さき「イラストの記事、最近、描いてないね。わたしのイラストのストック、たまってない？」
ひろじ「あー、ごめんごめん。『さりと量子の国』が思ったより時間かかっててね。小６のさり、どう？」
さき「うん、かわいい。でも、お父さんも、最近のイラストっぽい感じで描いてみたら？ お父さんって、線がきれいでしょ？ もうちょっと、ほよ〜ん、ぽよぽよした感じで描いて、ちがう画風もやってみたら？」
ひろじ「おもしろそうだな。じゃ、教えてくれる？」
さき「いいよ。じゃ、わたしの描いたの、見せるね。例えば、これ」
ひろじ「ハルヒ魔王・・・？ あ、アニメの『長門有希ちゃんの消失』で、あの朝倉さんがハルヒを魔王に例えたシーン？」（＊）
さき「そうだよ」
ひろじ「一瞬の画面だったけど、よく覚えてたね。たしかに、こんな感じだった」
さき「気に入ったから、何度もそのシーンを見たの。ネット画像も見たよ。あのシーンは上半身だけだったから、下半身はわたしの想像。この絵はね、けっこうがんばって描いたんだよ」
（＊）アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』『涼宮ハルヒの消失』のスピンオフアニメ。『消失』でもう一つの世界が続いていたらどうなっていたかという設定のラブコメ的アニメ。本家がＳＦなので、『長門有希ちゃんの消失』も、ＳＦを裏設定としているものの、内容は通常の学園アニメになっている。ＳＦ的事件はほとんど起きないのだけれど、裏設定を知っているとドキドキする構成はスグレモノ。娘は、本家より楽しいと、動画サイトで、何度も見ている。
さき「でも画風は、わたしの画風。ぽよぽよ〜っとした感じに描いたの」
ひろじ「目が、顔の半分くらいあるね」
さき「そう。目はおおっきく」
ひろじ「これだけ大きいと、目玉が頭蓋骨におさまらない気がしちゃうんだけど」
さき「だ・か・ら、リアルじゃなくて、これはイラストだから。これでいいの」
ひろじ「昔からのクセなんだよ。理系だから、そういうこと、つい考えちゃうんだ。もっと振り切って、イラストはイラストって、わりきっちゃうってことだね」
さき「お父さんだって、ミオくんはこんな感じで、大きな目で描いてるじゃん」
ひろじ「ミオくんは人間じゃないから・・・あ、こういう感覚がさきたちとはちがうのかも。割り切って描いてみるかな」
さき「それから、線はお父さんみたいにきれいな線じゃなくて、ぽよぽよした感じで」
ひろじ「・・・ぽよぽよ・・・」
さき「手足や指先も、お父さんのはリアルっていうか、細いけど、こういうイラスト〜って感じのは、ぎゃくに手足をどーんと太くするのもありだよ。ちょっと、練習する？」
ひろじ「（描きながら）こんな感じ？」
さき「まだ、リアルな感じ。イラストだから、もっとありえないような感じでもいいよ」
ひろじ「目や手足のバランスを無視してもいいってことだね。じゃあ、目をもっと大きく描いて・・・あ、そういえば、さきって、キャラの手の指先とか、躍動的というか、わりとリアルに描くよね」
さき「うん。そういうのも描く。手をこっちに向けてる絵とか」
ひろじ「じゃあ、やってみるかな・・・こんな感じで・・・いっそ、髪型も普通じゃないのにしちゃうかな」
さき「あっ・・・その手、かっこいい！ あ、でも、もう片方の手の指先、またリアルになってる！」
ひろじ「おっと、ケシケシ・・・もうちょっとぷくっとした感じで描き直す・・・できた！」
ひろじ「どう？・・・まだ、振り切れてないけど、ちょっと変わってきたかな」
さき「これ、妖精？」
ひろじ「うん、まあ」
さき「この髪型、ヘン！ きゃはは！ おもしろい！」
ひろじ「リアルじゃない感じでぽよぽよさせて見ました」
・・・お父さんの新画風までの道のりは、遠いようです・・・
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