ヤマギの手記 -6ページ目

ゆれる

ゆれる [DVD]/オダギリジョー,香川照之,伊武雅刀
¥3,990
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「ゆれる」(2006・日本)

監督・脚本:西川美和

出演:オダギリジョー、香川照之、伊武雅刀、真木よう子、蟹江敬三


おすすめ度:★★★★★


先日、友人の山田氏と酒を飲みかわしていた際、映画の話になり幾らか観て欲しい映画がある、とのことでしたので、今週は山田おすすめ週間です。んで、この作品が一作目。凄く評判良くて、各方面からの賞賛の声は嫌というほど聞いていたので、期待過剰な状態で観させていただいた。

簡単なあらすじ→閉塞した田舎での暮らしを嫌い、東京で写真家として活動する弟・猛(オダギリジョー)。一方、家業のガソリンスタンドを継いで、父親の面倒も観ながら、地味な暮らしを送る兄・稔(香川照之)。母の死により帰省した猛は稔の切り盛りするガソリンスタンドで働く、昔の恋人千恵子(真木よう子)と再会し、一夜をともにする。翌日、3人で渓流に出かける。猛は千恵子を嫌って離れて写真を撮影しているときに、千恵子は吊り橋の上から落下する。その時、近くにいたのは稔だけだった。事故だったのか、事件だったのか。裁判が進むにつれ揺れ動く猛の心。そして、最後に証言台に立った猛が下した決断とは・・・。


この話は決して犯人探しをするサスペンスではない。兄弟の絆がテーマだ。兄弟とは一体どういう関係なのだろう。友達でも恋人でも親でもない。だが、自分ともっとも近く、遠い存在だ。絆、それは見えないところに存在する。だが、それは全てホンネではない。建前である部分も存外大きい。どちらかが、我慢をし、どちらかが、解放される、そういう風にも言える。兄弟とはどうあるべきか、兄弟の絆とは・・・というテーマを鋭く描き切った作品。


演出、脚本、全てがとてもいい。1つ1つのシーンに意味が込められている日本映画なんてなかなか稀だと思う。厚みがあり、繊細な演出がとても印象的。だが、それにもましてこの作品の決めては主演2人の好演だ。まず、香川照之。凄すぎ。正直、ここまでとは。脱帽したって感じ。法廷でのセリフ回しとか、表情、全てがこの物語を引き立てていく。しかし、オダギリジョーもかなり凄い。この二人の組み合わせで化学反応が起きたといってもいい。本当にこの映画はこの2人の力量を確かに証明した形になった。凄い、凄すぎる・・・本当に。


結局のところ、素晴らしい映画だった。文句のつけようがなく、とりあえず観て欲しい。最後は泣きっぱなしですわ。本当に。絶対、観るべき映画。邦画でここまでの完成度。観てほしい。


こっからネタばれだよー。




「とにかく、ゆれる!」

なんといっても、この作品は全ての登場人物がゆれている。その心のゆれを繊細なタッチと演出で隅々まで描き出したのがこの作品の特徴であり、成功。まず、千恵子だが、彼女は最初給油に来た猛に声をかけようとするが、寸でのところで止める。この仕草、表現、これがこの物語の全てを語っていた、と後になって気付かされる。こういう些細な人間の揺れ動く心、迷う心や、戸惑う心、思い煩いや、疑いの心。そういう揺れがこの物語の全てなのだ。千恵子は派手な生活と母親との間で揺れており、結局とどまってしまった自分を悔いている。それが彼女の揺れだ。

猛は獄中で変わっていく兄の姿にゆれる。兄とは一体どんな人物だったのか、はたまた自分はどんな人物だったのか。猛は兄というレンズを通して自分の姿を見る。彼が写真家、という設定なのもこれでうなずける。結局、証言台に立った猛は本当の兄を取り戻すという自己本位な理由で、兄を服役させる。

だが、彼は子供のころのフィルムの中に自分に手を差し伸べる兄の姿を見て、兄の本質を知り、同時に自分の本質も知る。結局のところ、全てを兄から奪った自分に気づくのだ。服役させたのも、自分の都合だったというわけで、彼は急いで兄の元へと向かう。最後、猛が兄に手を差し伸べるのだが、その手を振り払ったのか、握り返したか、というのは闇の中だ。

ラストの笑顔は一体なにを意味しているのか。それは観ている人の想像にあえて託したのだろう。そのあたりも、実によく作られていると思った。まぁ、限りなく握り返すと考える人が多いと思われるようにもしてあるけど。


てな感じで、結局、これは明かされない事件の真相が一番鍵であって、この物語の方向性を明確に位置付け、なおかつ、娯楽性を徹底して排除して、本気でものづくりをした、本物感を出すことに成功してる。マジで良い映画だったよ、本当に。DVD買おうかな、マジで。








書きたいことわんさか。

バイト帰りの地下鉄でばったり高校の時の同級生と出くわしたんですが、なんか緊張した。女子なんだけど、女子と話すって緊張するわ。なんだろ、この感じ。てへっ。

こんばんわ。ヤマギです。


最近の日記書いてない生活で、書きたいことが溜まった。そんなわけで、得意の広く浅くでいきたい。


まず、ギャンブル全般から。

競馬は最近参加してないですが、一応観戦は欠かさずしてます。トライアルの季節になりまして、阪神JF組は相次いで勝ち切れず、一応桜花賞の切符は獲得していますが、不安が残る。重賞を手堅く勝っているアプリコットフィズ辺りが人気するのか。まぁ、まだフラワーCもありますし、わかりませんが。

あと、笠松のアイドルラブミーチャンもやられましたし。地方競馬の不況、ヒーロー不在の競馬全体に明るい兆しを見せることが出来なかったのはかなり残念です。距離が長かったのと芝初挑戦だったので、かなり厳しい戦いだったから仕方がない。

来週は皐月賞のトライアルのスプリングSやりますね。注目はなんといってもローズキングダムですが、ここはなんなら勝って欲しい。全勝でヴィクトワールピサとぶつかって欲しいと思います。そこで、大きく転んでくれれば、馬券としても美味しいので。


個人のスロットですが、なんでこんなに負けないんだろうーって感じ。主にエウレカとエヴァを打ってますが、コンスタントに+収支です。エウレカなんて正直BIGとARTにバランス良く入らないと厳しい、つまり、短時間で勝つには設定よりもヒキが重要視されるわけですが、そんな状況でコンスタントに勝ててるってのは、やはり今は少し運がいいらしい。エウレカのフリーズ見たいわー。


次に生活ですが、最近これといってなにもないんですが、言うならば、携帯が壊れたってこと。

今代替機使ってるけど、アドレス、ブックマークなどは全部入らず。どうせ、電話する相手もメールする相手もいないからいいんだけどさ。携帯壊れて思ったよ。別に要らねえな、って。ただ、時計とアラーム、これが困る。目覚まし時計と腕時計買えば済む話なんだけどね。さびしい人間だね。でも、いらないよ携帯。


あと、フィギュアの新星村上さんがジュニアの世界大会優勝したね!これは超嬉しい。ソチ五輪楽しみだなぁーやっと誰からも批判を受けずにフィギュアを応援出来るんだね。フフフ。


というわけで、特筆することもないんだけどさ。

明日、髪切ります。これでロン毛とはおさらばさ。ロン顔からは逃れられないけど。今回は
ストレイシープ-日々を綴る-
こんな感じにしてもらおうと思う。久々の黒髪やぁー。僕黒髪似合わないんだよなー。まぁ、いいかたまには。就活してるっぽいし。


では、次回は「ゆれる」のレビューですので、それまで、さよなら!


腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ [DVD]/佐藤江梨子,佐津川愛美,永作博美
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「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(2007・日本)

監督・脚本:吉田大八

出演:佐藤江梨子、佐津川愛美、永作博美、永瀬正敏


おすすめ度:★★★☆☆


GEOで凄くプッシュされてたので、なんとなく見てみようと思った。簡単なあらすじ→女優志望の勘違い女を主人公に、彼女を題材にしたホラー漫画を描いて恨まれている妹や兄夫婦など、4人の人物が主に登場するブラックコメディ。

僕としては「レベルの高い作品なのは間違いないが、共感・共鳴を悉く淘汰して最後まで駆け抜ける」って感じ。映像の撮り方とか、役者の立ち振る舞い、世界観、全てがレベルの高いところでまとまっている。しかしながら、登場人物誰ひとりとして、現実味のある人物がおらず、観ている人間の情を揺さぶらないのだ。そこが最大の欠点だと僕は思う。作品の一人歩きという邦画にしては珍しい部類の作品だったと思う。

したがって、娯楽性は低く、芸術性もそこまで無い、しかも、テーマ性も極めて薄く、なかなか難しい作品だった。


ただ、出演陣の立ち回りは巧妙。これだけでも観る価値あり、と言っていい。お粗末な演技が相変わらずの佐藤江梨子も、今回はぴったりはまった。これは恐ろしいくらいのハマり方だな、ってレベル。多分これ以上はなさそう。サトエリの美を究極まで引き出す形となった、佐津川愛美もまた絶妙で、良い味が出てた。永瀬、永作はさすがだが、今回は特に永作博美が凄かった。多分、この映画を見れば永作博美という底知らずのポテンシャルに驚かされるはず。本当に凄い女優だよ。まったく。


この映画ではやけにサトエリが脱ぐシーンが多く、個人としては大変嬉しかった。スタイルやばいね、あの人は。全盛期の及川奈央くらいはあった。それだけでも、男なら必見ですね。


こっからネタばれです。





「永瀬の死に意義あり!」

永瀬の苦悩を死、というあまりに簡単な答えで終わらせてよかったのか。確かに、死を選んでも仕方がない、という部分はあり、正直奴はメンヘラ野郎だったけど、それでも、一番共感が持てるのは永瀬演じる兄だったはず。永瀬が一番マトモで真面目。それが逆にあだになったというユーモアなのか、それとも勧善懲悪なんて最初から頭にないって感じか。結局、ややハッピーエンドな主役2人に対し、なぜ、永瀬、永作ともに憂き目を見なきゃならないのだろうか。これがブラックユーモアってやつなのか。知らんわ。

サトエリがまず屑すぎる。それがこの作品に移入していけなかった大きなファクターでもあるけど、勘違い女って前に、兄や父母、同級生までをも金勘定でしか見られない方がはるかに問題だと思う。多少、複雑な家庭環境ってのはあるけれども、それでもいくらなんでも屈折しすぎだろう。下手に出演者全員に重たい過去をしょわせるだけしょわせて、結局、最後はそれなりに普通の終わり方はあまりにもひどい。

重たすぎる過去を全て知る佐津川の終わりだけがただ納得でき、サトエリの人間らしからぬ、というか人としてどうかと思う感が強すぎる。


僕は、なんだかんだ勧善懲悪ものが好きです。だから、こういう考え方なのかも・・・。ブラックユーモアにはついていけないなぁーと思う。主役2人がどちらもヒールですから、こういう感じも仕方ないのかも・・・なんて思ったりもしてる。


暴走のそのあと。

前回はエヴァ風に僕のギャンブル敗戦日記を書かせてもらいましたが、あれから僕はどうなったかは普通に書きます。こんにちは。


そこそこ頑張ってます。宵越しのハイエナもそこそこ出来ており、たまに気分でエヴァに入れたりしながら、+17000くらいまでやっときました。今日と昨日だけの稼働なのでそこそこやれてるんじゃないか、と思います。

エヴァに関してはやっと理解が深まってきまして、いまだ天井から暴走というパターンは経験なしですが、割と天井の保険でさくさくBIGを引いております。レインボー、フリーズは経験しました。ただ、異色BIGの美味しくなさが少しいらつく感じですね。あと、意外にもホールを見渡すとBIG中のチェ・赤7・赤7を落としてる人が多いですね。変則打ちでしかゲット出来ないですが、1Gの損なのでハイエナ男としては絶対に落とせないです。


そんなこんなでエヴァでは+5000くらいです。後は昨日のデコトラ宵越しハマり台でがっつり稼げました。面白くなさ半端ないけど、柳沢慎吾のファンとしては彼の登場があるのでまだ助かってます。


そんなわけで、パチスロの話題は今日一日の限定でありまして、明日からはまた普通の日記書きます。月終りに収支でも書ければ書きたいですが、まぁおいおい。


暴走、そして…。

今回の日記は少し趣向を変えて、アニメエヴァンゲリオンに準えて今日の出来事をフューチャーしていこうと思う。



それではスタートです!





「う…ん…ここはどこだ?僕は今日自動車学校に朝から行くはずだったはず…」

ヤマギシンジはかなり前からその場所にいた。ただ、彼が彼自身立っている場所を確認しようとするのが大分遅れただけで、彼は確かにここにいる。夢でもない、むしろ、現実の象徴たる光景が彼の目の前に広がっている。

彼は自分がどういう過程でこの場所にたどり着いたのかをもう一度考え始めた。だが、彼がいくら思い出そうとしても、出てくるものは自動車学校の校門、そして漠然とする不安のみだった。


ただ、ようやく彼もここがどこかということくらいはわかってきた。そこは光に溢れていた。その光は何色もの輝きを放ち遠くで見ると美しい。だが、実際その光は野蛮で無遠慮な性質の塊であった。それがシンジの心に淡い希望と深い闇を作り出している。




気付けば、彼の真後ろには女性が一人立っていた。彼女は仁王立ちで腰に手を当て、彼が振り向くまで彼の不安気な背中をただじっと見つめていた。目が合って彼女は微笑んだ。美人である。


「こんにちは、シンジ君」彼女は臆せず更に前に踏み出しギリギリまで顔を近づけて、彼の顔を舐めまわすように見た。


「誰ですか?あなたは?」


「葛城ミサトよ。ミサトでいいわ」




このミサトという女にシンジは初めて出会った。忘れているわけでもないはずだ。それなのに、彼女はシンジをよく知っているようだった。彼女の自信に満ちた口ぶりがそれを言わずとも語る。彼は彼女なら自分がここに来るまでの過程を知っているような気がした。なんの根拠もない。だが、すべての状況がその答えを導いているようにしか思えなかった。


「僕は一体・・・」


「あなたがあなたの意思でここに来たのよ」


「違う。僕は今日自動車学校に・・・」


「いいえ、あなたは自動車学校に行かないで、ここに来たのよ。確かに家を出るまでは自動車学校に行くつもりだったのかもね。でも、現実は違う」




彼はひどく混乱した。自分の意思でここに・・・彼は彼女の言う真意がわからないどころか、言葉そのものの意味すら理解しかねた。


「まだわからない?あなたの財布を見てごらんなさい」


彼女に言われるがままにカバンの中から財布を取り出し、中身を見る。彼はそこで記憶の奥底で得体の知れないなにかが動き出すのを確かに感じた。


財布の中には、4千円と3万円が区分けされて入っている。彼は昨日まで今月5千円でどう生きていけばいいのか、とひどく頭を悩ませていた。だが今目の前には4千円と3万円がある。


「あなた、昨日行ったわね」


「はい・・・」彼は確かに昨日バイトの前、パチンコ店で人生で初めてパチスロの勝ちを経験していた。


「シンジ君。これは別におかしなことではないのよ。男の子は誰でもそういうもの。というより人間全般ね。一度した美味しい思いは忘れられない。また、繰り返すことを期待して、理性を通り越して希望を実現しようと人間は行動してしまうわ。いい?シンジ君。あなたはこれからここで一切の良い思い出を捨てなさい。あなたはギャンブルで得たあぶく銭をギャンブルに還すのよ。それがあなたの使命。人間として生きる条件よ」




一瞬の間があった。うつむいていたシンジが微かになにかをつぶやいている。消え入りそうな声で、意志のこもった言葉を発する。


「・・・嫌だよ。嫌、嫌、嫌、嫌、嫌だよぉぉぉ!僕はこのお金で美容室に行くんだ。靴も買うんだ。出来れば、カバンも買うんだ。僕のお金だぞ。ギャンブルで得たお金だからってなんだ!お金はお金じゃないか。僕はこのお金を自分の為に遣うんだ」


「落ち着いてシンジ君。あなたの言っていることはよくわかるわ。でも、それは全て夢なの。あなたの理性が造り出した一時の幻。あなたはそれに必死にしがみついているだけなの。・・・いいわ。あたしがこれ以上なにを言っても無理みたいね。一時間後にまた会いましょう」


そういって、ミサトは足早に人垣の向こうへと姿を消した。




なにが、理性だ。なにが、夢だ。彼はその言葉を腹の底から反芻して嫌な気持ちになった。ミサトの背中が消えると、彼は不思議と回るリールに目がいった。赤い7が揃う。BIGだ。




一時間後・・・・




「シンジ君!シンジ君!シンジ君!」


「枠上に黒・・枠上に黒・・・中段チェリーは特殊スイカ成立・・・枠上に黒・・・発射・・・枠上に黒・・・発射」


シンジは目の前の3つのボタンを順番に押していた。意識はほとんどない。吸い込まれていく1000円札は優に20枚を超えた。彼は完全にハマり、昨日の勝ち分すらもう殆ど残ってはいなかった。




「ダメです、ヤマギは応答しません」伊吹マヤが必死に解析を試みるも、もはやシンジの心は無に近く、コンピューターが把握できるレベルを優に超えている。


「シンクロ率上昇、このままではパイロットが危ない」


「リツコ!」ミサトが赤城リツコに呼び掛ける。


「このままでは、財布を質に入れかねないわ」


「正直ここまでとは・・・」伊吹マヤがシンクロ率を見ながら嘆息する。


「えぇ、予想をはるかに超えた、依存度だわ」リツコがマグカップを傾けながら落ち着いて喋る。


「このままでは、帰りの交通費にも手をつけます」


「なんとしても、彼はBIGの後のARTを見たいのでしょうね。だが、彼にはもう勝算はないわ。彼の今の状態ならいくらお金があっても足りないわ」


「じゃあ、どうすればいいってのよぉ?えぇ?」


「どうしようもないわね」




「彼はもう間もなく最後の千円に手をかけます」伊吹マヤの語気がやや荒くなっている。


「昨日の分だけじゃなく、最後の4千円まで遣うなんて」ミサトは驚きで硬直したままだ。


「100パーセント入らないわ」リツコはいまだに椅子に深く腰掛けたまま、冷静に辺りを見回している。




まもなく、コインがなくなろうとしているときだった。ミサト達のいる部屋には赤いランプが点灯し、けたたましい警報音が鳴り響く。


「シンクロ率上昇、百パーセントを超えました、計測不能。アンビリカブルケーブル断線、ヤマギ内部電源に切り替わります」


「なんですってぇぇ」


事態は深刻さを増していた。当初打っていたエウレカセブンからはいつの間にか移動し、負けた者の墓場、その名もアイムジャグラーを回していたのである。


このままでは、彼は破産する。それはミサト達が描いたストーリーではない。彼女はギャンブルの勝ち分をある程度還すことにより、自分の無力を知り、あぶく銭のむなしさを感じてもらうことが目的であって、彼の生活を揺るがすほどの打撃を与えるつもりもなければ、そこまで投資するとも予想していなかったのである。




残り1枚。アイムジャグラーは1枚掛けで回すことが出来るが、それは当たりに限りなく遠く、9割9分負けたも同然だ。


「5、4、3、2・・・1。ヤマギ、完全に沈黙です」




「大体、僕は悪くない。元々、ギャンブルなんてものがなければいいんだ。そうすれば、なにもないし、こんなにつらい思いもしなくていい。ギャンブルなんて二度とやるもんか。あんなお金、始めからないようなもんなんだから。早く忘れよう」


「そうやってあなたは逃げるのね」


「誰?綾波?」


「あなたはいつも誰かのせいにして、逃げる」


「違う。逃げてなんかいない。パチンコ屋があるからいけないんだ。僕は悪くない」


「あなたは負ければすぐに逃げようとする。そして、忘れたころにまた始め、また逃げる。それをあなたはずっと繰り返す」


「違う。本当に金輪際ギャンブルなんてしない。僕は働いたお金だけで暮らしていく」


「あなたは本当にそれでいいの?ただ減ってゆくだけのお金。あなたはそれを望むの?」


「・・・」


「あなたは逃げているだけ。逃げているだけ。逃げているだけ。」






嫌だ。








逃げちゃだめだ。








逃げちゃだめだ。








逃げちゃだめだ。








逃げちゃ・・・








おおおおおおおおおおおおおおおおおおおううううううう。


「ヤマギが暴走!?パイロットの保護を最優先!」


「暴走モード突入です!」




続く。






登場人物などは全てフィクションですが、僕の今日の出来ごとです。続編をお楽しみに。