こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も2021年のアーカイブというテーマで

 

想像力と発掘良品の発掘⑭

 

というシリーズで選んだ作品について総括してみたいと思います。

 

本日は、本シリーズで選ばせて頂いた29作品のうち、11~20番目までの作品をご紹介させて頂きます。

 

 


 

⑪小さな悪の華

 

本作は、発掘良品という言葉に相応しいと言うには、ちょっと躊躇してしまう問題作!

恐らくですが本作をご覧になった方は「この映画はTV放映不可能な問題作だ!」と思って頂けると確信しております😅
 

 

 

では、本作は"観る価値のない悪い作品"なのでしょうか?

 

いいえ。

 

本作はむしろ、私たちが観ておいて損のな、現代の闇を描いたような作品。

 

 

 

主人公の2人の少女は背徳の限りを尽くしますが、私たちの周囲を見渡してみると、このような無軌道な行動をして破滅の道を進む女の子は存在するのではないでしょうか?

 

 

万引きや置き引きを繰り返す女の子…

 

クラスメイトに酷い虐めを行い続ける女の子…

 

麻薬などに溺れてゆく女の子…

 

 

 

そう。

 

世の中には常に一定数、闇の世界に自ら足で踏み入れてゆく女の子が存在するのです!

 

↑何不自由ない暮らしをしているにも関わらず

 悪逆の限りを尽くしたアンヌとローヌの夏休みは

 どのような結末を迎えたのでしょうか?

 

 

 

 

 


 

⑫闇のバイブル 聖少女の詩

 

本作はファンタジックな夢物語ですが、1969年にチェコスロバキア(現在は消滅した国家)で作られた作品!!

 

公開当時、共産主義政権だったチェコスロバキアでは、本作のような創造力を豊かにするキッカケとなるような作品は共産党当局によって禁止されてしまいますが、監督のヤロミール・イレシュ氏は撮影を強行し作り上げました。

 

 

少女の夢を映像化したような本作には、今は亡きチェコスロバキアの映しい風景や、習慣や風俗、そして美しい女の子たちが今も息づいているのです😊

 

↑チェコスロバキアの幻想的な婚礼風景。

 こんな光景は、まだ残っているのでしょうか…

 

 

 

 


 

⑬プレイス・イン・ザ・ハート

 

本日の作品は1930年代のアメリカを舞台にした作品!

 

1930年代と言えば、世界大恐慌!!

 

本作は不慮の事故で夫を亡くしてまった2児の母親のエレナが大恐慌下で自宅を守ろうと奮闘する、運命との戦いを描いた作品。

 

 

と言っても、エレナが孤軍奮闘するだけの作品ではありません。

 

本作は、困っている他者を助けたエレナが、助けた人に助けられて大恐慌を乗り越えてゆく相互賦与の物語!

 

エレナは度々が絶望に陥りそうになりますが、その度に、彼女が助けた人たちによって助けられてゆくのです😊

 

↑盲目になって心を閉ざしていた男は
 エレナの賦与の精神に触れ、ハリケーン来襲時に
 エレナの娘の救出に命を懸けてくれます😊

 

 他者を助ける事によって自分の人生も好転する。

 そんな素敵な瞬間が描かれた作品なのです…

 

 
 

 

⑭見えない恐怖

 

本作と⑮でご紹介させて頂いた「10番街の殺人」は、発掘良品第4弾にセレクトされている「絞殺魔」という映画を撮られたリチャード・フライシャー監督の作品!!

 

 

無差別殺人鬼の描写を得意とするフライシャー監督が2つの作品で描いたのは「見えない恐怖」ではアクティブな殺人鬼、そして「10番街の殺人」ではパッシブ(反アクティブ)な殺人鬼!!

 

 

レイプ映画を観た後、武器のオモチャと、戦争コミックと、残虐な新聞記事や暴力番組が蔓延しているウィンドウを通り過ぎた殺人鬼は、夜道で水たまりを通った車にブーツを濡らされただけで、車の持ち主を殺害する事を決意したのです!!

 

↑自慢のブーツを汚された!

 これが動機で相手を殺す事にした男は

 映画のラストまで姿が見えないのです!!

 

 


 

⑮10番街の殺人

 

本作に登場する殺人鬼は、加害者が自分のテリトリーに侵入して来るまで、自分からは行動しないポッシブ(反アクティブ)な殺人鬼!!

 

食虫植物のように無害な存在のフリをしつつ、油断した獲物を捕らえて行くポッシブな殺人鬼は、考えによってはアクティブな殺人鬼よりも何倍も恐ろしい存在!

 

 

本作は1949年にイギリスで起こった「エヴァンス事件」をベースにした実録系殺人事件映画!!

 

 

本作の殺人鬼の名前はクリスティ。

 

クリスティの手口は、医師だと偽って自分が所有しているアパートの一室に若い女性を家に連れ込み、喘息の治療のフリをして一酸化炭素ガスを吸引させて昏倒させた後、首を絞めて殺してしまうというものだったのです…

 

↑裏庭で埋めた死体を犬が掘り起こしていても

 表情が一切変わらないクリスティ。

 温厚そうな顔に騙された借家人の妻は

 子供共々殺害される事となるのです…

 

 

 

 
 

 

⑯死刑台のメロディ

 

本作の作品名は「死刑台のメロディ」!

 

「死刑台のエレベーター」と「死刑台のメロディ」は、混同しやすいタイトルだと思われますが、原題が「SACCO E VANZETTI(サッコとヴァンゼッティ)」という人名にもかかわらず、邦題が「死刑台のメロディ」となっているのは、似たような作品名で観客を惑わそうとしたものではなく、ちゃんとした理由が存在します。

 

 

本作は1920年にアメリカで起こった「サッコ・ヴァンゼッティ事件」の顛末を映画化したもの

 

サッコ・ヴァンゼッティ事件とは、サッコとヴァンゼッティというイタリア人活動家が微罪で逮捕された後に、別の事件の関係者だと断定されて裁判にかけられた事件であり、2人が死刑に処せられた事に反発した全世界の人たちによる抗議が発生し、死刑台に送られる彼らの死を悼む歌をジョーン・エバンスが歌った事から付けられた邦題だと推察されます。

 

↑一度は耳にしたことがあると思われる

 「死刑台のメロディ」の主題歌「勝利への讃歌!」

 

 

なお「勝利への賛歌」は革命を賛美する歌ではなく、正当な裁判を受けられなかった2人への鎮魂歌である事をご理解頂ければ幸いです…

 

↑サッコとヴァンゼッティの死刑に抗議する

 当時の人々が訴えたのは

 イデオロギー的な対立ものでなく

 「裁判の公正さ」につてなのです!

 

 

 

 


 

⑰回転

 

本作の原作は「The Turn of the Screw(ねじの回転)」という古典的な怪奇小説。

 

原作が「ねじの回転」というタイトルである理由は、原作者のヘンリー・ジェイムズが「ただのホラー話をもう少しだけ怖くするために何が必要か?」という話をしていた時に「幽霊話に子供が登場すると、ただの幽霊話よりもグッと怖くならないか?」という提案を受け「だとしたら、登場する子供を二人にしたら、ねじ回しを使ってねじを二回転させたくらい怖くなるぞ!」という会話をしていて付けられたもの!!

 

 

本作は、親を亡くした2人の子供が幽霊と会話をしているホラー映画!

 

子供たちは、幽霊話の怖さを引き立たせるための触媒のようなものなのですが、子供たちと関りを持っている幽霊が、とてつもなく悪意に満ちた存在だと明らかになった時、本作は凡百のホラーではなく、練りに練り込まれた観客を怖がらせるために作られた極上のホラーである事がご理解頂けると思います!

 

↑子供たちに悪意を吹き込む幽霊。

 幽霊の悪意を、遊びの様にとらえている子供たち。

 さて、怖いのはどっち!?

 

 

 

 
 

 

⑱ユーズド・カー

 

本作は、1980年に作られたコメディ映画。

社会的に荒廃していた1970年代の後に到来したキラキラした80年代は、遊び心やチャレンジ精神でもてはやされ、色んな挑戦が許されたエンターテイメント礼賛の時代!!

 

そんな80年代初頭に作られた本作は、詐欺、インチキ、老人虐待、死体遺棄、危険運転、ヌードシーンなど、2020年代のTVでは絶対に地上波で放送する事ができないようなギリギリ。アウトなギャグが満載のエクストリームなコメディ映画😆

 

 

けれどコメディの真髄は、一般社会では起こり得ないような状況を、架空の世界で表現する事が可能だという事ですので、もし、常識に照らし合わせたコメディしか作る事が許されないというのであれば、それは「常識的なコメディ」という事になり、80年代のような笑いにはなり得ないという事になります。

 

本作は、昨今のコメディに対するクレーム問題を考える上で、一見に値する作品だと思います。

 

↑インチキ中古車を買ったら、いきなり子供が転落!!

 こんなシーンは実在しないからギャグなのですが

 昨今では、こんなシーンすらNGかもしれませんねあせるあせる

 

 

 

 

 


 

⑲ジプシーのとき

 

本作はTSUTAYA発掘良品第32弾にセレクトされている「アンダーグラウンド」という映画を撮瀬れたエミー・クストリッツァ監督の作品!

 

 

彼は、かつてユーゴスラビアと呼ばれていた国に生まれた亡国の監督!

 

彼が描く世界は、ひょっとしたら今後亡くなってしまうかもしれない、滅びゆく世界をフィルムに焼き付けていくような、歴史遺産的な作品。

 

 

本作は、ヨーロッパ各国の主要都市で姿を見る事ができるジプシーたちの暮らしや人生観が理解できるようになる、大変完成度の高い叙事詩的な作品なのです!!

 

↑ジプシーたちの生活が描かれた本作は

 何故彼等の子供たちがヨーロッパの大都市で

 生息しているのかも分かるようになる

 ジプシーたちの真実の記録にもなっているのです!

 

 

 


 

黒猫・白猫

 

本作も、⑲でご紹介させて頂いた「ジプシーのとき」と同じくエミール・クストリッツァ監督の作品。


祖国ユーゴスラビアを深く愛していたエミー・クストリッツァ監督は「ジプシーのとき」で世界に才能を評価されますが、アメリカを舞台にした「アリゾナ・ドリーム」という作品を撮っていた時期に、祖国ユーゴスラビアでは悲劇が起こり、国家が消滅してしまいます…

 

意気消沈したクストリッツァ監督でしたが、その悲劇を総括するような作品として「アンダーグラウンド」を完成させた後に、本作のような世界中の人たちから愛される童話のような作品を撮る監督となっていきます…😊 


本作は、博打で失敗したダメ親父のせいで、好きでもない女の子と、強制的に結婚させられそうになるジプシーの青年ザーレが主人公のドタバタコメディ!!


それまでの作品のような残酷な現実が描かれていない本作は、ジプシー世界の住人を、妖精のような雰囲気で描いたファンタジー映画のようなテイスト!

私見ですが、ジプシーたちの生活をよく知り、楽しかったユーゴスラビア時代を知るエミール・クストリッツァ監督は、彼の心の中の素敵なユーゴスラビアを、ファンタジーにして語り継ぐ道を選んだのではないかと考えています…

 

↑ワチャワチャした人々が織り成すドタバタが楽しい本作は

 今は亡きユーゴスラビアの辺境の生活を

 ファンタジーのようなカタチにしたハートフルな作品なのです!

 

 

 

 

 

 

という訳で次回はいよいよ本年のまとめの最後!

 

ラストは想像力と発掘良品の発掘⑭でご紹介させて頂いた21~29作品をご紹介したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

↑次回もよろしくお願いいたします😄