ギアをあげて、風を鳴らして
平石さなぎ 集英社 2026年3月
38回小説すばる新人賞受賞作。
小学4年生の吉沢癒知は、宗教団体「荻堂創流会」の近畿支部で「降り子(=創父の生まれ変わり)」として信徒から崇拝されていた。幹部の母からは、神聖な身体を持つ者として、食事や他者との触れ合いを厳しく制限されていたが、自分に寄せられる信徒の信仰心や日々の「儀式」に抵抗をおぼえはじめていた。そんな癒知の前に現れたのは、家庭の事情で何度も転校を繰り
返している渡来クミ。引っ越し当初、近所を散策中に見かけた「めっちゃきれかった」癒知に興味津々。ある日、学校のトイレで遭遇したことをきっかけに、ふたりは距離を縮めていく。そして繋がりを持ったのは癒知とクミだけでなく、母親同士も親交を深めるようになり……。
宗教二世の吉沢癒知は、「荻堂創流会」の近畿支部で「降り子(=創父の生まれ変わり)」として日々を送っていた。
本人の意思とは関係なく、降り子という立場になり、母と触れることもできず、食事も制限されてる。
まだ、小学校には通っていたことが救いかな。
でも、小学校でも、浮いている存在で、特殊学級だった。
その学校に転校してきた渡来クミ。
癒知とクミはケンカから始まった関係だが、次第に打ち解けていく。
宗教……
本人が望んでのことなら、仕方がないのかもしれないが、家族、特に子供に影響があるのは、なんとも理不尽。子供たちは犠牲者だ。
癒知は、降り子としての厳しい規律の中で幸せとはなんだろうと考える。そして、今の生活に疑問を持ち始める。
癒知とクミは、まだ小学生なので、どうすることもできないことはたくさんあるだろうが、それでも大人たちに抵抗しようと、ふたりでの行動に胸が熱くなる。
ふたりで過ごした日々のことは、決して忘れないだろう。
お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐