奇跡集

小野寺史宣 集英社 2022年5月




同じ電車の同じ車両に、たまたま乗り合わせた見しらぬ男女たちがつなぐ、幸せのふしぎスイッチ。

 小さいけれど確かに人生を左右する(かもしれない)7つのミラクルを描く、連作短編小説!



同じ快速電車に乗り合わせた人たちの出来事。



気分が悪くなった人が降りてから、一駅先から、引き返してまで様子を見に戻る。

痴漢のことで、もめていた時、その時の見た事実を伝えに行く。

 他人のことは知らん顔する人が多い中、ちょっぴり勇気のいるその行動 に温かみを感じた。

その行動を起こしたことで、奇跡が起きる。


他にも、交際相手の浮気相手を尾行する話やある目的で人を追っている警察官の話などがあった。


電車内で

イヤホンで音楽を聞いていた人に、音量を下げてほしいというお願いする。

その注意を素直にきいてくれる。

そんな一場面があった。

普通のことかもしれないが、それがとても心地よかった。




お気に入り度⭐⭐⭐


それは誠

乗代雄介 文藝春秋 2023年6月








第169回芥川賞候補作に選ばれた、いま最も期待を集める作家の最新中編小説。

修学旅行で東京を訪れた高校生たちが、コースを外れた小さな冒険を試みる。その一日の、なにげない会話や出来事から、生の輝きが浮かび上がり、えも言われぬ感動がこみ上げる名編。



修学旅行の自由行動の班決めは、誠が学校を休んでいる間に決まっていた。

誠は、その日、一人で、おじさんに会いに行くつもりだった。

しかし、男子3人も、誠と一緒に行くことになり、女子3人と別行動する。



教師にばれないように、男子のGPSを女子に渡したり、警察官の質問にウソを話したり~


この小さな冒険旅行のような一日が、誠たちの関係を深めていく。


松の母親の誠を信頼してくれている言葉に涙。


女子も協力し、まとまった感じがよい。


おじさんに会えるのかと心配したけど……

静かな感動があった。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐





アイリス

雛倉さりえ 東京創元社 2023 年5月






子役として映画『アイリス』に出演し、脚光を浴びた瞳介は、その後役者として成功できずに高校卒業前に芸能界をやめた。だが、映画で妹役を演じ、現在は女優として活躍する浮遊子との関係は絶てずにいる。『アイリス』の栄光が、彼を過去へと縛りつけていた。そしてそれは、監督の漆谷も同じだった。28歳で撮った『アイリス』は数々の賞を受賞したが、彼自身はどれだけ評価を得ても、デビュー作を超えられないという葛藤を抱えていた。ひとつの映画が変えた俳優と監督の未来。人生の絶頂の、その先の物語。


脚光を浴びた映画「アイリス』の監督と出演者のその後。


瞳介は、役者として見切りをつけ、大学に通っているのだから、新しい道を見つけるべき。

なのに、妹役だった浮遊子と 今も関係を持っている。

それは、映画界への未練か、執着か?


瞳介が行ったことは、浮遊子を現実の世界に取り戻したかったのだろうが、身勝手だ。



一度、素晴らし作品を作ったら、観客はそれを超える作品を期待する。


漆谷監督は

〈おれ作品の価値はおれが決める〉という。

評判は気にならないのか?


「アイリス』を超える作品はできたのか?


浮遊子も現実の世界では生きづらく、芝居の中の虚構の世界でしか生きられない。


監督や役者の仕事って、たいへんな世界だと思った。


お気に入り度⭐⭐⭐



迷子の大人

坂井希久子 実業の日本社 2012年9月





派遣社員を辞めて専門学校へ通い、志高く、介護福祉士となった梓(27歳)。 仕事上の理想と現実のギャップに悩み、恋人には寿退社を迫られ迷走する日々。 ある夜、帰宅途中の新宿駅でふと思い立ち、「行くなら今しかないでしょう」と特急「あずさ」に乗り込んだ。 降り立ったのは、夜の上諏訪駅。人っこひとりいない、開いている店もない駅前で、梓は途方に暮れる……。 たどり着いた町、長野県・高遠町と東京を行き来しながら、自分の恋を、仕事を、 生き方を模索する梓の姿をいきいきと描く、青春・恋愛小説。



人生の迷子になった梓。

行くあてもなく、同じ名前のあずさに乗り、行き着いたところは、諏訪駅。

 そこから宿に連れていってくれた人や宿の人たちとすごすうち、梓の心は癒されていく。



いい出会いがあり、

今まで、人の意見にさからわずにすごしてきた梓が自分の考えをはっきり言えるようになってよかったと思う。



でも、あのすっぽかしは、だめでしょう。



介護の現場で、梓は、お年寄りたちと新しい関係性を求めて接して行く姿は、たくましさを感じた。


高遠は、桜の季節に訪れたことがある。

それはそれはきれいだったことを思い出した。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐


あなたには、殺せません

石持浅海 東京創元社2023年7月






犯人だって、好きで犯罪に走ろうとしているわけではありません。必ず迷いがあります。その段階でうちに来てもらえれば、犯罪の発生を未然に防ぐことができます」――そのNPO法人には、罪を犯すか悩む人が相談にやってくる。相談員はそんな犯罪者予備軍たる人々から聞き出した犯行計画の穴を次々と指摘していく。不備を突かれた者たちの殺意は、果たして本懐を遂げるのか。犯罪発生を未然に防ぐ!? 新しい形の倒叙ミステリ短編集!

【目次】
「五線紙上の殺意」
高校時代の同級生とコンビで音楽活動をする有馬駿。その相方に裏切られた恨みを晴らすために相手を殺すと心に決めている。

「夫の罪と妻の罪」
夫が人を殺す瞬間を目撃した妻は、事件が発覚する前に夫を殺し「殺人犯の妻」となるのを避けようとする。

「ねじれの位置の殺人」
服部建斗は思いを寄せていた女性を水難事故で失った。彼女が増水した河川敷から逃げ遅れた原因が双子の姉にあると考えた彼は、復讐を誓う。


「かなり具体的な提案」
パートナーに暴力を振るわれていた英会話教室の講師を見捨てて死なせただけでなく、その責任を擦り付けてきた知人に、日下部渉は殺意を募らせる。

「完璧な計画」

同性の恋人が世間の目を気にしてお見合い結婚をすることになった目黒恵利。見ず知らずの男性に恋人を奪われる現実に耐えられず彼女の殺害を目論む。




犯罪の発生を未然に防ぐためのNPO法人。

こんな、犯罪を起こす前の駆け込み寺、ありそうで、今まで、なかったんじゃないかな?


誰を殺したいか?

なぜ殺したいか?

どんな方法を考えているのか?


ていねいに聞いていき、その可能性を検証していき、決行するのが困難なことをひとつづつ説いていく。


「あなたには、殺せません。』という結果になる。


相談者は、相談員の話に納得して帰っていく。


相談員の説得に従い、 殺しをやめるのか?

相談員の裏をかいて、殺しを実行するのか?


短編、それぞれ、違う結果で、とてもおもしろかった。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐


若葉荘の 暮らし

畑野智美 小学館 2022







感染症の影響を受け、望月ミチルのアルバイト先の飲食店の売上が激減。バイト代が減ってしまったミチルは家賃の安い家に移ることを余儀なくされる。そんな彼女に友人が紹介してくれたのが、40歳以上独身女性限定のシェアハウス「若葉荘」だった。 不安を抱えながら若葉荘の門を叩いたミチルだったが、温かく迎えてくれた管理人・トキ子さんに出会い、ここに住むことを決める。同世代の千波さんと幸子さん、50代の美佐子さんと真弓さん、何かに傷つけられ、それぞれに重荷を背負いながらも、逞しく生きる住人達との交流の中で、ミチルは自分の幸せを自分軸で探す術を身につけていく。 生きづらい世を懸命に生きる全女性へ送る人生賛歌。



40歳以上独身女性限定のシェアハウス。

それぞれに悩みをかかえている。


今は、昔の長屋のように、他人に干渉するような環境はほとんどない。

けれど、ここでの暮らしのように、話をしたい人は、集まるといった場所があるのが、いいと思う。


人はそれぞれ違うということを理解したうえで、人と関わることは大切。



コロナ禍での生活、

40歳以上の女性の生きづらさを感じた。

こういうところでの共同生活もいいかも。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐

ジョンウィック

監督 チャド・スタエルスキ

出演 キアヌ・リーブス 




裏社会に語り継がれる一騎当千・伝説の殺し屋ジョン・ウィック。 愛を知り、表の世界へと足を洗い平穏な日々を送っていた彼は、ある日、不運にも彼の愛するもの全てをマフィアに奪われてしまう。 怒りに震え、心の奥底に封じ込めた"殺し屋の魂"を解き放ち、復讐のために独り立ち上がる。




を大切に思っていた気持ちは、痛いほどわかる。

今は亡き妻からの送りものの犬を殺され、愛車をズタズタにされた。

その復讐のために立ち上がる。


派手なアクションをただ楽しむのにはいい。

キアヌ・リーブスのカッコよさに釘付け。

でも、人殺しすぎじゃない?




ジョンウィック チャプター2



伝説の殺し屋ジョン・ウィックによる壮絶な復讐劇から5日後―。 彼のもとにイタリアン・マフィアのサンティーノが姉殺しの依頼にやってくる。しかし平穏な隠居生 活を望むジョンは彼の依頼を一蹴、サンティーノの怒りを買い、思い出の詰まった家をバズーカで破 壊されてしまう。愛犬と共に一命をとりとめたジョンはサンティーノへの復讐を開始するが、命の危 険を感じたサンティーノに7億円の懸賞金を懸けられ、全世界の殺し屋に命を狙われることになる。



サンティーノの姉殺しの依頼を断ったら、家を燃やされてしまう。

もう、 普通の生活には戻れないのか?

これまた、派手なアクション。


最後には、ジョンウィックに7億円の懸賞金をかけられる?

こんなところで終わったら、次を見ずにはいられない。



ジョンウィック パラベラム



裏社会の聖域:コンチネンタルホテルでの不殺の掟を破った伝説の殺し屋、ジョン・ウィック。全て を奪ったマフィアへの壮絶な復讐の先に待っていたのは、裏社会の秩序を絶対とする組織の粛清だっ た。1,400万ドルの賞金首となった男に襲いくる、膨大な数の刺客たち。満身創痍となったジョンは 、生き残りをかけて、かつて“血の誓印\"を交わした女、ソフィアに協力を求めモロッコへ飛ぶ。し かし最強の暗殺集団を従えた組織は、追及の手をコンチネンタルホテルまで伸ばして、ジョンを追い 詰める。 果たしてジョンは窮地を脱出し、再び自由を手にすることができるのか! ?



アクションが前作より、派手になってきた。


この殺戮は、いつまで続くのか?



お気に入り度⭐⭐⭐


夜空に浮かぶ欠けた月たち

窪美澄 KADOKAWA  2023年4月





東京の片隅、小さな二階建ての一軒家。庭に季節のハーブが植えられているここは、精神科医の夫・旬とカウンセラーの妻・さおりが営む「椎木(しいのき)メンタルクリニック」。キラキラした同級生に馴染めず学校に行けなくなってしまった女子大生、忘れっぽくて約束や締め切りを守れず苦しむサラリーマン、いつも重たい恋愛しかできない女性会社員、不妊治療を経て授かった娘をかわいいと思えない母親……。夫妻はさまざまな悩みを持つ患者にそっと寄り添い、支えていく。だが、夫妻にもある悲しい過去があって……。



篠原澪は、故郷から上京し、同級生ともなじめず、大学に行けなくなってしまう。

真面目な澪だからこそ、その気持ちに苦しくなる。




ほかにも、

 時間が守れないなど、だらしないイラストレーター。

恋人から、いつも重いと言われる女性。

誰の助けもない育児にいっぱいになってしまった母親。

そんな悩む人たちがいた。


その人たちに親身になってくれたのが、喫茶店の純さんや椎ノ木クリニックの旬とさおりさん。

〈人間は完全な丸じゃないのよ〉

〈生きているだけで、愛されるに値する人間なんたよ}

この言葉に救われる。


純さんやさおりさんたちにも、つらい過去があったのだな。

心の痛みがわかっているからこそ、寄り添えるのかも。


どんな人でも、

人生の中でいつ不安になるかもしれない。

いつ、うつになるかもしれない。

そんなとき、そっと手を差し伸べてくれる存在がいる。

弱っているときに助けてくれる人がいる。

それが大切なこと。


人生、いつからでもやりなおせる。


心にやすらぎを与えてくれる物語だった。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐

腹を空かせた勇者ども

金原ひとみ 河出書房新社 2023年6月






私ら人生で一番エネルギー要る時期なのに。ハードモードな日常ちょっとえぐすぎん?ーー陽キャ中学生レナレナが、「公然不倫」中の母と共に未来をひらく、知恵と勇気の爽快青春長篇。



この話読んだことある?って思ったら、

「緊急事態化の物語」の中の短編のひとつに表題作があった。


コロナの濃厚接触者の差別を感じた物語だった。


この話の続きが読めてうれしい。


元気でめちゃめちゃ明るいレナレナ(玲奈)

いっぱい食べ、友だちとおしゃべりしている様子は、青春真っ只中という感じで勇気がもらえる。


玲奈の母親が不倫していて、それが家族内で認められている。

 仕事、家事をこなし、文化的なことを好み、知能が高く、哲学的な理論を玲奈に話す。

好きになれない母親だが、そのバイタリティはすごいと思う。



俊君の家の店に友だちと行ったことに対して俊君が、ほどこしみたいのうざって怒ってる場面あった。

そのことからのさまざまな思案~


人の考え方、価値観、生き方はそろぞれ違うもの。

わかりあうということはむつかしいと感じた。


レナレナのその時その時の感情に共感しての読書。

まっすぐつき進んでいくところが好き。


ラスト、

イーイーの助言、

レナレナ、ミナミ、ヨリヨリとの友情がよかった。



お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐

27000冊ガーデン

大崎梢 双葉社 2023年4月



星川駒子は県立高校の図書館に勤める学校司書だ。たまたま居合わせた出入りの書店員・針谷敬斗と共に、生徒が巻き込まれた事件の解決に一役買う。 そんな二人のもとには、ディスプレイ荒らしや小口ずらり事件など、図書館や本にまつわる謎が次々と持ち込まれる!? 学校図書館を舞台にすべての本好きに贈る、心あたたまるミステリー。



高校の司書星川駒子と書店員の針谷が、本に関係した謎を解く短編集。


ここに 登場する本は、けっこう最近のもので、読んだことのある作品、知っている作家さんが多く、愛着が持てた。


放課後リーディング

外で読んでいた本を落とした。このままだとおれ、殺人犯にされてしまうと駒子に相談。


過去と今と密室と

図書館の鍵のかかった密室で、飾ったばかりのディスプレイがめちゃくちゃになっていた。

昔、鍵のかかった密室で、背表紙でない方がずらりと並んでいた ことがあった。


せいしょる せいしょられる

数学の真面目な先生がにわかに欠勤するという。図書館をよく利用していたことから、駒子に相談される。


せいしょる せいしょられる とは、どういうことをいうのか?


駒子が以前働いていた進学校の教職員、ひどい。

人格形成の大切な時期でもあるのに、大学合格率だけを重視するやり方は間違っている。


保健室登校ならぬ、図書室登校もあるんだな。


クリスティにあらず

サッカー部の部室の火事がおきる。

1ッカ月後、持ち物がなくなる事件が起き、そこに図書館の本が置かれているという出来事が続いていた。


を見上げて

料理とコラボする企画する。

生徒から、「春雨 」の本を探してほしいと言われ~


少しの手がかりから、みんなで強力して探すところがよかった。



お気に入り度⭐⭐⭐⭐