アルは生まれて初めて幸せを実感した。

 

 

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「ラーモセのような純粋な男の子は初めて見るよ。私には羨ましいくらい。

生まれ変わったら、ラーモセみたいになりたいな」

 

ラーモセは嬉しそうに笑った。

 

「ふざるな。生まれ変わっても俺はもう一度、今の自分に生まれる予定だ。

そして必ずもう一度、お前を見つけて、お前を好きになる。何度繰り返しても、俺はそうする」

 

二人の肩が触れ合った。

 

パピルスが揺れ踊った。さわさわと唄を歌う。

大きな鳥、トキがナイル川を渡って行く。

 

 

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時間が止まったようにゆっくり流れた。

 

こんな感覚は初めてだった。

アルはこの日を忘れまいと気持ちに刻んだ。

 

くすぐったい甘い香りがした。

 

 

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「パピルスの詩」

 

 

 

 

・・・

 

「ごめんって言っているじゃない。いつまで怒っているのよ?女々しいわね」

 

「好きな女が側にいれば、男なら誰だって自分のものにしたいと思うのは当然だろう。

それは俺だって。でも、結婚しようと言ったのは、そんな意味じゃない。

ただ、約束したかったんだ。俺はこの先、お前以外の女は誰も好きにならないって。

それを言っておきたかった。これからも永遠に気持ちは変わらない」

 

 

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アルは今でも結婚など当然考えていなかった。

自分が子供を産んで、育てるという場面を想像さえしていなかった。

しかしふいと、ラーモセとなら、きっと幸せになれるだろうと漠然と思う。

その気持ちが一度芽生えてしまえば、振り切るのは容易ではない。

 

「私もラーモセと幸せになれたらいいと本気で思うよ。でも、そんなこと・・・・・・」

 

「先のことは誰にもわからない。でも今の自分の気持ちに素直になりたい。

いつか言おうと思っていても、突然の別れが訪れたら、自分の思いを永遠にその人に伝えられない。

そんなのは嫌だ。今を全力で生きたいし、自分の正直な気持ちを伝えておきたい。

明日死んでも悔いを残しておきたくない」

 

 

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アルはラーモセの直向(ひたむ)きさに感動した。

 

それでも安易に約束する勇気が持てなかった。黙っているアルに、ラーモセは優しく言う。

 

「待つよ、いつまでも。お前が返事をくれるまで。

ただ俺の気持ちを知っていてもらいたかっただけなんだ。俺にはお前しかいないって。

俺はしつこい性格だから絶対諦めたりしない。残念だったな、俺からは逃げられない」

 

 

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ラーモセは穏やかな口調で、粋に笑った。

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

 

・・・

 

家に帰り、再びいつもの生活が戻る。

 

しかし以前よりも確実に二人の絆は深まっていた。

ラーモセは常にアルを気遣った。

 

 

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押し付けるのでもなく、それは心からの計らいだった。

アルは次第にその心地良さに溺れそうで、怖かった。

そして二人はよく散歩に出かけた。

 

パピルスの茂みに腰下ろす。

ナイル川の川面がまるで宝石のように光り輝いている。

アルの眼にはそれが眩しくて、胸を切なくした。

 

 

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ラーモセは出し抜けにアルに言った。「俺たち、結婚しないか? 家族を作ろう」

 

アルは眼を見張り、ラーモセを凝視する。

 

ラーモセはその美しい顔をアルに向けた。「ずっと考えていた。早く返事しろ」

言ったとたんに、彼の顔が真っ赤になった。

 

アルはさすがに返答に窮する。そんなこと思いもよらなかった。

 

先日、自分の正体を明らかにしたばかりだ。何を考えて言っているのか見当も付かない。

何が彼の望みなのか。

 

 

 

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「なんで黙っている? 俺が嫌なのか?」

 

「そんなんじゃない。そんなんじゃないけど、なんだろう、どう捉えていいのかわからない」

 

ラーモセはますます苛立つ。

 

「何を迷うんだ。考える必要なんかないだろう。お前がもっと喜ぶと思ったのに」

 

完全にいつものようにふてくされている。

男はこんなに単純なのかと、溜め息が漏れる。

 

「そんなこと、私たちできると本気で思っているの? 前にも話したけど・・・・・・・」

 

「関係ない。明日はわからない。でも今、お前と結婚したい。それがいけないのか?」

 

アルは何か妙な感じがした。

 

「もしかしたら、私の身体が目当てとか?嫌らしい。

私に指一本触れないって、あれは嘘だったの?

私をそんな簡単に扱える軽い女だと思ったら大間違いよ。

何、考えているのよ?だから男は信用でいないのよ」

 

ラーモセは顔を引きつらせた。余程癪に障ったのか、喉を詰まらせた。

 

「俺がそんな男だと思うのか?冗談じゃない、誤解するな。そんなつもりで言ったんじゃない。なんだかすごくむかつくぜ」

 

 

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ラーモセは心外だと言わんばかりに腹を立てた。

アルはまだ疑いが完全に晴れたわけではないが、とりあえず謝った。

 

「ごめん」

 

顔を背け、しばらく彼は口を利かない。

 

 

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラーモセは突然アルを抱きしめた。

 

・・・

 

 

「面倒だと思うなら初めからお前なんか拾わなかった。

俺がお前と出会えて、どんなに幸せと思っているかなんて、誰にもわからない。

理由なんていらない。俺がそう思うから、それだけでいい。

お前はお前でいいんだ。何も変わらなくていい。

明日がどう変わろうと、俺はお前がいい、お前に側にいてほしい。

アル、どこにも行くな。頼む」

 

 

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アルは優しくラーモセの背中をさすった。

 

今初めてわかった。

自分とラーモセが引き合わされ、惹かれ合った理由を。

お互い同じ傷を持ち、同じ孤独の中で生きてきたからなのだろう。

 

 

 

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自分の親を憎み愛せなかった心の闇と痛み。

ラーモセはそんな父親との再会も、理解し合える時間も許されなかった。

 

永遠にその機会を失ってしまった。

アルは、自らその機会を捨ててしまった。

 

 

 

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出口のない悔恨からくる苦しみが、二人の共通点だったに違いなかった。

それをお互いが無意識に感じ合っていたのだろう。

 

違う時代に生まれ、全く異なる国で育ち、本来なら出会うべき相手ではなかった。

これは罰なのだろうか、人生の終わりのはかない幻なのか。

 

それでもアルは、ラーモセと出会えたことに、ただ感謝したかった。

 

 

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「私はラーモセの心にずっといるよ。ずっと側にいる。どこにもいかないよ」

 

暗闇の中では、ラーモセの顔がはっきりとは見えない。

でも今、ラーモセが泣いているような気がした。

 

母親が亡くなった日以来、サブやエセの前でも涙を見せなかったラーモセが、初めて心を許した瞬間だった。

二人はしっかりと手を取り歩き続けた。

 

光のない暗闇を、互いの手の温もりだけを頼りに。

 

 

 

 

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「パピルスの詩」