残月記
小田雅久仁 双葉社 2021年11月
近未来の日本、悪名高き独裁政治下。 世を震撼させている感染症「月昂」に冒された男の宿命と、その傍らでひっそりと生きる女との一途な愛を描ききった表題作ほか、二作収録。 「月」をモチーフに、著者の底知れぬ想像力が構築した異世界。 足を踏み入れたら最後、イメージの渦に吞み込まれ、もう現実には戻れない――。 最も新刊が待たれた作家、飛躍の一作!
そして月がふりかえる
ある日、もうひとつの世界に行ってしまい、もとの世界では、見知らぬ人が、自分の家族といっしょにいた・・・・・・・・
おそろしい。
月景石
叔母の桂子さんは、石を集めていた。その中の月景石を枕の下に入れて眠ると月に行けると言う。
澄香は、夢で、胸に月景石を抱いたイシダキになっていた・・・・・・・・
残月記
月昂という病気になった男女の物語。
月昂者に満月の夜に武器を与え殺し合いを演じる。
それを見学する。なんと悪趣味何だろう。
冬芽は、闘士として戦うことでしか、生きる道はなかった。
勝った日には、勲婦の女を抱ける。
老人施設で働いていた瑠香は、私の人生にはまだ何かあるはずと勲婦となった。
冬芽は、勝つたびに瑠香を選んでいた。
30の試合と45の夜を迎えたら、ふたりで暮らせるはずだった。しかし・・・・・・・・
残酷な運命でありながら、ずっと瑠香を思い続け、木像を掘っている冬芽の姿を想像すると切なくなる。
冬芽の崇高な愛を感じた。
月のもうひとつの世界にどっぷりはまりこんだ印象。
空想の話は、苦手だが、冬芽の愛に引き寄せられた。
お気に入り度★★★★