お墓のコンビニふじのや

お墓のコンビニふじのや

都立八柱霊園中参道で店を構える藤乃家石材店のブログです。
お墓や霊園についての役に立つ情報を発信しています。

近くの公営霊園に来ています。


今日のお客様のお墓で準備を始めようとしたのですが、視界に異様なものが飛び込んできました。

ん?焼香台と棚?


どこかの石材店さんが埋葬の準備でもしてるのかなと近づいてみたら、

なんと不法投棄か!


どうすれば亡くなった人を供養する場に不法投棄できるのでしょうか?

日本では性善説はもう通用しなくなってますね。

先日埋葬に伺ったお墓は結構昔に建てられたものでした。

 

全体に目地切れや外柵の羽目にずれがありましたが、入り口右側のこの部分が特に気になりました。

階段の右側の部材が剝がれてしまっていて固定されていません。

 

埋葬後に蓋の隙間を目地したセメントの余りで簡単に補修しておきます。

 

まずは接着面を清掃します。

 

それで剥がれた理由がわかってきました。

当時は強力な接着剤が存在しなかったのでセメントやモルタルで接着するのが一般的なやり方で間違ってはいません。
 
けれど、接着する階段の上面も磨き仕上げになっている為これでは着きが悪いです。
 
当時の工法から考えると、ここは水磨き/あらずり仕上げでざらざらにしておくとか、カッターでスジを入れるなどの作業が欲しいところです。
 
なお現在では、この部分については接着面(接合面)の目地幅をもっと小さく設計して強力な接着剤で接着するのが一般的です。

 

とりあえず清掃完了。

 

上階段の上面も同じ磨き仕上げでした。

 

問題はこの垂直面。

やはり磨け仕上げです。
全部がこういう仕様で仕方ないと思ったのですが・・・

 

よく見ると下階段の垂直面には申し訳程度のザグリがありました。

 

はずれた部材の垂直面を確認すると、ザグリがありました。

 

上階段にのっていた部材の底には小さくザグリがありました。

このザグリは、部材の接合面に加工しておいて、間にモルタル(セメント砂を混ぜて水で溶いたもの)を流し込みます。

 

硬化し接着完了すると、お互いの部材の引っ張り方向以外の力には耐性ができるという仕組みです。

さらにもしも接着が剥がれてもずれにくくなります。

 

当時、ザグリは部材の底については各社色々と考えがあったかと思いますが、垂直面同士の接合面については接合面を荒く仕上げてザグリを入れ隙間にトロ(モルタル)を流し固めた後、周囲をセメントで化粧目地するのが正解だったと考えます。

 

もちろんザグリを入れていない石材店もあったと思うので、それはそれはその会社の考え方ですから間違っていると断言はできません。

 

ですが、このお墓についてはザグリを入れることがわかっている(重要性やその目的がわかっていなかったのかもしれませんが)のに、設計がいけないのか加工がいけないのか、とにかく不十分であり、さらに現場での施工もモルタルを完全に流し込むわけではなく隙間があり、何もかもが不十分です。

 

手抜き工事に間違った設計・加工。

 

これではお客様がかわいそうです。

 

しかしながら今回の補修は代金を頂いているわけでも補修を依頼されたわけでもなかったので、セメントを柔らかく溶いたもので接着するだけにとどめました。

 

もしもこの状態で強力な接着剤を使用してしまうと、今後全面的なリフォームをされる場合にやりにくくなってしまうので見た目だけ元に近いように戻しました。

 

 

 

 

これで小さなお子さんが体重をかけたぐらいでは動くことは無いと思います。
 
お墓の左右にある部材や墓誌って、手すり代わりに使う方が多いので固定したものがはがれやすくはがれてしまうと危険なのです。
 
なお、本文中の施工法はしあくまでもこのお墓の建墓当時のやり方の説明です。
 
現在一から建墓する場合の工法は全く異なります。
 
弊社は部分的にリフォーム。補修する場合は当時のやり方や、現代のやり方で見た目を元に近くするような方法をとっています。
 
セメントで目地してあったものを部分的にコーキング目地にするというちぐはぐな事は一切やっておりません。

 

今回の補修は埋葬をご依頼いただいたサービスですので0円ですし、補修したことをお客様にも特にお伝えしておりません。

 

次回の埋葬ができるだけ先になるように、カロート(納骨室)の蓋の目地もしっかりとやらせていただきました。

 

皆様が末永くご健康でいらっしゃることをお祈りしております。

 

担当 岡田

 

 

※なお、皆様に申し上げますが、もしもまだ数年でお墓の部材がズレたりした場合は、すぐに建墓工事をお願いした石材店様にご連絡をお願いいたします。

 

保証で無料での補修が可能な場合があるかと思います。

 

その際にご自分で補修したり、建墓した以外の石材店に何らかの作業(埋葬を含めて)をご依頼された場合は、その保証が切れてしまって有料になってしまうことが御座います。

 

まずは建墓した石材店様にご相談なさってください。

お客様からお問い合わせをいただきました。

 

ご質問は、

 

「お墓を買った際に、『永代供養料』という大きな金額を支払ったのですがこれは何ですか?」

「これを支払ったからずっと供養していただけるのですか?」

 

というものでした。

 

ご相談いただいたお客様は、個別のお墓であったので何か勘違いされていると思いました。

 

「それはもしかして『永代使用料』と書いてませんか?」

 

とお訊きすると、

 

「えぇと・・・はい、『エイダイシヨウリョウ』です。」

 

って。

 

やはりそうですか。

 

永代使用料というのは、お墓の土地を使用する権利を買ったという事です。

 

一般的に、

 

『お墓を買った』

 

という事をよく耳にしますが、お墓の土地は住宅地の土地とは違いそれ自体を売買するものではなく、あくまでその場所を使う権利を買ったにすぎません。

 

言い換えると、

 

『期限のない借地権』
 

という事です。

 

だから買ったというのはあくまでも墓石(工事一式)という事になる訳です。

 

『永代使用料』

 

というのは、

 

『代々に渡ってその区画を使用する権利』

 

ということです。

 

いっぽう、

 

『永代供養料』

 

というのは一般的に考えられるものは、

 

『永代供養墓』

 

 

『合葬墓』

 

をお申込みになられた際に支払うものです。

 

多くの場合その中には、

 

『永代供養墓の使用料』

『永代供養墓の年間管理料』

『永代供養=永代に渡りご住職様が手厚く供養してくださること』

 

以上が含まれているものと考えます。(異なる場合もあると思いますが。)

 

また、

 

必ずしも

 

『永代供養料』

 

という名目であるとは限りませんし、含まれる内容について個別に明確に表示されている場合もあるかと思います。

 

ご供養がすべて含まれているとはいっても、個別のその方の命日に読経していただきたいとか何回忌の法要を営んで欲しいという場合は別料金(お布施)となります。

 

今回の疑問は、永代供養なのに法要にお布施を支払ったことに疑問をもっているようでした。

 

具体的には、先日の埋葬時にお布施等の支払いをしたこと、さらには以前も今後も春と秋のお彼岸やお盆(お施餓鬼)年末年始などの機会には無料で読経していただけるのかというような疑問でした。

 

そもそも永代供養墓というのは今後守っていく跡継ぎの方がいない方の為のお墓の形式です。

あるいは子孫に負担をかけない為のもの。

 

だから、一度支払えば今後支払いが無いという事になっています。

 

ところが個別のお墓は当然そこをお参りする方がいますし、跡取りの方がいない場合には新規に申し込むことや建墓はできないことが一般的です。

 

だから、個別のお墓で永代供養というのは考えられません。

 

跡取りがいなくなった場合、管理料すら入ってこないお墓の撤去処分料(墓じまいにかかる費用)は誰に請求すればよいのでしょうか。

 

お寺も霊園も石屋もけっして不正などしません。

 

疑問に思うことが会ったならば、数年、数十年経ってからではなく、その時に訊くべきです。

 

そして、慌てずに慎重に書いてあることを読んでください。

 

知らないことは罪でもなく恥でもありませんが、勘違いしてクレームをつけるのはご住職様も石材店も迷惑でしょうし、それはお客様にとっても恥ずかしいことです。