先月は、オンライン講座でWi−Fiのトラブルから、暗幕のある物理講義室が使えなくなりました。オンライン講座に入る前も特殊な形態の講座になっていたため、やはり全員が物理講義室で受講することができませんでした。
というわけで、1ヶ月の間、光の講座を暗室での実験なしにやることに。これは、ぼくの経験でもめったにない事態でした。
ヤングの実験は、暗室にしても回折像が小さくて見づらいのに、それをパソコンのカメラを通して見るのは不可能。そこで、一計を案じました。
回折格子の回折像をスクリーンではなく、人間の目に直接当てるというもの。
LEDライト(単球)に赤色のセロファンをかぶせたものを点灯させて画面に向け、画面との間に回折格子を置くと、回折像が見られます。
セロファンを青に変えると・・・
こんな感じです。
写真を撮ったときの位置関係が適当なので、2つのライトを並べて写真を撮ると・・・
回折像の明点の間隔が、波長の長い赤の方が、波長の短い青より広いことがわかります。
理論通りですね。
次は、オンラインでは見せられなかった実験。
ヤングの干渉です。
これが、2つの波源(スリットが2つ)による回折像(干渉模様)です。明るい場所と暗い場所の幅が似たような感じですね。
波源の数を10個に増やす(スリットを10個にする)と・・・
明るい部分の幅が非常に狭くなったのがわかります。
この10スリットは、たしか増子さんが理科教材の会社に提案して作ったもの。以前、愛知物理サークルで、販売開始前に紹介がありました。
2、3、5、10のスリットが一枚になっていて、順にスリットを増やしていけます。だんだん、明線の間隔が狭まっていく様子がわかります。
口でいうより、だんぜん、早いですね。
「物理ネコ教室128回折格子」で、スリットの数が増えるとほとんどの場所は光が弱め合って暗くなるという話がありましたが、まさにこれが段階的にわかる実験です。
回折格子になると、波源の数がべらぼうに増えますから・・・
こんなふうに、明るい場所がほとんど点になってしまいまい、その間は全部暗くなります。
なお、明点が格子状になっているのは、使用した回折格子のスリットが、左右にも上下にも、格子状に作られているからです。
次はオマケ。
100円ショップで買った縦置き型のLEDライト3つにそれぞれ赤・青・緑のセロファンをかぶせ、横に並べて点灯させます。壁とライトの間に鉛筆を置くと・・・
影が、それぞれの光源の色の補色になります。
さて、どの影がどの色の影か、わかりますか?
左端の黄色の影は、青の光が遮られ、赤と緑の光が重なったもの。
中央の赤紫(マゼンタ)色の影は、緑の光が遮られ、赤と青の光が重なったもの。
右端の青緑(シアン)色の影は、赤の光が遮られ、青と緑の光が重なったもの。
手前にどの色の光がどのように横並びしているか、これでわかりますね?
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