ロウソクの炎の影を見る実験〜遊のミニサークル2020.9.19その1 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

マンガ・イラスト&科学の世界へようこそ。

 

 今日は【かがくのひろば遊】で、ヒロさん、スギさん、ぼく、いつもの3人でミニサークル。

 もともと電磁気の実験についての検討会だったのですが、ヒロさんから光電効果についての謎の話についての検討が提案され、また、ぼくからは最近ネットなどで話題になった【ロウソクの炎の影はできない】のは本当か調べたいという提案をしたため、電磁気実験の検討は後回しになりました。じつに自由な会です(笑)

 

 ロウソクの炎の影の実験が成功するまでは、紆余曲折。

 

 昨今、ネットなどで【ロウソクの炎の影は見えない】という噂話がささやかれていましたが、そんなはずはないなあ・・・と思い、今日、実験にチャレンジした次第。

 

 「炎そのものや、陽炎の影は、光を当てれば見えると思うんですけど、見えないという話がSNSなんかで出まわっていて、どうですかねえ」

 

 ヒロさん曰く「いや、陽炎の影は見えるはずだよ」

 

 航空機でハネのまわりの空気の流れを見るのに、空気の密度による屈折率の違いを利用して、光を当てて影を作るというやりかたをしているので、炎のまわりのもそれで見えるはずだと。

 

 「陽炎の影って、普通の光で見えませんよね?」

 「それは、一点波源の光じゃないからだよ。大きな光源からの光の影はぼやけるでしょ? あれと同じ。かげろうなんかだと、ぼやけて見えなくなってしまうんだろう。それに、周りが明るいと、そんな微妙な影は見えない。部屋を暗くして、一点から光を当てないと、見えないんじゃないかな」

 

 つまり、大きな光源からの光で影を作ると、影が光源のあちこちから出た光がつくる影がかさなりあうため、陽炎のようなぼんやりした影の像はぼやけてしまって、陽炎の形が映らないのだろう、と。

 

 「あれ、ここにある光速測定装置って、レンズを使って平行光線を作って実験してますよね。これ、使えません?」

 「ああ、そうだね」

 

 光源は青色LEDです。部屋を暗くして、さっそく試してみたところ、こんな写真が撮れました。

 

 

 「おー、見える!」

 「これ、光が青色だから、橙色の炎で青色の光が吸収されて、黒い影が見えてるのかな」

 

 などと議論しながら、じゃあ、別の光でやってみよう、ということに。

 実験装置の全景と、新しく使った光源は次の写真を見てください。

 

 

 このライトの前に凸レンズを適当な距離において平行光線に近い光線をつくり、実験してみました。

 

 それがこちら。

 

 

 「おー、見えるじゃん!」

 「白色の光でも見えるんだ・・・」

 

 どうやら、青色の光だから、オレンジ色の炎で吸収されているのでは、という予想は外れました。

 

 「待てよ、この炎の黒い影は、密度揺らぎの影じゃなくて、炎の中にある炭素の影じゃないのか? そうじゃないと、こんなに黒い影にならないぞ」

 「藤田先生が研究していたロウソクの炎でススが出ていて、炎が電場でなびく原因になっている、というのと一致しているな」(この実験については、別の記事に書いているので、そちらをごらんください:関連記事リンク先は【物理サークル2020.1.25報告その2】です)

 「そうだ、まさに、炭素の影にちがいない!」

 

 こうなると、別の発想も生まれてきます。

 

 「レンズがなくても、そのLEDライトの光を直接当てても、同じような影ができませんかね。その懐中電灯、ほぼ点光源だし」

 「うん、やってみようか。遠くから照射すれば、光はほぼ平行になるし・・・」

 

 半信半疑で試してみたら・・・

 

 

 きれいに炎の影が見えました。

 

 よく見ると、炎の輪郭も見えます。

 

 目で見える炎の形より大きな「熱い空気の形」が見えます。

 

 これは、空気の密度差による屈折の結果、白く見えているんですね。

 

 横から風を送ると、炎がゆれ、その回りの陽炎も激しく揺らぎます。

 

 その陽炎の影が、上昇する様子も見えます。

 

 スマホのカメラ機能はかなり高性能になっているのですが、やはり肉眼の方が性能が高い。この画面も、肉眼の方が細かいところまで見られました。

 

 これは動画でないとわかりにくいので、ぼくのユーチューブチャンネルにアップしておきました。動画編集になれていないので、生で撮ったままの動画ですが・・・

 

 今日はまだその用意ができていないので、次回の記事で掲載します。

 

 動画編集の技術はまだないので、生取りしたままの動画です。その時にいたメンバーの会話もそのまま収録されています(笑)・・・

 

 が、ろうそくの炎の影や、そのまわりの陽炎の影が見られます。

 

 風を送って炎が揺らぐときに、炎の姿や、まわりの陽炎の動きがよく見えます。

 

 では、今回はこのへんで。

 

 

※記事内容の構成を書き直し、冒頭に遊のイメージ画像をつけ、炎の研究についての報告が載っている記事へのリンクもつけましたので、新しくアップし直しました。

 

 

 

 

関連記事

 

物理サークル2020.1.25報告その2

 

かがくのひろば遊でミニ実験会2020.8.29

 

かがくのひろば遊

ひみつきちでシングルフォトンの実験

かがくのひろば遊で応用物理学会打ち合わせ

 

林式高性能霧箱の改良〜かがくのひろば遊でミニ実験会

 

〜ミオくんと科探隊 サイトマップ〜

このサイト「ミオくんとなんでも科学探究隊」のサイトマップ一覧です。


 

***   お知らせ   ***

 

日本評論社のウェブサイトで連載した『さりと12のひみつ』電子本(Kindle版)

Amazonへのリンクは下のバナーで。

 

 

 

『いきいき物理マンガで冒険〜ミオくんとなんでも科学探究隊・理論編』紙本と電子本

Amazonへのリンクは下のバナーで。紙本は日本評論社のウェブサイトでも購入できます。

 

 

『いきいき物理マンガで冒険〜ミオくんとなんでも科学探究隊・実験編』紙本と電子本

Amazonへのリンクは下のバナーで。紙本は日本評論社のウェブサイトでも購入できます。