2006年度・園子温監督作品
日常生活に倦怠感を感じていた高校生の長女紀子は、
停電の夜に”廃墟ドット・コム”というサイトを通じて知り合った「上野駅54」を頼って、
家出、上京する。
その頃、新宿駅で54人もの女子高生が集団自殺するという事件が起こる。
その中に姉の存在を感じた次女ユカも、家出。
心労の重なった母の妙子は自殺。
残された父徹三は、廃墟ドット・コムの存在を知り・・・
今、日本映画界で最も注目すべき映画監督「園子温」
同監督の2006年の作品です。
家族の絆ってものを、見事に切り裂いてくれましたねぇ。
ありえない設定の物語が、登場人物それぞれのモノローグによる展開で、
リアリティのある物語になりました(かなり力技ですけどね)
この作品の重要なキーワードとなる”レンタル家族”
この虚構の幸せを求める寂しい人たちは、現実にも多いだろう。
現実の幸せなんて作り物。
自分は自分でしかない、というより自分にしか作れない幸せがあるはず。
虚構と現実が交差していき境界がなくなっていく過程がすごい。
あなたの家族は幸せですか?
幸せを演じているのではないですか?
家族の虚しさを、鍋を囲むワンカットでみせてしまう鮮やかさ。
後半30分の畳み掛けるような展開は、まさに映画的な面白さ。
「?????」も、強引に荒勢のがぶり寄りのごとく吹き飛ばしてしまう。
(わかるひとだけわかってほしい例えです^^)
この物語を象徴的に表している、イメクラ嬢みかんちゃん。
最後は彼女も自分探しに出かけたのだろう。
そして、最後に下す次女ユカの決断。
余韻を残して終わります。
俳優陣では、次女を演じた吉高由里子と、
「上野駅54」こと、クミコを演じたつぐみが抜群。
園子温監督作品は、ラストで交通整理がつかなくなってしまうことが多く、
実はこの作品もそうなんですが、
それを差し引いても面白い。
好き嫌いがはっきり分かれる作品だとは思いますが、
僕は好きです。
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