上のイラストは「いきいき物理わくわく実験3」に載っている光の3原色実験装置です。飯田さんが開発したもの。
一つの電球で三つの色の光をつくり、それを鏡で混合させる装置。
電球と段ボール箱、それにセロハンとプラスチック鏡(100円ショップのもの)で作れます。この実験の開発当時は、100円ショップにイラストのような線光源になる電球を売っていたので、それをうまく利用したものです。普通の電球でもできるのですが、線光源の方が実験がクリアにできます。
ぼくも、この装置を作って、けっこうな期間、授業で利用してきました。
が、時と共に、セロハンは色あせます。セロハンを付け替えればいいのですが、だんだんとそれもめんどくさくなってきました。
あと、装置が一抱えある大きさなので、これを持って授業をするのもちょっとたいへんだなあと思うようになりました。
もともとめんどくさがりやなので、一度そう感じると、もっと単純なもので同じ実験ができないかなあ・・・と思うようになりました。
理科教材で売っている装置も使ってみましたが、これが小っちゃいので、演示実験にはほど遠いんですね。演劇の時に使う照明装置みたいなものがあれば、一番わかりやすいんですが、それも大がかりになるし・・・
・・・てなことを考えている内に、最近の懐中電灯の進化ぶりに思い当たりました。先日の先進科学塾でも、LEDライトを光源として使ったばかりです。
明るくて、できるかぎり白に近い色のライトがいいなと。
最近の日本製の白色LEDは補色関係にある青と黄色の組み合わせだと聞いていたので、ちょっと迷いましたが、先進科学塾で使ったLEDは回折格子で覗いたとき赤や緑も出ていたので大丈夫のはず!と信じて、同じLEDライトを3つそろえました。(本当は、お店で点灯して回折格子で覗いてみたかったのですが・・・さすがにそれは控えました)
で、こんなふうにセロハンをセット。
ライトのLEDは1つだけのものにしました。最近は、明るさを増すために複数のLEDを使っているものもあります。点光源にしたいので、LEDは1つのものがいいんですね。
これはカーマのオリジナル商品で、安くて光が強そうだった(実際、強かった)ので、これに決めました。ちょっと、普通のLEDとは形が違っています。
これを三つ重ねると、できあがり。
カ・ン・タ・ン!
手でつかんで実験すればいいので、ライトを束ねる輪ゴムは特にいらないんですが、大きめのゴムバンドなどでまとめると、3原色の加色混合の実験がかんたんにやれます。
実験結果は・・・
じゃあ〜ん!
うまくいきました。
絨毯が灰色で真ん中の白が見にくかったので、白い壁に当てたら・・・
見事、まんなかは白!
セロハンは100円ショップで買ったものです。赤のセロハンは青や緑に比べて、色が薄かったので、赤のセロハンだけ2重に重ねて使いました。
授業では白いスクリーンに映しました。もちろん、上の写真よりもっとキレイにできましたが、その写真は撮ってありません。
・・・ ・・・ ・・・
ところで、赤、緑、青(いわゆるRGB)が光の3原色といわれるのは、ぼくたちの目の構造がその3色を感じるようにできているからです。(詳しいことは、関連記事のリンクにある「錯視・錯覚の物理学」の記事をご覧ください)
光の3原色がRGBだというのは、マクスウェルが発見しました。それも、非常に簡単な実験によってです。マクスウェルといえば、数学の天才で、ファラデーの場の理論を数式化し、電磁波の存在を予言したことで知られますが、それよりもっと前に、光の色の研究をして、解明に成功しているんですね。(こちらも、詳しいことは、リンク先をご覧ください)
・・・ ・・・ ・・・
さて、この実験をしているときに、先進科学塾で他のスタッフの方から教えていただいた話が気になりました。
例の「最近の日本の白色LEDは青と黄色の組み合わせが基本になっている」という話。
でも、それだと、緑のセロハンをかぶせても緑の光は出てこないよなあ、という素朴な疑問。
でも、緑の光も赤い光も出ているので、このLEDは3色タイプ(赤・青・緑)なのかな・・・
まてよ、そうすると、今度は黄色のセロハンをかぶせても黄色の光がでないことにならないか?
で、、、
黄色のセロハンをライトにつけて灯りを点けてみたら、ちゃんと黄色が出ました・・・
こういうときは、やっぱり回折格子。光を分光して調べた方がてっとり早い。
いつも授業で使っている回折格子シートを持ってきて、覗いてみました。
・・・ん?
赤、黄色、緑、青、紫・・・
結構いろんな色、出てるじゃん。たしかに、太陽光や電球とは各色の強度が違う感じだけど、LEDの光、というイメージとは違っていました。
前につかったLEDライトの光も、もう一度回折格子でじっくり覗いてみたら、やはりこれと似たようなスペクトルでした。
拡大すると・・・
はて、さて・・・
そこで、最近のLED事情について調べてみたところ、次のようなことがわかりました。
青に強いピークを持つLEDと、黄色を中心に連続光を出す蛍光物質の組み合わせ。
これが今の日本で白色LEDの主流になっている構造だそうです。
ナットク。
光の実験に、自然光の代わりに使えるわけですね。(あくまでも、近似的に、ですが)
この装置は、小学生でもカンタンに作れますので、ぜひ親子でお試し下さい。
ライトを離して3つ置き、光の交差する場所に物体を置けば、冒頭のイラストのように、影の色の実験もできます。
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光の実験〜魔鏡とCD干渉板(付録:『いきいき物理マンガで実験』の訂正)
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