だから夜は 明るい
君嶋彼方 新潮社 2025年10月
彼にとって、僕は初めての男。このうえなく幸せなのに、不安も罪悪感も消えてくれない。
結婚して、子供を儲けて、ささやかながら幸福な家庭を築く。おそらくそんな将来が待っていたはずの男、西澤祥太。僕の恋心は、祥太から"普通"の幸せを奪い去ってしまった。報われたはずの恋も、消えかかった愛も、届かなかった想いも、みな切なく胸を焦がす。映画化で話題『君の顔では泣けない』著者が贈る、心震える恋愛群像劇。
だから夜は 明るい
君嶋彼方 新潮社 2025年10月
彼にとって、僕は初めての男。このうえなく幸せなのに、不安も罪悪感も消えてくれない。
結婚して、子供を儲けて、ささやかながら幸福な家庭を築く。おそらくそんな将来が待っていたはずの男、西澤祥太。僕の恋心は、祥太から"普通"の幸せを奪い去ってしまった。報われたはずの恋も、消えかかった愛も、届かなかった想いも、みな切なく胸を焦がす。映画化で話題『君の顔では泣けない』著者が贈る、心震える恋愛群像劇。
小麦畑できみが歌えば
関かおる KADOKAWA 2025年11月
北海道の小麦農家でのびのび育った18歳の唯吹。
幼少期に祖母と行ったリサイタルで美しい歌声に感動し、歌うことが大好きになった。
けれど、あの声を出したいという願望と、舞台に立ちたいと思うことは結びついていなかった。
あの日までは――。
憧れのひとを追いかけて、地元のオペラハウスのオーディションを受けると、知識不足でありながらも、特別な声で審査員を魅了する。
技術不足が理由で不合格となるが、アンバーオペラハウスのサマープログラムへの推薦をもらうことに。
優勝者はあのアンバーの研修生に選ばれるのだ。
自分の“楽器”と向き合い懸命にくらいつく唯吹だが、進むにつれて大切な仲間との別れもある。
果たして栄光を手に入れることができるのか――
「わたしはなりたかった。音楽をするために生まれてきたひとに」
歌うことが大好きな唯吹は、オーディションに参加する。知識不足のため戸惑うこともあるが、出会ったオペラ歌手を目指す人達に刺激を受け、協力し合い、自らを高めていく。
オーディションがどのように行われるのか、オペラの世界を少し、垣間見た気がした。
小6と中学時代、一緒に音楽を楽しんでいた寧音。
彼女は、日本一になっていた。同じようにオーディションを受けるから、ライバルであるが、それとともに、かけがえのない友だちでもある。
ふたりが再会し、これから、ふたりはいい関係を保ちながら、進んでいってほしい。
「みずもかえでも」
未来への人生ノート
清水晴木 幻冬舎 2025年10月
自信満々で臨んだ面接練習で「“いい人”の壁」に当たる千佳。好きな人に振り向いてもらえず、「面白さ」の正体に悩む不器用な一平。就活を拒否し、自分探しの旅に出た直樹。目立つものが何もない自分に劣等感を抱き、「本当の自分」を見つけようともがく夕。
4人の前に現れたのは、謎めいた就活アドバイザー・平人生――通称、人生先生。人生先生との対話を通して、学生たちは少しずつ、自分の足で“人生”と向き合い始める。
の続編。
以前は、校務員の平人生が、高校生相手の相談にのっていたが、今回は、就職サポーターとして、大学生と関わりっていた。
第1話 いい人の見分け方はありますか
第2話 面白い人ってどんな人ですか
第3話 自分探しはどこへ行けばいいですか
第4話 自分って、なんですか
ゆびさきに魔法
三浦しをん 文藝春秋 2024年11月
月島美佐はネイルサロン『月と星』を営むネイリストだ。爪を美しく輝かせることで、日々の暮らしに潤いと希望を宿らせる――ネイルの魔法を信じてコツコツ働く毎日である。そんな月島のもとには今日も様々なお客様がやって来る。
巻き爪に苦しむも、ネイルへの偏見からサロンの敷居を跨ごうとしない居酒屋の大将。子育てに忙しく、自分をメンテナンスする暇もなくストレスを抱えるママ。ネイルが大好きなのに、パブリック・イメージからネイル愛を大っぴらにはできない国民的大河男優……。
酒に飲まれがちながらも熱意に満ちた新米ネイリスト・大沢星絵を得て、今日も『月と星』はお客様の爪に魔法をかけていく。
ネイルサロン「月と星 」を営む月島美佐が大沢星絵という弟子を得て、店をよりよくするため に、キッズスペースを作るなど、工夫している様子は、お仕事小説として楽しめた。
星絵の、誰とでも仲良くなれるその性格がいい。
ネイリストとしての星絵は未熟な部分はあるが、いい才能を持っているため、その才能を伸ばそうと、美佐の友だちのネイリストの元に、修行に出す。
星絵のためとはいえ、美佐が不安で心配でたまらない。
美佐は、生真面目で、感情を素直に出せないけど、星絵とやっていくことに喜びを感じている様子が微笑ましかった。
2時間のサスペンスドラマで、愛人がネイルサロンを出すため事件が起きる……
といった話が多いとか。
これはネイリストに失礼だ。爪のプロなのに……。
お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐
運命の終い
奥田亜希子 小学館 2025年5月
運命もロマンも信じない今の大人の恋愛とは
花屋でパート勤務をしている主人公の彩香は、30代で未亡人となった。高校生の頃恋焦がれた20歳以上年の離れた数学教師との出会いを運命と信じ、想い続け、卒業後に2人は結ばれた。
娘も授かり幸せな生活を送っていたが、その最愛の夫はガンで他界。当時の彩香にとってすべてだった夫。
喪失感を抱え「もう運命なんて信じない。ロマンも要らない」とすべてを諦めて暮らしていたが、ある日、自分が失ってきたものの大きさに気づく。そして、焦燥感にも近い熱い衝動から偶然出逢った男性・今井と「雑な大人の恋愛」をすることに。
ほどよい距離感と大人のルールを決めて始まった二人の恋。だが、徐々にその関係性は歪に綻び始める。お互いを、「運命の果てに立ち尽くしていた者同士」と実感していたはずだったが、徐々に彩香の心には違和感が生じる。そして今井にも、打ち明けられずにいた「真実」があった・・・・・・。
こだま標本箱
谷瑞恵 徳間書店 2025年10月
路地裏にひっそりとたたずむ「喫茶こだま」で働き始めた百絵。
雇い主の賀見社は、古くからの言い伝えを調べる「伝説収集家」なのだという。
姉の魂を連れていった井戸の神さま、
切ってはいけない呪われた木の秘密――。
賀見社のもとに舞い込むのはこの世の理では解くことのできない謎ばかり。
思いがけず彼を手伝うことになった百絵だが、
すべては、自らの切ない過去につながっていき――。
奇跡に満ちた救いの物語が、あなたの心にこだまする。
息子の太貴を連れ、田舎町に来たシングルマザーの百絵は喫茶こだまで働き始める。その喫茶こだまには、いつも空席の予約席があり、オーナーは趣味で伝説収集をしていた。百絵は、喫茶の仕事の他、秘書として、持ちこまれる伝説解明の手伝いをすることに~
1 幸せの香
当主以外はひらけたらあかんという木箱を引き取ってほしいという依頼。
中に入っているのはケサランパサラン?
親友の、言葉ではないやりとりに胸が熱くなる。
架空のものでも、心の中にいる姿は本物かもしれない。
2 水を染める色は
井戸の主がいるから、井戸を埋めるのを戸惑っているという。
亡くなっている姉の、妹への思いを知ることになる。
目に見えないものは信じられないけど、昔の人の思いはそこにあるのかもしれない。
3 木々の声音
家の前の木が邪魔で切りたいが、
その木には、よくない噂があるという。
木が人を助けたというのは、偶然といってしまえばそれまでだけど、信じられる気がした。
木を切らずにいたのには、理由があったんだね。
4 柳の下に眠る
踏切に幽霊が出るという噂がある。踏切の見えるワンルームではビデオカメラを設置し撮影すると……
5 神隠しの山
神隠しにあった少年。それは、幼児誘拐犯の仕業だったのか?
1から4は、謎解きの答えになっていて、人の熱き思いに、それぞれの人が歩んだ人生の重みを感じる。
PRIZE プライズ
村山由佳 文芸春秋 2025年1月
「どうしても、直木賞が欲しい」
賞(prize)という栄誉を獰猛に追い求める作家・天羽カインの破壊的な情熱が迸る衝撃作!
天羽カインは憤怒の炎に燃えていた。本を出せばベストセラー、映像化作品多数、本屋大賞にも輝いた。それなのに、直木賞が獲れない。文壇から正当に評価されない。私の、何が駄目なの?
……何としてでも認めさせてやる。全身全霊を注ぎ込んで、絶対に。
♯東京アパート
吉田篤弘 角川春樹事務所 2025年7月
そこで暮らす人々の営みがそこにある。
金もない、友だちもいない男のアパートで、鳴く虫とのやりとりを描いた
ストレイ-クリケット
〈アパートの部屋というのは、誰か一人が所要するのてはなく、歴代の住民たちによって共有されている。〉
口外禁止
下村敦史 実業之日本社 2025年3月
パッとしない大学生の元に突然、「プロデュース通りに行動すれば、人生うまくいく。」というメールが届く。 半信半疑で従った結果、彼の日常は急速に好転し始めるが、ある日不可解な事件に巻き込まれて……。
サッカーの試合結果を三試合言い当てられた訳… なるほど!
お気に入り度⭐⭐⭐⭐
消えゆく街の秘密の友だち
鯨井あめ PHP研究所 2025年6月
小学校6年生の小晴(こはれ)は、自分の本音がわからず、人付き合いも苦手。
ある日小晴が部屋の掃除をしていると、一枚の紙を見つける。
その紙――消えかけた手書きの地図のようなものを開いた途端、小晴はいつのまにか外にいた。
そこで出会った男の子・ラッタッタは、ここは「ふしぎの街」であること、1人で地図を開いて目をつぶって深呼吸をすると、この街に来れること、そしてラッタッタ自身はこの街の管理人だということを教えてくれる。
他に動物も人もいない、2人きりの街で一緒に遊ぶうちに、ラッタッタに心を開く小晴だが、「大人になるため」には、ラッタッタとさよならしなくてはいけなくて。
鯨井あめさんの児童書。
小学6年生の小晴は中学受験のための塾、ピアノ、英会話、水泳教室と忙しい毎日を過ごしていた。
そのため、友だちがいなくて、話をするのは架空のふしぎの街のラッタツタ。
自分で考えることなく、親の言うとおりに過ごしていた小晴。
修学旅行を一緒に回るのに、声をかけた木山さんと仲良くなる。
ラッタツタから、大人になったらさよならすると言われ、木山さんに相談するが……
小晴が、友だちを得て、意見のあわないこともあるが、それを乗り越え、仲直りする経験をするうち、自分の考えを持てるようになり、親にも意見を言えるようになっていく。
小晴の成長物語。
お気に入り度⭐⭐⭐⭐