春の星を一緒に

藤岡陽子 小学館 2025年9月


 

 

救いと慈愛に満ちあふれた、感涙医療小説

奈緒(40歳)はシングルマザーの看護師として涼介と寄り添い生きてきた。その涼介も高校生、進路を考える年齢に。そんな折、大きな転機が訪れる。敬愛する医師三上の誘いもあり、思い切って東京の緩和ケア病棟で働くこととなる。死を間近に見つめる毎日の中、その瞬間まで幸せに生ききり希望を持てる最期を模索し続ける奈緒。一方、涼介は強く大きい夢を抱く。それは奈緒の夢でもある。母子の夢の行方、そして三上と奈緒のこれからは・・・・・・。






満天のゴール

の続編。7年後を描く。

耕平の突然の死はつらかったなあ。
しかしそれを転機に、涼介の将来のこともあり、東京へ。
三上の紹介で奈緒は東京の穏和ケア病棟で働き始める。

舞台は東京へ。


死を待つ人たちのケア。希望を持てる最後を迎えてあげたいという三上や奈緒の思いは届くのか。


患者の宮城は、10歳の子どもを残して、死を迎えるのは、つらいだろうな。

奈緒の提案により、子どもにいいものを残せたと思う。


 もうひとりの女性の患者、寺内。彼女が残した手紙には、息子への思いが切なかった。




三上と奈緒の関係は一向に進まず、心配したけど、最後には、いい結果となってよかった。


涼介は、夢にむかって、よく頑張ったよ。


題名の意味、ステキ!


お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐



満天のゴール

藤岡陽子 小学館 2017年10月



 

 

人の生と死に希望をもたらす感涙医療小説

奈緒(33歳)は、10歳になる涼介を連れて、二度と戻ることはないと思っていた故郷に逃げるように帰ってきた。長年連れ添ってきた夫の裏切りに遭い、行くあてもなく戻った故郷・京都の丹後地方は、過疎化が進みゴーストタウンとなっていた。
結婚式以来顔も見ていなかった父親耕平とは、母親を亡くして以来の確執があり、世話になる一方で素直になれない。そんな折、耕平が交通事故に遭い、地元の海生病院に入院。そこに勤務する医師・三上と出会う。また、偶然倒れていたところを助けることになった同じ集落の早川(72)という老婆とも知り合いとなる。
夫に棄てられワーキングマザーとなった奈緒は、昔免許をとったものの一度も就職したことのなかった看護師として海生病院で働き始め、三上の同僚となる。医療過疎地域で日々地域医療に奮闘する三上。なぜか彼には暗い孤独の影があった。
一方、同じ集落の隣人である早川は、人生をあきらめ、半ば死んだように生きていた。なんとか彼女を元気づけたい、と願う奈緒と涼介。その気持ちから、二人は早川の重大な秘密を知ることとなる。




「春の星を一緒に」を読む前に、まずはこの作品から。
途中まで読んで、既視感。この本以前に読んだことある?と疑ったが、テレビドラマで見ていたのでした。
おおよその 内容を知ってても、本で読むとより深く味わうことができた。



奈緒の夫、最低。奈緒は、別れたくないようだったけど、別れて正確だよ。
奈緒の息子涼介は母親思いのいい子だね。

地元に戻り、看護師として再出発。父の耕平と小学生の涼介と暮らし始める。



奈緒には、母の死のことで、わだかまりがある。
医師の三上、隣に住む老女早川、彼らにも、心残りの過去があった。

三上と早川の話は涙が止まらなかった。

老人達のゴオル 。生きた証しとして穏やかなゴールを迎えられたのではないか。地域医療、終身医療について考えさせられる内容だ。

奈緒も、父耕平や医師三上ら、まわりの人たちに助けられ、成長したなと思った。

お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐



みずもかえでも

関かおる KADOKAWA  2024年9月



 

 

落語家たちの情熱が、 目標を見失ったカメラマンの心に再び火をともす!

第15回 小説 野性時代 新人賞 受賞作!
落語好きの父に連れられ寄席に通うなか「演芸写真家」という仕事を知った宮本繭生は、真嶋光一に弟子入りを願い出る。「遅刻をしないこと」「演者に許可なく写真を撮らないこと」を条件に許可されるが、ある日、繭生は高まる衝動を抑えきれず、落語家・楓家みず帆の高座中にシャッターを切ってしまう。繭生は約束を破ったことを隠したまま演芸写真家の道を諦める。それから4年、ウェディングフォトスタジオに勤務する繭生のもとに現れたのは、あのみず帆だった……。





新年早々、とてもいい作品に出会った。


演芸写真家を目指す宮本繭生。

ある出来事から逃げて、今はウエディングフォトスタジオに勤務していた。


女性落語家の真打ちは少ない。そんな世界に身をおく女性落語家のみず帆。


繭生とみず帆が再開したことから、物語が進み始める。


一度は逃げた繭生だが、自分のやりたいことを再確認する。


特殊な職業を選んだ女性達。

彼女らの仕事に対しての熱い思いを 感じる。


カシャ、カシャと写真を撮る時のシャッター音が半端なく緊張感を感じた。



繭生の父、師匠の真嶋、後輩小峯(感性はいいが、生意気)などの登場人物との関係も、読み応えがあった


お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐



あけましておめでとうございます


今年もよろしくお願いします

101册中


いつもと違って、ちょっと変わった順位のつけ方をしました


まずはベスト3

1 

カフネ  阿部暁子


 



2

さいわい住むと人のいう 菰野江奈


 



3

あなたに心はありますか?一之木透


 


テーマ別に2 作品づつ


〇職人の、仕事に対する強い思い


藍を継ぐ海   伊予原新  


あの日の風を描く 愛野史香


〇伏線見事なミステリー

感情描写も見事


失われた貌  櫻田智也


流氷の果て  一雫ライオン



〇人間以外の生物、(霊を喰って生きているという存在、ヴァンパイア)にも、それぞれの過去があり、悩みもある



をんごく    北沢陶


あの子とQ   万城目学



〇動物にも心があり、相手を思う気持ちは、人と同じ


蒼のファンファーレ 古内一絵


今宵も猫は交信中  水庭れん



〇童話をもとに新しい物語


人魚が逃げた    青山美智子


右から二番目の星  水庭れん





今年1年ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。






今宵も猫は交信中

水庭れん 講談社 2024年8月



 

 

猫がごろごろと喉を鳴らす理由を、皆さんはご存じですか?
実は、テレパシーで他の猫と交信している真っ最中なのです――

宵、きせき、シュトレン、めい子の4匹は別々の家に引き取られた四姉妹。今日も元気にごろごろ喉を鳴らし、テレパシーで会話中。しかし、いつも明るいめい子の様子がおかしい。飼い主夫婦が離婚の危機にあるようだ。猫の自分には引き留めることができないと途方に暮れるめい子の元に現れたのはなんと宵だった! なぜならお姉ちゃんだから!

猫と猫、猫と人の絆を描く、猫視点ハートフルドラマ!




保護猫4姉妹、
めい子、シュトレン、きせき、宵の視点で、飼い主のことを語る。
困ったことは、猫同士の交信で助け合っている。


ふみふみスタンプ

飼い主さんが離婚の危機?

お互いが相手のことを思いやっての結果……

もっと話し合いすれば、相手のことがわかったのに……

めい子のふみふみのおかげだね。



がりがりリムーバー

シュトレンの飼い主のうららさん、最近、近所で怪しい人影を見て、つけられているかもと心配している。

 


すりすりクリソベリル

奥さんが亡くなり、宝石加工業をしているの長谷部工房の清時は元気がない。そんな長谷部工房に宝石商の神定が仕事の依頼に来る。


だまされたことよりも大切なこと……


ごろごろスヌーズ

寝てばかりの宵。

飼い主の真白、彼女の弟の直央のふとんの中でぬくぬくするのが好き。


血のつながりを超えた家族の思いやりを感じた作品。


めざましのアラームが鳴らないのは……





4姉妹の過去、猫同士の助け合い、飼い主を思う気持ちにほだされる。


猫からみた形だけど、人間模様が浮き彫りされていて、温かい気持ちになる作品だった。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐

中にいる、おまえの中にいる

歌野晶午 2025年7月



 

 

〈一気読み大賞〉第1位の前作『間宵の母』の続編。
前作で孫娘の思考を含め身体を乗っ取った間宵己代子が、今度は寄生先を、自分に復讐しようとしていた十八歳の青年・栢原蒼空に乗り換え「生きることこそわが宿業」と、なおも生き続けようとする。
著者最恐のホラー・ミステリー。書き下ろし作品。




間宵の母 」の続編

内容忘れていて、どうしようかと思ったけど、最初に人物紹介があり、思い出してきた。

〈ボールペンで……〉で終わってたんだっけ。



孫娘の思考を含め身体を乗っ取った間宵己代子が、孫娘が亡くなったことにより、今度は自分に復讐しようとしていた十八歳の青年・栢原蒼空の身体に移る。

ところが、蒼空の思考を操ることが出来ないまま、蒼空に入りこんでいる状態。

蒼空が話さないと巳代子とコンタクトが取れず、ぶつぶつ言っている蒼空はまわりからは怪しい人と思われている。



長年生きてきて、知識も豊富だが、古い考えの巳代子と、18歳と元気だが、世間のことはあまり知らず、金欠の蒼空。

このふたりの共同生活(?)


敵対関係だったふたりなのに、協力して、お金を稼いだり、ある者から追いかけられるのを逃げたりと協力しあっている。



ふたりの会話が コメディのようでおもしろかった。



巳代子を追い出すため、新しい寄生先をさがし、試してみるが……



ラストのオチ、そうきたか。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐



蒼のファンファーレ

古内一絵 小学館 2017年7月



 

 


藻屑の漂流先」と揶揄されていた緑川厩舎のメンバー達。
廃業寸前だった彼らが、芦原瑞穂という女性騎手の真摯な姿勢と情熱で生まれ変わり、G1の桜花賞に挑戦、惨敗した翌年。
場違いな超良血馬がやってくる。馬主はマスメディアでも有名な風水師。
何もかも謎めいている彼は、厩舎を立て直すきっかけとなった馬(フィッシュアイズ)との勝負を望んでくる。その狙いとは・・・・。
母との関係に揺れる誠、初めての恋愛感情に戸惑う瑞穂、昔の恋人と出会ってしまう光司・・・。
様々な出来事、思いを乗り越えて、再び心が一つになった厩舎のメンバー達。目指すのは、再び、G1。チャンピオンズカップ。
心に傷を抱えたはみ出し者たちが再び一丸となって臨む、大きな大きな夢の行方は・・・?






有名な風水師ミスター-ワンの良馬ティエレンが厩舎にやってくる。
彼は、瑞穂に乗って欲しいと希望し、フィッシュアイズと対決しようとするが……




馬にも心がある。瑞穂に対し、

 〈自分はティエレンよりも優秀。それなのに、自分を差し置いてティエレンを選んだお前はバカだ。〉

強情でプライドが高いフィッシュアイズのつぶやき。

瑞穂のことを信頼していたのに、裏切られた思いがそこにあるのだろう。

なんかカワイイなと思う。



光司の昔の恋人、光司の母親、誠の
母親が登場、新しい展開があった。


前回で少し明かされた過去が、今回、重くのしかかってくる。

しかし、受け止めたのは、厩舎の人たちだった。



ゲンさんが言う。

わしの痛みなど、お前が受けてきた痛みに比べればどうということもない〉

いつも口はわるいけど、心から誠を応援しているのがわかる。


光司はおかみさんのこと、許せるといいな。



女性ジョッキーというのは、人数も少なく、なかなか認められない存在であるが、瑞穂の情熱が みんなの気持ちを変えた。


レースはドキドキだった。

一丸となって、フィッシュアイズを応援している。

ひとつの目標に向かってみんなが一体となる。

こういう話に私は弱い。



お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐



風の向こうへ駆け抜けろ

古内一絵 小学館 2014年1月



 

 

芦原瑞穂(18歳)は地方競馬界にデビューした、数少ない女性騎手。敬愛する亡き父親への思慕から競馬界に身を投じた。だが、彼女の受け皿となったのは今にもつぶれそうな「藻屑の漂流先」と揶揄される寂れた弱小厩舎。そこにいる調教師、厩務員たちは皆それぞれが心に傷を抱え、人生をあきらめきったポンコツ集団だった。
弱小厩舎のため強い競走馬も持てず、さらなる嫌がらせを受け、困っていた矢先に出合った一頭の馬。虐待により心身共にボロボロだったこの馬も懸命な介護と歩み寄りにより、生まれ変わったかのような素晴らしい競走馬に変貌を遂げる。当初は廃業寸前だった厩舎も、瑞穂の真摯な努力と純粋な心、情熱から、徐々に皆の心は一つとなり、ついには夢のまた夢である狭き門、中央競馬の桜花賞を目指すまでになる。が、その行く手には様々な試練が待ち受ける。温かな絆でつながった彼らの運命は…?
偏見、セクハラ、虐待、裏切り、老い…。様々な理由から心に傷を抱え、人生をあきらめかけている人間達の起死回生ストーリー。人は何歳からでも成長できる、そして人生はやり直せる。すべての方々に読んでいただきたい、人生への応援歌となる1冊です。






競馬に興味がないのでスルーしていた本だけど、絶賛している方がいたので読んでみた。


競馬教育センターを卒業後、鈴田市競馬事業局に招聘された瑞穂。
成績を見込まれてのことと思っていた瑞穂だが、女性ということで、広告塔を担わせるアイドルとしての少女ジョキーだった。

その厩舎には、

80過ぎの老人カニ爺
酒 臭い酔っぱらいの山田のゲンさん
究極に愛想の悪い少年、アンちゃん(誠)
いつも遅刻してくるトクちゃん
この風変わりな厩務員たち
そして、調教師の光司
彼らは、何らかの問題を抱えていた。

瑞穂は、最初、歓迎された存在でなかったけれど、誠実に努力を重ねるうち、その情熱に、厩務員達の信頼を得ていく。


そして、新しい馬との出会いが瑞穂を成長させた。


心を込めて接していると、人も馬も気持ちが通じあう。

人と馬との強い信頼関係がいとおしい。


みんなが一体となっていく過程がよかった。



お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐

星空としょかんの青い鳥

小手鞠るい 作 

近藤美奈 絵

小峰書店 2024年9月



 

 

悲しい物語をハッピーエンドに変えてくれる不思議な図書館。「星空としょかん」へようこそ!
幸せって、どんな色をしてるんだろう?
小学3年生になった森野つぐみの週末の日課は、星空としょかんに行って、好きな本を読むこと。ある日、としょかんのおにいさんが、軒下につばめの巣があることをこっそり教えてくれました。巣には親鳥と、いくつかの卵が! そこで、つぐみはある計画を思いつきます。小学校の課題に、これから一年間つばめの巣の様子を観察して、日記に書くこと。やがて、つばめの成長を見守るつぐみにも、思いがけない巣立ちの時期が訪れようとしますが……。
メーテルリンクの名作『青い鳥』を、小手鞠るいさん風に語りなおしました。





図書館の紹介コーナーに置いてあったので手に取った。

「星空としょかんシリーズ』と知らずに読んだが、この話だけでも楽しめた。



小学3年生のつぐみは、

「ほんとうの家族じゃない」と言われて、家族とは何かを考える。


親と離れて生活する子ども達の様子が生き生きと描かれていた。

ルナママ、姉、兄のことが大好きで、仲良く楽しくしているのが目に浮かぶ。


離れて暮らしていた母親が来て、試しに生活することになった。

自分の都合で急に来て、ママと呼んでと言われても…

その時の戸惑いの気持ちもリアルに描かれる。


つぐみが感じる幸せがいっぱいあふれた物語だ。


このシリーズの他の本読んだら、星空としょかんのこと、もっとわかるかな?


お気に入り度⭐⭐⭐