虹の約束♪ -6ページ目

虹の約束♪

「いつも喜んでいなさい・・・」

・・・

 

テレビで見たような恐怖はない。

何よりもラーモセが側にいるので安心していた。

 

むしろ土足で踏み入ることに抵抗を覚える。

ラーモセはいいとしても、自分はよそ者だ、眠れる死者の霊たちが怒らなければいいと願った。

 

ラーモセはがある部屋に入り、ランプに火を灯した。

いきなり視界が開け、あたりが輝き出し眼が眩んだ。

 

 

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天井にも壮大な壁画が光に浮かんでいる。

黄金の山とはこういうものを言うのかと、自分の眼を疑う。

まるでおとぎ話に出てくる宝の洞窟だ。

黄金の馬車があり、壺や木製の家具、彫像などが、所狭しとひしめき合っている。

 

一番奥に石棺があった。ラーモセは黄金の椅子に座った。

様になっているのが癪だったので、アルは嫌味な言い方をした。

 

 

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「ここはあなたの別荘なの?」

 

ラーモセは口を横一文字にし皮肉に笑った。

 

「父親の墓だ」

 

アルの予感は的中した。

 

「へえ、すごいね。ラーモセお金ちなんだんね。これならあと何年の飢饉も大丈夫じゃない?お父さんに感謝だね」

 

気の利いた言葉が浮かばずつい、冗談を言ったつもりだが、バカなことを口にしてしまった。

 

 

 

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ラーモセはいつものように睨む。

 

「ほしいならお前に全部やる。俺は父親のものは何一ついらない。

そもそもこの人を父親だと思ったことなど一度もない。

母や俺を捨てて苦しめた人間だ。何の情も感じない」

 

アルはラーモセの気持ちが理解できた。

 

「親を好きになれないなんて辛いよね。どこへ逃げても、それは常につきまとう」

 

 

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「知った風なこと言うな。そもそも一緒に暮らしたこともない人だ。

家族とはいえない。父親には当然幾人もの王妃や側室がいた。

俺の母さんは若くて美人だったから、父親の気に入りだ。

その内それが第一王妃の恨みを買った。後継者問題はあそこでは熾烈な戦いだ。

殺し合い、裏切り、血縁者同士の結婚は当たり前だ。

母親は書記の娘で、やはり宮廷内に嫁ぐことは名誉だったらしく、

ファラオの気に入りとなれば、俺には王子としての期待がかかる。

幼くして当時はあまり理解できなかったが、水面下では着実に争いの渦中に放り投げられた。

第一王妃とその寵臣の策略で、俺の母親には若い愛人がいるというデマが流された。

父親はそれを信じた。普通ならファラオへの背信行為は即刻死刑に当たる。

でもさすがに父親はそれを躊躇った。母親と俺を密かに逃がしたんだ。

共もつけず宮廷を追われた。まるで犯罪者のように。そしてテーベにたどり着いたんだ。

無実の母さんは最後までそれを悔やんでいた。そして宮廷や父親を懐かしんで死んだ。

自分の無実の罪が晴れた日には、ファラオが必ず迎えに来てくれると信じて。

バカだよな」

 

 

 

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「パピルスの詩」

 

 

 

・・・

 

 

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ラーモセは土が盛り上がった小山の前で足を止めた。

 

当然標識も番地もない場所だ。

なのにここがその場所であることを確信しているようだった。

 

 

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辺りは谷山が続いており、どこも似たような大観だが、何か空気が淀んでいるような感じがして、薄気味が悪い。

乾燥した大地が、冥界への入り口をまさに開こうとしているようだった。

 

この丘に夕陽が沈んだのを考慮すると、西の方向に違いない。

エジプトの知識の乏しいアルであるが、さすがにここがどんな場所か容易に予想できた。

 

 

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ラーモセはさっきとはまるで違う表情を見せていた。

仮にいかなる場所でも、ラーモセを信じ恐れずついて行こう。

 

ここに彼の真髄ともいえる、世界観があるに違いない。

見届け、理解し、受け止めてやりたかった。

そしてその如何によらず、どのような結果をもたらそうとも、アルは一つの決心をしていた。

 

「ここだ、入り口は狭いから気を付けろ。しかし中は広い。暗いから足元に注意しろ」


 

 

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ラーモセは砂を掘り、出てきた岩を横に転がすと、屈んでようやく入れるような穴を見つけた。

どうやら正面入り口というわけではなさそうだ。おそらく隠し扉のようなものだろう。

 

ラーモセは。

篝火のように炎は周りを照らした。

 

 

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いよいよ穴の中に二人は入る。

異臭が鼻に突く。閉め切っていただけどは思えない。

背筋に冷たいのが走った。

 

壁は岩盤を掘ったように綺麗に削られていて、壁画や文字が描かれている。

細い通路に階段がありどんどん地下へと下りて行く。

 

 

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突然広い空間に出たかと思えば、また通路があり、

進むと左右に石の部屋がいくつもあったが、中は暗くてよく見えない。

ラーモセは何の説明もなく黙々と進んだ。

 

ここが王家の墓であることはアルにもわかった。

 

・・・

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

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・・・

 

「そうだな、先のことをくよくよしても仕方がない。

明日は明日の風が吹く。今日は今日の風が吹く。

お前のその変な顔も忘れないでおく。思い出して笑えるようにするために」

 

 

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「私だって、ラーモセのその性格の悪さを忘れないでおくわ。

思い出して腹を立て、落ち込んでいられないようにするために」

 

「俺の性格のどこが悪いんだ?ふざけるな。お前の方がずっとひどい。

どうしてこんないいとこ一つもない女なんか拾ったんだかな。

わかっていたらあのまま捨てておいたのに」

 

 

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「はいはい、わかりましたよ。私が全部悪いんでしょう。本当に子供ね、すぐに怒って」

 

「俺が子供だって?」

 

アルは取り合わず進んだ。

 

振り向くとラーモセは遠い方向へ歩いていた。

またへそを曲げているので呆れた。

 

闇が少しずつ降り始めていたので、逆らうのをやめラーモセに従った。

はぐれたら大変だ、急ぎ足で追いつく。

 

 

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「パピルスの詩」

 

 

 

 

 

・・・

 

ラーモセはアルに言う。

 

 

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「今ならお前の涙が理解できるよ。

初めて何故泣くのかわからなかった。

でもどんな美しい景色も、独りで見るなら何も感じない。

でも大切な人とそれを見るから感動するんだ。

嬉しいことも、悲しいことも、誰かと共有すれば倍になったり、半分になったり。

生きるってそういうことだよな。今ならわかるんだ。

でも人は、その大切な人が突然眼の前からいなくなったら、どうするんだろう。

こんな素晴らしい景色に、もしかすると二度と感動することができなくなってしまうのか。

そんなふうに心が死んでしまったら、どうやってもう一度それを取り戻せる?

それが俺には怖い。お前を絶対失いたくない」

 

ラーモセが珍しく感傷的になった。

 

 

 

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「大切な人や、心に沁みる綺麗なものは、必ず記憶に残るよ。絶対忘れない。

その思い出がその人を励ましてくれるよ。もう一度感動させてくれる。

だって人は一人で生まれ、一人で死ぬじゃない?

誰もそれから逃れられないもん。

残された方はそれでも生きなくてはいけない。

でも人はそれでも美しいものを喜べる力が持てるよ。

きっとね、そう信じたいな。

それまでいっぱい心に美しいものを残したいな。絶対忘れないように」

 

ラーモセは熱のこもった瞳でアルを見た。

 

 

 

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「パピルスの詩」

 

 

 

・・・

 

ラーモセは西へ西へと進んだ。

 

陽が昇ったが、さして強い陽射しではなかった。

エジプトは冬の季節にあっても、日中は気温が高い。

 

 

 

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だがこの日は心地良い風が肌に触れた。

体力のないアルには助かった。

 

疲れはしたが、ラーモセのさっきの言葉で、アルは苦しみを忘れた。

足の疲れも喉も渇きも眼中にない。

 

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ラーモセの逞しい背中が、アルに底知れぬ力をくれた。

時折心配そうにラーモセが振り返りアルを見た。

その優しい瞳がアルを励ましてくれた。

 

休憩を挟み、すでに日も暮れた頃、どうにかやっと目的地近辺まで来たらしい。

 

 

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小高い丘から沈む夕日を見た。

二人は肩を並べ、黄金色と赤や青や紫色に染まった、まるでこの世のものとは思われないような美しい黄昏の空を眺めた。

 

オーロラを見ているような錯覚さえする。

眼の前に広がるその雄大な絶景にアルは絶句した。

 

 

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しっかり心に焼き付けたかった。涙が零れた。

どうしても抑えることができなかった。

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

 

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