バンクジャック(1971) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

これは意外と知られていない名作なんじゃないかなと思います。

主演が、「俺たちに明日はない」(1967)のウォーレン・ビーティーと、

サボテンの花」(1969)のゴールディー・ホーン。

そして監督が、「熱いトタン屋根の猫」(1958)のリチャード・ブルックス。

この3人が理屈抜きに楽しめる娯楽作品に取り組みました。

 

舞台は旧西ドイツのハンブルク。

ロケも実際にこちらで行われています。

 

そのハンブルクで銀行の金庫番をしているジョー(ウォーレン・ビーティー)。

その銀行は完璧に秘密が守られており、

所謂、マネーロンダリングがされていない闇の金が貸金庫に眠っていた。

 

彼はその金はもしなくなっても被害者は警察に届けることができないことに一計を案じ、闇の犯罪者と付き合いのある可愛い娼婦・ドーン(ゴールディー・ホーン)の金庫にその犯罪者たちの金を移しその金を奪う計画を立てた。

 

ジョーは貸金庫に入るのに不自然にならないようにドーンを味方に引き入れ、

偽の銀行爆破をでっちあげて貸金庫室に潜入成功。

 

爆弾騒ぎでハンブルクの街が騒然とする中、

犯罪者たちの金をドーンの金庫に映すことにも成功する。

 

あとはその金をどう持ち出すかが問題になるのですが、

金庫に金があると思っていたら空になっていた犯罪者たちは顔面蒼白となり、

血眼になってジョーとドーンを追う。

 

この犯罪者側の描写が実に犯罪者らしくて恐ろしいのがいいですね。

時にコメディ描写もあるのですが基本的に凶悪で執拗。

どこまでもジョーとドーンを追ってきます。

 

小道具の使い方や伏線の張り方がどこかヒッチコックを感じさせて、

序盤でやけにシャンパンにこだわるなと思っていたら、

ラストのオチに見事につながるところなんかもお見事ですね。

クライマックスの追跡シーンは本当に先が読めなくてハラハラします。

 

クインシー・ジョーンズが担当している音楽や、

あえて粗い感じにしたカメラなんかが個人的に70年代っぽくて大好きです。

セリフに「 Power to the People 」(*注)なんかがでてきたりね。

 

(*注)Power to the People

1971年発表のジョン・レノン&プラスティック・オノ・バンドの楽曲名

 

ウォーレン・ビーティーとゴールディー・ホーンは、

後年「シャンプー」で共演することになりますが、

僕はこの作品の方が好きです。


中盤、展開がちょっとモタモタして、

上映時間がちょっと長くなってしまったのが惜しいかな。

1時間30分くらいに収めてくれたらもっと良かったかなと思います。

 

それでも理屈抜きで面白い作品であることには変わりません。

おススメします!

 

『バンクジャック』 原題:$(Dollars)

1971年(米)リチャード・ブルックス監督

120分