虹の約束♪ -5ページ目

虹の約束♪

「いつも喜んでいなさい・・・」

・・・

 

沈黙の後、再びアルは続けた。

 

 

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「何故ここへ来たのか、どうやってここへ来たのか、全くわからないわ。

でもわかったこともいくつかはあるの。私がここへ来た理由は必ずあるということ。

その意味を見つけるためには、私は、私の使命を果たさなくてはならないってこと。

それがどんなことであっても。

もしもそれを果たせないなら、私の魂は天国へは行けず、地獄へ行くということ。

自分で自分の命を絶った責任というよりは、多分、

私が誰かを憎み復讐を果たそうとしたからなんだと思う。

 

 

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今ならなんとなくだけど理解できるの。

他人を恨んでいる人間は、安らかに眠ることなどできないんだということを。

そして、いつかは、私は自分のいた世界に戻らなくてはならないと思う。

初めは何がなんだかわからずにいたけど、時間が経つに従って、

次第に、おぼろげだけど、そういうことなんだって思えてきた」

 

 

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ラーモセは相変わらず何も言わない。

 

アルは全てを告白し、肩の荷が下ろされた安堵感があった。

ラーモセに秘密を持ち続けるのは正直辛かった。

ようやく胸の痞(つか)えがが取れた感じだ。

彼が今どう思うと、それでも話して良かったと思う。

 

だが、自分の命がそう長くないことは知られたくなかった。

元いた世界に戻るということが、

即ち自分の死を意味するということはまだ話せないと、そう感じた。

黙り続けるラーモセは言う。

 

 

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「私に失望したでしょう?

私は勇敢でもないし、いい人間でもないの。弱くて卑怯な人間だわ。

それでもラーモセには本当のことを話しておきたかった。気が楽になった」

 

何も反応せず沈黙を続けるラーモセに、次第にアルは腹が立った。

慰めてほしいとは考えていないが、一世一代の勇気を振り絞っての告白に、

無視はないだろうと思った。

 

「何よ、なんでずっと黙っているのよ。

もしかしたら私の話が嘘だと思っているの?

せっかく勇気を出して言ったのに」

 

 

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「お前が俺に嘘をつく理由があるのか。全部信じるよ。

初めから何となくわかっていた。お前が普通の人間ではないことくらい」

 

初めて口を開いた。

 

「ごめんね、今まで黙っていて。

でもなんて話したらいいのかわからなかったの。

ラーモセ、私のこと怖くなった?

あるいは面倒だとか、重荷とか。

もし私のことが重荷になるなら、、

ラーモセを苦しめたくないから。

私なら平気だから」

 

ラーモセは突然アルを抱きしめた。

 

 

 

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「パピルスの詩」

 

 

 

 

 

・・・

 

外は真っ暗だ。

 

 

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ラーモセはアルの手を取り歩き出した。砂漠の上を二人の足跡が続いた。

三日月と星の放つ光に闇が照らされる。しかし外灯はない。

都会の夜道にようにはいかない。

 

 

 


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ラーモセには見えているものもアルには見えない。

つないだ手だけが頼りだった。

相手の顔もはっきりと見分けられない。だがアルには好都合だった。

 

「私、遠い未来からここに来たの」

 

アルのいきなりの告白で、さすがのラーモセも足を止めた。

 

アルは話を続けた。

 

「こっちを見ないで私の話を聞いて」

 

 

 

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何故か顔を見られたくなかった。二人は闇の溜まりを再び歩く。

風の音以外何も聞こえない。アルの声が響いた。

 

「私の国の名は日本ていうの。この前話したよね。場所はここから遥か東の方。

東西南北海に囲まれている。私の家族は、父と母と私の三人。

ラーモセほどではないけど、私の良心もかなり有名人で結構お金持ち。

他人は私を羨んだりやっかんだりしていたわ。

 

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でも私は一度も幸せだと思ったことがなかったの。

良心共々忙しくて、ほとんど家にはいなかったし。

私は小さい頃からいつも独りぼっちだった。友達もいなくて孤独だった。

それでも良い子の振りをして自分を偽って生きてきた。

本当の自分を知られるのが怖かったの。

だから誰にも自分の気持ちを打ち明けられなくて、いつの日からか生きるのが辛くなっていた。

 

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毎日窒息しそうだった。父も母も大嫌いだった。

生きていることに嫌悪感が芽生え始め、自分は誰にも望まれていないし、

生まれてきてはいけなっかったんだと思い始めたの。

心には憎しみと恨みと復讐心だけだった。真っ暗。

それである日決めたの、死のうって。

両親に私を産んだことを後悔させてやりたかった。

それで自分の十七歳の誕生日に・・・(中略)・・・・・・・

気付いたらここにいた。覚えているのはそれだけ。ひどい話でしょう」

 

 

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ラーモセは何も言わなかった。

 

ただ手に力が込められた。

 

アルも今は何か言ってほしいのではなかった。

 

ただ、ラーモセには正直に話さなくてはいけないと思ったのだ。

 

 

 

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「パピルスの詩」

 

 

 

ラーモセにとってここは神聖な場所だ。当然誰にも知られたくないだろう。

 

・・・

 

「ラーモセの気持ちだけで十分だよ。

ここに連れてきてくれてありがとう。

すごく嬉しい。二人でここを封鎖しよう」

 

ラーモセはアルの頭を撫でた。

 

「お前に俺の全てをやりたい。この命も惜しくない。

お前が必要なときは、俺は自分の命も投げ出す。

そのくらいお前が大切だ。他の何物にも比べられない。

いつでも俺を呼べ」

 

 

 

 

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アルはラーモセの一途に少し怯む。

 

「前に約束したよね、私より先に死なないって。

だからそんなことを言わないで、悲しくなるよ。

ラーモセにはずっと生きてほしい。それが私の一番望むこと」

 

ラーモセは何も言い返さず笑った。

 

 

 

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二人は再び通路に出て、細い階段を上がる。

地の底から地上に向かって一歩ずつゆっくりと。

 

そして抜け穴から出ると、しっかりその穴を岩で塞ぎ、砂で覆った。

 

 

 

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しばらく二人は無言で佇んだ。

 

過去への離別なのか、新しい明日への旅立ちなのか、

それとも新たなる試練の前触れなのか、自分を一新させるための義式なのか、

とにかく様々な思いを封じ込め、二人はそこを離れた。

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

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・・・

 

それでもまんざらではないのか吹き出して笑う。

 

「ああ、お前と話をしていると、深刻な話さえくだらなくなって思えてしまう。

悩みのない単純な奴はいいよな、繊細な俺には理解しかねる」

 

アルはラーモセの手を握る。「本当だよ。私はラーモセが誇りだよ」

 

「俺なんて、何もできない世間知らずなだけだったんだ。

でもあいつらが、サブやエセが色々教えてくれて、支えてくれたからここまで生きてこれた。

あいつらと出会えわなければ、俺なんて・・・・・・・・。とっくに死んでいた」

 

 

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「だから盗賊の仲間に入ったの? サブに恩返しするつもりで」

 

アルが優しく訊いた。

 

「そんなつもりじゃ・・・・・」

 

「大丈夫。サブはちゃんとわかっているよ。ラーモセの本当の気持ちを」

 

二人の視線が交わり合う。ラーモセが微笑んだ。いつものあの優しい眼を向ける。

 

「お前には何でもわかっちゃうんだな」

 

 

 

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「そんなことないよ。これでも結構取り乱したり、後悔したり。

案外本当の私を知ったら、ラーモセは私を嫌いになるかもよ」

 

アルはラーモセの手を離した。

 

「俺は何を聞いても驚かないよ。初めからお前に何の期待もしていないからな」

 

 

 

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今度はアルがラーモセを睨む。

 

「やっぱり性格悪いよね。この際、直したらいいんじゃない?  そのひねくれた性格を」

 

「俺は頭も性格もいいし、直すところはどこもない。それに気前もいい。

この中から何でも好きなものをお前にやる。受け取れ」

 

アルは眉間に皺を寄せる。

 

「だからいらないって言っているでしょう。しつこいわね。お母さんの首飾りで充分よ。

そんなにあげたいなら、サブやエセやアケトのみんなにあげればいいじゃない。

喜ぶわよ。盗賊にならなくてもすむしね」

 

ラーモセは顔を曇らせ、低い声で言う。

 

「ここはみんなには知られたくない。自分勝手かもしれないけど、嫌なんだ。

お前だから連れて来た。いつかは誰かに発見され、盗掘されるだろう。

墓泥棒はここを必ず見つける。それでも嫌なんだ。ここは誰にも知られたくない。

だから今日、ここを閉鎖する。俺も二度とここへは来ない。今日が最後のつもりで来た。

お母さんに別れを告げに来たんだ」

 

 

 

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アルも神妙な顔になる。

 

「ごめんね、そんなつもりで言ったんじゃないけど、すごく無神経だったよね」

 

ラーモセにとってここは神聖な場所だ。

 

当然誰にも知られたくないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

・・・

 

「王様は、つまりお父さんはお母さんを愛していたと思うよ。

でもどうにもならなかったんじゃない?確かに悲しい結末だけど」

 

ラーモセは自嘲的な笑いをこぼした。

 

「あんな王室、壊れて当然だ。外国の支配者たちの方がよっぽどマシさ。

エジプト王朝が崩壊したのは、余所からの力に依ったのではない。

自らの腐敗と衰退に依ったんだ。廷臣や官僚全員腐っている。自業自得だ。

いい気味さ。まあ、俺にはどうなろうと関係ないけどな」

 

 

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アルは潤んだ瞳でラーモセを見た。

 

「なんだよ、なんでそんな顔で俺を見る?」

 

ラーモセは怒った。

 

「だって、ラーモセの眼がすごく悲しんでいるから。

ずっと独りで重荷を背負っていたんだね。

ごめんね、気付いてあげられなくて」

 

「別に、そんなつもりでお前をここに連れて来たんじゃない。ただ、俺は・・・・・・・」

 

「一緒に背負いたい。あなたの悲しみも怒りも苦しみも淋しさも。半分なら少しは楽になれるよ。もう独りでで抱え込まないで」

 

 

 

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ラーモセはアルの言葉で絶句した。

 

「このお墓のことだけど、お父さんはお母さんに、この場所を教えていたんでしょう?

いつかまた会えると信じていたんじゃないかな。

お父さんはラーモセやお母さんのことを絶対忘れてはいなかったよ」

 

ラーモセは顔を伏せた。

 

「そんなことどうしてお前にわかる?」

 

 

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「わかるよ、私は天才だから。

そしてラーモセもお父さんが恋しくてここに来たんでしょう?

お母さんの遺体もここにあるんでしょう?だから私をここに連れて来た」

 

ラーモセは顔を上げ、眼を見張る。

 

「どうしてそれを知っている?誰にも話していないのに。サブやエセにだって」

 

「なんだ、やっぱりそうだったんだ」

 

ラーモセは途端に顔をしかめた。

 

「俺を騙したのか。何が天才だ、ただの詐欺師じゃないか。人の心をもてあそぶなよ」

 

ふてくされたラーモセを見て笑った。

 

 

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「だってお母さんのお墓がなかったから、そうかなって。

お母さんの遺言だったんでしょう?

ラーモセはそれをちゃんと守った」

 

ラーモセは不承不承答えた。

 

「仕方ないだろう。気が進まなかったけど、最後にお母さんが俺に頼んだんだ。

父親と同じ所で眠りたいって。でもそんなこと、誰にも言えなかった。

知っているのはお前だけだ」

 

アルは涙が滲んだ。

 

 

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まだたった十二歳の子供だったラーモセが、自分の母親の死を看取り、

独りでその遺体をここまで運んだと思うと、やるせなかった。

ラーモセを抱きしめてあげたいという心情を辛うじて抑える。

 

「勇気があるよ。ラーモセよくやったね。よく頑張ったね。私が誉めてあげる」

 

「バカ言うな。お前に誉めてもらったって何の意味もない。二度と言うな、胸が悪くなる」

 

 

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ラーモセは面映ゆい表情で声を荒げる。

 

それでもまんざらではないのか吹き出して笑う。

 

 

 

 

 

「パピルスの詩」