くすぐったい甘い香り | 虹の約束♪

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「いつも喜んでいなさい・・・」

・・・

 

アルはどんどんラーモセに惹かれていく自分に戸惑う。

 

このままでは、気持ちが弱まってしまう。勇気が失せてしまう。

そう思えば思うほど、落ち着かなかうなる。

どうしていいのか全くわからなくなっていた。

 

 

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困り果てているアルを、ラーモセは労りながらこう言った。

「心配するな。俺たちは大丈夫だ」

 

その一言で少し楽になれた。心配するのはよそう。

明日何が起ころうとも、向き合う気持ちさえ失わなければ、何とかなるはずだ。

 

「お前は案外頑固者だよな。素直じゃないし。昔からそうなのか?直せよ、その性格」

 

「何よ、それ?やっぱりあなたとは結婚できそうにないわね。本当に無神経なんだから」

 

 

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「だってそうだろう。俺のこと一度も、どう思っているのか言わないじゃないか。

好きなら好きって言えばすむのに。

何照れているんだよ、お前なんか好きな人間なんか、俺ぐらいしかないだろう。

あとで後悔するなよ」

 

アルは確かに、自分でも素直じゃないのは認めていた。

それでも自分の気持ちを表現するのは、思いのほかとても難しく、簡単ではない。

そんな器用なら、この世界に来ることもなかったはずだ。

口をへの字に曲げ、今度はアルが機嫌を損ねた。

 

 

 

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ラーモセは少し心配そうにアルを横目で盗み見た。しばらくラーモセは考えあぐね、渋々折れた。

 

「わかったよ、俺が悪かった。だから機嫌直せよ。

お前がそんな顔すると、今の俺には勝ち目がない。お前のことしか考えられなくなっているんだ。

それをわかっていて意地悪くしているなら、お前も相当食わせ者だぜ」

 

アルは満足そうにラーモセを眺めた。

 

「なんだよ、その勝ち誇った顔は。全く、どうしてこんな女好きになったんだろうな。

本当に俺はバカだぜ」

 

アルは生まれて初めて幸せを実感した。

 

 

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「ラーモセのような純粋な男の子は初めて見るよ。私には羨ましいくらい。

生まれ変わったら、ラーモセみたいになりたいな」

 

ラーモセは嬉しそうに笑った。

 

「ふざるな。生まれ変わっても俺はもう一度、今の自分に生まれる予定だ。

そして必ずもう一度、お前を見つけて、お前を好きになる。何度繰り返しても、俺はそうする」

 

二人の肩が触れ合った。

 

パピルスが揺れ踊った。さわさわと唄を歌う。

大きな鳥、トキがナイル川を渡って行く。

 

 

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時間が止まったようにゆっくり流れた。

 

こんな感覚は初めてだった。

アルはこの日を忘れまいと気持ちに刻んだ。

 

くすぐったい甘い香りがした。

 

 

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「パピルスの詩」