2乗数学モデル〜ゆーじさんの数学オモチャ | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 今日も、ゆーじさんが新しい数学オモチャを見せてくれました。

 

 

 なんでしょう?

 

 同じ形のピラミッドのような立体が6個。

 

 よく見ると、立方体で構成されています。

 

 一番上が立方体1個、次の段が同じ立方体4個、次が9個、次が16個、最後が25個です。

 

 つまり、1の2乗、2の2乗、3の2乗、4の2乗、5の2乗のブロックを積み重ねて作ったピラミッドなんですね。

 

 これは、もともと、級数の説明に使うものだそうです。

 

 数学の式では、Σk^2=1^2+2^2+3^2+4^2+・・・+n^2(○^2は○の2乗の意味で、Σは数学で和をしめす記号。kの2乗の和をk=1からk=nまで行うという数学記号です)が、次のような式で表されることが、証明できます。(高校の数学のレベルで証明できます)

 

 Σk^2=n(n+1)(2n+1)/6・・・(1)

 

 さて、これを実物で見せようというのが、ゆーじさんのこのオモチャ。

 

 

 ピラミッドの一つ一つはこの形で、1の段から、5の段まであります。上の式で、n=5とした場合の合計は、このピラミッドの1マスの立方体の数で示せます。この場合は、

 

1+4+9+16+25=55

 

ですね。

 

 先ほどの式に当てはめれば、[5×(5+1)×(2×5+1)]/6=55となります。

 

 でも、これでは、わざわざ立体のオモチャを作った意味がありません。

 

 このオモチャは、こんな感じでつかいます。

 

 

 まず、3つのピラミッドをうまく組み合わせて、こんな形の立方体みたいなのを作ります。が、ぴったりとした立方体にはなりません。横に一列、階段のようにはみ出た部分ができます。

 

 四角錐の体積は理論上は四角柱の1/3なのですが、それは、稜線が一直線のとき。このピラミッドも、立方体のブロックを限りなく小さくした極限を考えれば、3つ重ねれば大きな立方体に組み上げることができます。(あくまでも、理論的な話ですが)

 

 さて、この2つをさらにこうすると・・・

 

 

 今度は、あまりのない直方体ができます。

 

 この直方体は、5マス×6マス×11マスの直方体ですが、この直方体は6つの同じ形のピラミッドからなりますから、ピラミッド1個の体積は、この直方体の1/6です。

 

 そこで、

 

ピラミッドの体積=(5×6×11)/6

 

 となりますが、この式は、上の方の(1)の式で、n=5としたときの

 

[5×(5+1)×(2×5+1)]/6

 

 と同じ式になります。

 

 このピラミッドのブロックの数は、さきに示したように、1+4+9+16+25ですが、これは、次のようにも書けます。

 

1^2+2^2+3^2+4^2+5^2

 

 したがって、

 

1^2+2^2+3^2+4^2+5^2=[5×(5+1)×(2×5+1)]/6

 

で、2乗の和の公式

 

 Σk^2=n(n+1)(2n+1)/6・・・(1)

 

の、n=5のケースに当たります。

 

 つまり、この数学オモチャは、2乗の和の公式を、2乗ピラミッドの体積で示すオモチャなんですね。

 

 ・・・というのが、数学での使い方。


 

 なおこのオモチャの展開図は、こちらです。

 

 

 このピラミッドのオモチャは、もともとどこかの教科書で紹介されていたものだそうですが、ゆーじさんはこれを厚紙でつくるべく、上のような展開図を考え、作成に成功しました。

 

 これを組み上げるのは、かなりの根気がいりそうです。

 

 でも、ぼくにとっては、このピラミッド、別の使い方ができるなあ、と思いました。

 

 ガリレオが落下運動つまり等加速度運動を研究したとき、等加速度運動の性質として、次のようなことがあると、記しています。

 

 同じ時間に移動する距離は、1,3,5,7,9・・・と、奇数で伸びていく。

 

 等加速度運動の出発点からの距離sは、1秒、2秒、3秒、4秒、5秒・・・とたつにつれて、

 

s=1^2、2^2、3^2、4^2、5^2・・・

 

 となります。

 

 さきほどのピラミッドで見ると、このsは、ちょうどピラミッドの1段目、2段目、3段目、4段目、5段目・・・の立方体の数に当たります。

 

 

 このピラミッドでは、下の段のマスは上の段のマスに一部が隠されていますが、見えている段の数を数えると、上から、1マス、3マス、5マス、7マス、9マス・・・になっています。

 

 これこそ、ガリレオが主張した等加速度運動の特徴を表しているのですね。

 

 通常だと、実際にs=1/2・t^2の式にt=1、2、3、4、5・・・をあてはめ、さらにそれらのsの値を引き算することで1、3、5、7、9・・・を出すか、時間と変位のグラフを書いて、同じ時間感覚で区切ると、その間の距離の伸びが1、3、5、7、9・・・となることを示します。

 

 でも、このピラミッドで2乗の数の増え方を一目で見ることで、それが直感的に把握できます。これは、使えますね。

 

 ゆーじさん、サンキューです。

 

 

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