80年代にさまざまな作品で助演を演じて、
僕の中に強烈な印象を残した役者さんがジョン・リスゴーです。
ブライアン・デ・パルマ監督もお気に入りだったようで、
サスペンスミステリー『愛のメモリー』(1976)に出演しています。
温和な表情の中に狂気を秘めているといった感じの役がピッタリで、
時に主役がかすんでしまうほどの存在感を放っていました。
『オール・ザット・ジャズ』(1979)にも出演していたとのことですが、
僕は覚えていない。
最初にその怪演に喜んだのが、
ブライアン・デ・パルマ監督の『ミッドナイト・クロス』(1981)でした。
金髪女性ばかりを狙う偏執狂的粘着性殺人鬼を演じて、
ヒロインナンシー・アレンを、キャーキャー言わせます。
派手な花火が打ちあがる中でのクライマックスシーンは、
華麗な描写が売りのデ・パルマ作品の中でも出色な出来栄えとなりました。
次に観たのが、
ジョージ・ロイ・ヒルの『ガープの世界』(1982)での女装役。
フェミニストのグレン・クローズをサポートする、
性転換した元フットボール選手役で、
あのごつい身体と女装という正反対のものが妙にマッチしていて面白かったです。
続く1983年は出演作が続きましたが、
僕が印象に残っているのは、
『トワイライト・ゾーン』(1983)の飛行機恐怖症の男。
ただでさえ飛行機が怖いのに、
ふと窓のそとに目をやると、
見てはいけないものを見てしまいます。
遂に発狂してしまうジョン・リスゴー、
よかったですね~。
次に観たのは、
打って変わって厳格な牧師役を演じた、
『フットルース』(1984)。
いやあ、やっとまともな役が回ってきたかと、
感慨深かったです(笑)
でもちょっと丸くなった気がして寂しさも半分。
そのあと、
名作『2001年宇宙の旅』の下手くそな続編『2010年』(1985)や
『ハリーとヘンダーソン一家』(1987)『メンフィス・ベル』(1990)等の作品に出演しましたが、
僕としてはあの狂気にまみれた彼が観られなくなってちょっと寂しくなりました。
そんな中、
彼の個性を最も活かすことができたであろう、
デ・パルマ監督と再び組んだ、
『レイジング・ケイン』(1992)での子供を異常に愛するマッドサイエンティスト役は、
久々に本来の畑に戻ってきてくれたみたいでうれしかったです。
時に、
彼の名前を追いかけて劇場に足を運んだこともありましたが、
ジョン・リスゴーもおじいちゃんになっちゃって、
穏やかな役が多くなってきてしまった。
いかれた彼を見たいファンとしては、
少々寂しくもあります・・・・
役がはまればオスカー最優秀賞を受賞してもおかしくない俳優さんだと思うんですけどね。
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