シンプル・イズ・ベスト
「もう、三ヶ月以上、取締役会や経営会議で、なぜ今弊社が業界で急激に競争力を失いつつあるのかを皆で考えているのですが、あまりにも多くことが影響していて絞り込めません。どうしたら、要因とその解決策がわかりますか?」
財界のパーティーに出ていた際、ある東証一部上場企業の社長に、私が経営コンサルタントだとわかると、突然真剣な顔で質問されました。私は、その会社のことをよく知りませんでした。でも、お話を伺っていて、いつも問題解決の基本ということで、顧問先に提案していることがそのまま当てはまると直感し答えました。
「とにかく、シンプルに考えてみては如何でしょう? つまり、根本的本質的な要因だけを見て下さい。」
組織の問題、特に人間関係にかかわることは一見複雑そうです。ありとあらゆることが問題の要因になっているようだからです。しかし、それは大間違いです。
なぜでしょう? 世の中のことはすべて複雑で、正直言いますと、どれをとっても単純なことはありません。ただ、それは一00%近く正確に把握しようとした場合においてです。大事なのは、どうしたら人間関係の難題を解決できるかという点です。つまり、解決方法です。
米国の経営大学院(ビジネス・スクール)でケース・スタディーを教えていた際、私のクラスでは、どんなケースのどんな問題にも解決のために、課したことがありました。それは、細かい問題はすべて無視し、できるだけシンプルに考え、解決策は一つだけにすることです。
問題は複雑に考えているうちは、解決策は見えてきません。あまりにも複雑過ぎて、どこから手をつけていいのかわかりません。最も効果的な問題のシンプルな分析方法は、その問題を引き起こしている最大の要因を一つ探すことです。ポイントはたった一つで、それ以上見つけようとしてはいけません。そうすると、頭が混乱してきて、前に進めなくなります。
ですので、組織の問題でも細かいことに気を取られてはいけません。組織のあるべき姿を決めたら、まず、それを阻止する根本的問題だけ見ます。そして、何が一番マイナスになっているかだけを探し、それを解決することだけに専念して下さい。必ず結果はでます。