もうすぐ使うので、ちょっといろいろ試して見ました。
いままで、発泡スチロール球でやっていたのですが、もう少しはでに浮くものはないかなと思いいろいろ試してみました。キッチン用のスポンジは、発泡スチロールより密度が小さいので、はさみで切って形をととのえ、中に入れてみたところ、いい感じで浮きました。
この実験は『いきいき物理わくわく実験1』で、林ヒロさんが紹介した実験。ゴム磁石をハサミで細かく切ったものを入れて、交流をコイルに流して変動磁場をかけると、ゴム磁石の破片が力を受けて、さながら熱運動をする分子のように飛び回り、たまに四方八方から衝突するという実験です。下方からの衝突によりうける力の方が、上方からの衝突により受ける力より大きいので、その合力は上向きの浮力となります。
浮力の大きな原因が、分子の上下方向の密度の違いにあることが、一目でわかります。
この分子運動論モデルを最初に提唱したのが、ボルツマンさん(冒頭のイラストは、『いきいき物理マンガで冒険』より)。当時は原子が存在することすらあやしいというのが、物理学者の「常識」だったため、ボルツマンの新説は黙殺されますが、ボルツマンは統計という新しい数学を使って、熱運動する分子の計算をし、わかい物理学者や数学者たちに喝采をあびます。
背景の赤い光は、ラジカセの発光。バックグラウンドの光としてちょうどよかったので、そのまま撮影しました。
動画は、こちらをご覧ください。
スポンジの場合が、こちら。
発泡スチロールを使うと、こちら。
こちらは、浮きがやや少ないですね。
以前は、板倉氏が紹介した米粒などを振動で動かすと、中にいれたピンポン球が浮くという実験をよく使っていました。しかし、この実験は本来の浮力のモデルとは違う原理によるものなので、より実際に近い実験として、こちらを使うようにしています。
ただ、この実験、一つだけ問題があります。
以前売られていたゴム磁石は表面がN極、裏面がS極という単純な磁化をされたものだったので、ハサミで細かく切るだけで、たくさんのNS磁石ができました。ところが、現在売られているゴム磁石は、鉄板への吸着力を高めるため、細かい縞模様状にNSが交互に並ぶ多極磁石になっているのです。
したがって、現在売られているゴム磁石をハサミで切り刻んでも、その一つ一つは複雑な多極磁石になっているため、この実験のように激しく飛び回りません。
この実験で使用したゴム磁石は、業者の方に頼んで、特注で、昔のように磁化したものをつくってもらったものです。
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