電磁気実験の検討会、今回は林ヒロさん、ぼくの二人で。
またまた霧箱ですが、今回は新しい秘密が。
なんと、ドライアイスを使わず、氷で成功したとか。
もちろん、普通に氷を装置の下に敷いても、この状態にはなりません。
ヒロさん、氷ごと装置を冷凍庫に入れて冷やしておいたそうです。冷凍庫だとマイナス2〜30度になります。外に出して、装置の上の方が室温で暖まってくると、安定したアルコールの過飽和層ができ、宇宙線の飛跡が見えるようになります。40分くらいは持つという話で、実際、この日もそのくらい持ちましたね。
扇風機は、なんのためでしょう?
これ、霧箱の上部を【あたためる】ためです。
室温の空気を上部に当てることで、冷凍庫の中で冷え切った装置の上の方をあたため、温度差を作っているのですね。
ヒロさん、静電気の電圧をはかる装置で、上部のラップの電圧を測り、その電圧の大小で、霧箱の中にできる宇宙線の飛跡などの様子が変わることを見つけました。(その結果については、今回は割愛します)
さて、電磁気実験の検討会ですが、今回はいろいろ詳しい内容の検討ができました。
とはいえ、合間合間にさまざまな話題について話し合ったので、内容はもりだくさん。レーマーの光速測定の裏話や、ヘルツやファラデーの科学と経済に関する言葉の話題など、多岐にわたりました。
実験についていうと、磁針のかわりになるものを手作りするのは、いい感じのものができました。でも、写真に取り忘れたので、また次の機会に。
じつは、今回は検討に熱中したため、いろいろ細かい実験の写真は取れませんでした。
唯一写真が残っているのは、ファラデーの感応コイルの実験。といっても、古い呼び名なので何の実験だかイメージのわかない人もいるでしょう。相互誘導の実験、といえば、おわかりの人もいるかと思います。
こちらは『いきいき物理マンガで実験』(*)に登場するファラデーですが、手に持っているのは感応コイルではなく、コイルモーター。これは本書に登場する実験装置を持ってもらったイラストですが、ファラデーさん自身が最初に作ったモーターはファラデー・モーターと呼ばれる装置です。
(*)『いきいき物理マンガで実験』については、お知らせのリンクでご覧ください。
さて、ファラデーは感応コイルの実験に、ドーナツ形の鉄芯を使いましたが、ぼくたちは直線鉄芯を使いました。1次コイルと2次コイルを重ねてつかっているので、まあファラデーの実験と同等な内容になります。
コイルのボビンにはタピオカ用のストローを使いました。外側のコイルが100回巻き、内側のコイルは50回巻きです。この二つのコイルを重ねます。
こうやって、二つのコイルをぴったり重ねて実験すれば、磁束が共通になります。ファラデーはドーナツ形の鉄芯を用いて、二つのコイルの磁束が共通になるようにしています。
二人で実験をくり返しながら、ファラデーが最初に電磁誘導を発見したきっかけになった実験がこの感応コイルの実験だということに、感慨深いものを感じました。
磁石とコイルの相互運動で電磁誘導を調べるのが、もっとも単純なケースなのですが、最初の発見はもっと複雑な二つのコイルの電磁誘導現象。
科学の世界の【発見】は教科書の順番には生まれないこと、もっといえば、論理的ではなく、偶発的に、あるいは類推的な発想により生まれることを、実感する例ですね。
電磁気実験のプランは一通りできたものの、まだ試すことがあり、当面は二人で作業を分担して連絡を取っていくことになりました。
忙しくなりそうです。
<遊のミニサークル>
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