希望の国 | あの時の映画日記~黄昏映画館

あの時の映画日記~黄昏映画館

あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます


あの時の映画日記

希望の国
2012年度(日)園子温監督作品

ヒューマンで残酷な物語。
素晴らしい作品です。

長島県(架空の県)の原発が地震により損傷し、
原発から半径20キロ以内に、国から避難命令が出る。

あの時の映画日記

普通の暮らしをしていたいろいろな家族が、
「放射能」という見えない敵と戦うことになる。

ちょうど20キロのボーダーラインに暮らす、
老夫婦の描写に重点がおかれ、
この痴呆を抱えた妻との愛の生活が心にしみる。
雪の中盆踊りを始める妻を優しい目でみつめて、
一緒に踊るシーンは心に残る名シーンだ。
思わず涙がこぼれそうになるのを、必死でこらえた。

この老夫婦をめぐる描写は、
反核アニメの傑作「風がふくとき 」を連想させる。
また、放射能恐怖症になった妊婦の行動も、
それを連想させる。

安全な場所に引っ越した若夫婦。
海岸で遊んでいる時にポケットのガイガーカウンターが響く。
「希望の国」とはなんて皮肉なタイトルなんだろう。

老夫婦の結末については書かないでおこう。
夏八木勲の抑えた演技が素晴らしい。
助演陣もそれぞれ好演。
園監督にかかると、みんな神がかった演技をみせる。

暴走して手をつけられなくなった文明と、
一般市民である我々はどうやって戦うのか。
キザな言い方になりますが、
そんな時こそ「愛」を信じたい。
そう思わせてくれる作品でした。


★園子温監督レビュー
愛のむきだし
冷たい熱帯魚
恋の罪
ヒミズ
紀子の食卓
自転車吐息

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