お墓への戒名等の彫刻について | お墓のコンビニふじのや

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都立八柱霊園中参道で店を構える藤乃家石材店のブログです。
お墓や霊園についての役に立つ情報を発信しています。

いつもお世話になっております。

 

都立八柱霊園 中参道 藤乃家石材店でございます。

 

今日はお墓への戒名等の彫刻についてお知らせいたします。

 

もしも御身内にご不幸があった際、色々と手続きやご連絡等、やらなければならないことが次々と出てくるかと思います。

 

既にお墓をお持ちの場合、私共のような石材店には最後にご連絡をくださることが多いようです。

 

ご不幸があった際の石材店の業務は、主に埋葬(埋蔵・納骨・埋骨等)というお墓にご遺骨を納めることなのですが、合わせてお墓に故人様のお戒名(法名・法号・洗礼名・霊号等)や俗名、お命日や没年齢などを彫刻する業務が御座います。

 

この彫刻完成まで弊社では1か月を頂戴しております。

 

仏教徒の方ですと、既にお墓をお持ちであっても四十九日に納めるのが良いとされていますので、ご不幸があってから数日以内にご連絡を頂戴できれば埋葬の日までに彫刻が完了いたします。

 

殆どのお客様はそのような日程で進めさせていただいております。

 

しかしながら中には、四十九日を待たずに火葬場からすぐにお墓に納めたいというお客様もいらっしゃいますので、この場合は当然彫刻の完成は埋葬よりも後になります。

 

さらに最近では、埋葬日直前まで一切のご連絡をいただけないお客様や、比較的近い日時の埋葬をご希望されるお客様の割合が増えております。

 

この墓石(石塔・墓誌)への彫刻作業は、一度彫ってしまうと原則やり直しや訂正ができない為、特に慎重に作業し、お客様にも原稿のご確認をお願いしております。

 

調べたところ同業者様の中にはこのお客様への確認作業を省いて、教えていただいた内容のまま彫刻される業者さんがいらっしゃるようです。

 

弊社独自に調べたところでは、実に2軒に1軒の割合、つまり半数の業者は一切確認していないという事がわかりました。

 

これは大きな問題や間違いが起きる可能性があると弊社は考えます。

 

例えば、命日(没年月日)の後につける場合もある『没』という字は、『歿』や『沒』、或いは『殁』などへんやつくりが異なる字が使われることも多く、お客様からいただいた原稿やご住職様からいただいたお戒名と、既に墓石に彫刻されている字が異なる場合があります。

 

こういった場合、私共のルールでは、既存の書式・文字に合わせることにしておりますが、ここを頂戴した原稿のままで彫刻をする業者さんが少なくないようです。

 

先日埋葬のたびに業者を変えていたお客様のお墓を拝見したところ、全くばらばらの書式(や文字の大きさ、字体、太さ、間隔、バランス、白ペイントの有無など)で彫刻されておりまして、正直統一感が無くどれに合わせて良いのか悩んでしまいました。

 

没の字以外にも『享年』・『行年』の違いや、『歳』と『才』という違いもございます。

年齢については『かぞえ』と『満』という数え方の違いが存在するので、既にお墓に彫刻されている方のお歳がかぞえなのか満年齢なのかを判断してそれに合わせて彫刻するという事も必要となります。

 

これは石材店だけでは判断できないことです。

 

或いは弊社の社長の名字に使われている『天』という字は、正式には上の横棒が短い『天』なのですが、かつて役所でコンピューターが導入された機会に上の横棒が長い『天』に統一されてしまいました。

 

お墓では常用漢字や規格に合わせる必要が無いため、代々引き継いできた本来の字を使用することができます。

 

一般的には『吉』という字も横棒の長さが異なる『𠮷』と間違えやすいと思われます。

 

或いは、『止め』や『はね』などもそのお家独自のルールがあるかもしれません。

 

お客様の原稿でよくあるものが『釈』と『釋』、『恵』と『惠』、あるいは『静』と『淨』など旧字が使われている場合です。

 

普段省略して書くことが多いため、彫刻の為の原稿も常用漢字で書いてしまわれることがよくあります。

それも既存の彫刻を拝見した際たまたま同じ文字で旧字が使われていた場合は、石材店も間違いに気づくことができますが、そうでない場合は気づかない可能性があります。

 

そういったことをひとつひとつ検証しながら、既存の彫刻に合わせた書体・書式で作成してたものをお墓に彫刻させていただく原寸大の原稿としてプリントし、さらに直近のいくつかの彫刻の写しと合わせてお客様にご確認いただき、ご満足・ご納得いただいた後、やっと彫刻の作業に入ります。

 

間違いのないようにお客様にもゆっくりお考えいただくお時間を取るための1か月と思っていただければ幸いです。

 

簡単にお話ししてもこれだけの考えなければならないことがあるにもかかわらず、原稿も作成せずお客様にご確認もしていただかずに彫刻してしまうことは私共には信じられないことなのです。

 

なお、埋葬前の彫刻か、その後の彫刻かという話ですが、

 

「作業が間に合うかどうかに関係なく、必ずご遺骨を納めた後でなければ彫刻をしてはならない」

 

とおっしゃっていたご住職様もいらっしゃいました。

 

すなわち、

 

「お墓は終の棲家であり我々が済んでいる家と同じです」

「引っ越してくる前に、住んでもいないのに先に表札を掲げる人がいますか?」

 

というご説明をして頂きました。

 

これも仰る通りの正しいお話だと思います。

 

もちろんそのお寺様の墓地ではそのルールに従います。

 

このように、

一口に『お墓の彫刻』とは言いますが、実にたくさんの調整や検証が必要となるのです。

 

石は一度削ってしまえば元に戻すことができません。

 

完璧に直すとしたら、新しいものに交換するしか方法がありません。

それには数十万円からの費用がかかります。

 

一部条件がそろえば、あるいは仕上がりの良し悪しをおこだりにならないのならば、パテ埋めしてその上から再彫刻することもありますが、そもそも間違えなければその必要はありません。

 

なお、原寸大原稿をご確認いただき、校正のご返事をいただいた後は速やかに彫刻作業に入りますので、それ以降訂正をお申し付けられても応じることができません。

 

「彫刻の仕上がりを見てから判断する」

 

と言われたことがありますが、

 

パソコンの画面のように簡単に消したり移動したりは出来ません。

 

出来ないからこそ時間をかけてお客様にもお考えいただいているのです。

 

ネット社会の現代では、

 

『戒名彫刻 〇〇〇〇〇円』

 

のように簡単に金額を比べることができるようになりました。

 

価格表示をされていなくても、メールやお電話でのやり取りでお聞きすることができます。

 

しかしながら、実際は石材店によってそのプロセス(過程)は全くことなるのです。

 

弊社は、ここまでやっても決して最高値ではなく、同業者様と同一だと思います。

 

当然ながら最安値はそもそも狙っておりません。

 

職人の技術や作業するものの気配りや考えの深さは、価格には表されておりませんが実は会社によってやっていることが全く違うのでよくお調べになってご依頼くださいませ。

 

都立八柱霊園 中参道 藤乃家石材店

Eメール fujinoya@cam.hi-ho.ne.jp