眼がすごく悲しんでいるから | 虹の約束♪

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「いつも喜んでいなさい・・・」

・・・

 

「王様は、つまりお父さんはお母さんを愛していたと思うよ。

でもどうにもならなかったんじゃない?確かに悲しい結末だけど」

 

ラーモセは自嘲的な笑いをこぼした。

 

「あんな王室、壊れて当然だ。外国の支配者たちの方がよっぽどマシさ。

エジプト王朝が崩壊したのは、余所からの力に依ったのではない。

自らの腐敗と衰退に依ったんだ。廷臣や官僚全員腐っている。自業自得だ。

いい気味さ。まあ、俺にはどうなろうと関係ないけどな」

 

 

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アルは潤んだ瞳でラーモセを見た。

 

「なんだよ、なんでそんな顔で俺を見る?」

 

ラーモセは怒った。

 

「だって、ラーモセの眼がすごく悲しんでいるから。

ずっと独りで重荷を背負っていたんだね。

ごめんね、気付いてあげられなくて」

 

「別に、そんなつもりでお前をここに連れて来たんじゃない。ただ、俺は・・・・・・・」

 

「一緒に背負いたい。あなたの悲しみも怒りも苦しみも淋しさも。半分なら少しは楽になれるよ。もう独りでで抱え込まないで」

 

 

 

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ラーモセはアルの言葉で絶句した。

 

「このお墓のことだけど、お父さんはお母さんに、この場所を教えていたんでしょう?

いつかまた会えると信じていたんじゃないかな。

お父さんはラーモセやお母さんのことを絶対忘れてはいなかったよ」

 

ラーモセは顔を伏せた。

 

「そんなことどうしてお前にわかる?」

 

 

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「わかるよ、私は天才だから。

そしてラーモセもお父さんが恋しくてここに来たんでしょう?

お母さんの遺体もここにあるんでしょう?だから私をここに連れて来た」

 

ラーモセは顔を上げ、眼を見張る。

 

「どうしてそれを知っている?誰にも話していないのに。サブやエセにだって」

 

「なんだ、やっぱりそうだったんだ」

 

ラーモセは途端に顔をしかめた。

 

「俺を騙したのか。何が天才だ、ただの詐欺師じゃないか。人の心をもてあそぶなよ」

 

ふてくされたラーモセを見て笑った。

 

 

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「だってお母さんのお墓がなかったから、そうかなって。

お母さんの遺言だったんでしょう?

ラーモセはそれをちゃんと守った」

 

ラーモセは不承不承答えた。

 

「仕方ないだろう。気が進まなかったけど、最後にお母さんが俺に頼んだんだ。

父親と同じ所で眠りたいって。でもそんなこと、誰にも言えなかった。

知っているのはお前だけだ」

 

アルは涙が滲んだ。

 

 

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まだたった十二歳の子供だったラーモセが、自分の母親の死を看取り、

独りでその遺体をここまで運んだと思うと、やるせなかった。

ラーモセを抱きしめてあげたいという心情を辛うじて抑える。

 

「勇気があるよ。ラーモセよくやったね。よく頑張ったね。私が誉めてあげる」

 

「バカ言うな。お前に誉めてもらったって何の意味もない。二度と言うな、胸が悪くなる」

 

 

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ラーモセは面映ゆい表情で声を荒げる。

 

それでもまんざらではないのか吹き出して笑う。

 

 

 

 

 

「パピルスの詩」