皆さんこんにちは、hamutora77です。
今日は気分転換のお話です。
唐突ですが、皆さんは『わかしお銀行』をご存じでしょうか?
『わかしお銀行』とは、2003年にメガバンク『三井住友銀行』を吸収合併した銀行です。
えっ?そんな吸収合併やそんな銀行知らないって。ごもっとも。
何故なら、吸収合併の当日2003年3月17日に『わかしお銀行』の商号を『三井住友銀行』に変更しているからです。怪しさ感一杯。
何故こんなことをやる必要があったのか?
詳しくは、こちらをどうぞ。
わかしお銀行 - Wikipedia → 三井住友銀行との「逆さ合併」参
わかしお銀行 - Google 検索 ← 在りし日の本店画像です。
この小が大を呑む合併を逆さ合併(さかさがっぺい)と呼びますが、このケースは歴史に残る究極のアカン事例です。
では、以下順を追って。
① 有価証券の評価損▲8,000億円が三井住友銀行の自己資本を大きく毀損し、準国有化の懸念。
② 三井住友銀行の全国津々浦々の土地の含み益は2兆円。
③ 三井住友銀行をわかしお銀行に吸収合併させる。
その際に土地を+2兆円で引き継がせれば、▲8,000億円の穴埋めどころか、お釣りの1.2兆円で優良銀行に変身出来る。
④ 最後に、存続したわかしお銀行の商号を元の三井住友銀行に戻して一件落着。
結果、会計操作と法的手続だけで+2兆円。
これは、その当時は逆さ合併において時価評価の禁止規定がなかったことを逆手に取った脱法行為です。
従って、この後間もなく公表された『企業結合に関する会計基準』の中に、この事例を教訓とした【逆取得(逆さ合併)】と【共通支配下の取引】の規定が設けられました(34項・41項)。
即ち、通常の吸収合併は資産負債を時価で引継ぎますが、【逆取得(逆さ合併)】【共通支配下の取引】に限って存続会社(わかしお銀行)は消滅会社(三井住友銀行)の資産負債を時価ではなく、簿価で引継ぐ規定です。
この基準が公表された時、金融庁から諮問を受けてこの基準を作り上げた企業会計審議会の先生方は、名指しこそ避けつつも悪しき前例が繰り返されないようにする、このことが34項・41項新設の狙いだった旨を力説されていました。
ところが、この基準公表の約2年後に企業会計審議会の先生方にとって更なる驚愕の出来事が待ち構えていました。
この合併を主導した当時の銀行トップを日本郵政初代社長に迎え入れる決定を当時の政権が行ったのです。究極の栄転です。
よりによって政府がこのような決断をするとは・・・。
なお、異なる観点による下記投稿もご参照下さい。
三井住友銀行はなぜ脱法行為を選んだのか?(三菱地所との対比)
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