アイリス

雛倉さりえ 東京創元社 2023 年5月






子役として映画『アイリス』に出演し、脚光を浴びた瞳介は、その後役者として成功できずに高校卒業前に芸能界をやめた。だが、映画で妹役を演じ、現在は女優として活躍する浮遊子との関係は絶てずにいる。『アイリス』の栄光が、彼を過去へと縛りつけていた。そしてそれは、監督の漆谷も同じだった。28歳で撮った『アイリス』は数々の賞を受賞したが、彼自身はどれだけ評価を得ても、デビュー作を超えられないという葛藤を抱えていた。ひとつの映画が変えた俳優と監督の未来。人生の絶頂の、その先の物語。


脚光を浴びた映画「アイリス』の監督と出演者のその後。


瞳介は、役者として見切りをつけ、大学に通っているのだから、新しい道を見つけるべき。

なのに、妹役だった浮遊子と 今も関係を持っている。

それは、映画界への未練か、執着か?


瞳介が行ったことは、浮遊子を現実の世界に取り戻したかったのだろうが、身勝手だ。



一度、素晴らし作品を作ったら、観客はそれを超える作品を期待する。


漆谷監督は

〈おれ作品の価値はおれが決める〉という。

評判は気にならないのか?


「アイリス』を超える作品はできたのか?


浮遊子も現実の世界では生きづらく、芝居の中の虚構の世界でしか生きられない。


監督や役者の仕事って、たいへんな世界だと思った。


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