こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑭というテーマで

 

回転(1961)

(原題:THE INNOCENTS)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

 

妖精たちの森 → 回転 → ザ・ダークプレイス/覗かれる女

 

本日の作品の原作は「The Turn of the Screw(ねじの回転)」という古典的な怪奇小説。

 

↑ヘンリー・ジェイムズ著「The Turn of the Screw」

 

↑日本版は直訳で「ねじの回転」です。

 

 

本日の作品の「回転」は、原作を忠実に映像化したゴシック・ホラーの傑作なのですが、本作が公開された後、二つの異様なホラー映画が生み出されます。

 

一つは1971年に作られた「妖精たちの森」という、ストーリーをご紹介するのに躊躇するような背徳的な内容のカルト作品。

 

↑「THE NIGHTCOMERS(妖精たちの森)」

 

 

もう一つは2006年に作られた「ザ・ダークプレイス 覗かれる女」という、「回転」を現代風にアレンジした"原作を知らない人にとっては意味不明"な作品。

 

↑「IN A DARK PLACE(ザ・ダークプレイス)」

 

 

どちらの作品も、原題、邦題共に別名ですので、同じ原作を基にした作品である事を認識するのは難しいのですが、私としてはもし皆さんが未見の様でしたら「妖精たちの森」→「回転」→「ダーク・プレイス」の順でご覧になるのをお勧めいたします😊

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

生と死の境界を映画技術の可能性の中で追求しようとする作品。

ヘンリー・ジェームズの原作「ネジの回転」を「ティファニーで朝食を」のトルーマン・カポーティとウィリアム・アーチボルドが脚色、「年上の女」のジャック・クレイトンが監督、製作した。

撮影は「息子と恋人」のフレディ・フランシス、音楽は「ノートルダムのせむし男(1957)」のジョルジュ・オーリック。出演者は、デボラ・カー、マイケル・レッドグレイブ、パメラ・フランクリン、マーティン・スティーブンスなど。

 

むむっあせるあせる

 

「生と死の境界を映画技術の可能性の中で追求しようとする作品」という、なんだか難しそうな解説となっていますが、ストーリー自体はあまり難しい内容ではなく、古典的な幽霊屋敷映画!!

 

ですが本作の場合、よくある古典的なホラーとは異なる一癖ある展開の作品なのです!!

 

 

簡単にストーリーを解説させて頂くと、主人公のミス・ギデンスは2人の子供の家庭教師として、地方のお屋敷に派遣される事になった若い女性。

 

ギデンスに仕事を依頼したブライ卿にとって子供たちは実子ではなく甥と姪。

 

仕事で世界中を飛び回っているブライ卿は、親戚の子供の世話には全く興味がないため、実家の古い屋敷に2人を住まわせ、教育は家庭教師に任せようと考えていたのです!

 

↑「私は子供たちの面倒を見る気ないので

  全てお任せします。連絡もしなくて結構!」

 

 

人生ではじめて家庭教師をする事になったギデンスは、期待と不安を抱えながら、ブライ卿のお屋敷へと向かいますが、到着してみるとそこは、広大な庭もある、昔ばなしのお姫様が住むような大豪邸!!

 

↑えっ!こんな素敵なお庭がある豪邸!?

 

 

庭を散歩していると、人懐っこいフローラという女の子に出会い、彼女が家庭教師の生徒だと知ったギデンスは、この仕事を選んだ事に満足し、子供たちのためにできる限りの事をしてあげようと心に誓います😊

 

↑はじめまして先生!どうぞよろしく😄

 

 

フローラとギデンスはすぐに仲良くなり、寄宿舎制の学校で暮らしているフローラの兄のマイルスが、休みになって帰って来るのを待つ事にしますが、その直後に学校からマイルスを素行不良により退学にさせるという衝撃的な手紙を受け取るのです!

 

↑フローラと仲良くなった直後に衝撃の展開汗

 

 

という事は、フローラは天使のような子だけど、マイルスは悪魔のような子だったという事?

 

 

 

いいえ。

 

少し警戒しながら、退学になったマイルスを駅に迎えに行ったギデンスでしたが、会ってみるとマイルスは礼儀正しいかわいい少年!

 

↑あれ?マイルスもメッチャよいこじゃないラブラブ

 

 

ギデンスは、2人のために楽しい授業を行おうと努めますが、マイルスとフローラが二人一緒に生活するようになると、何故か2人は、ギデンスを脅かそうとしたり、彼女をのけ者にして秘密の話をするようになっていったのです!

 

↑次第に悪意ある行動をするようになる2人。

 私、何か悪い事した?あせるあせる

 

 

 

さて、何故フローラとマイルスは、素直で明るい子供たちではなくなってしまったのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑先生、僕たちの事はほっといてよ…

 

 

 

ネジをもう二回転…

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、上記の解説には、ストーリーに触れる重要な要素をあえて省略させて頂いており、私の解説だけだと、よくあるホラー映画のような単純な話になるよう解説にしてあります。

 

↑ギデンスが問題解決してハッピーエンド!

 

 

 

ですが、本作の原作が「ねじの回転」というタイトルである理由が、原作者のヘンリー・ジェイムズが「ただのホラー話をもう少しだけ怖くするために何が必要か?」という話をしていた時に「幽霊話に子供が登場すると、ただの幽霊話よりもグッと怖くならないか?」という提案を受け「だとしたら、登場する子供を二人にしたら、ねじ回しを使ってねじを二回転させたくらい怖くなるぞ!」という会話をしていて付けられたもの!!

 

 

ですので、本作におけるフローラとマイルスは、幽霊話の怖さを引き立たせるための触媒のようなものであり、彼等の背後にいるとてつもなく悪意に満ちた存在が明らかになった時、本作は凡百のホラーではなく、練りに練り込まれた観客を怖がらせるために作られた極上のホラーである事がご理解頂けると思います!

 


↑私たちが視認できるのは2人の子供とギデンス。

 でも、ドアの向こうには何かが…と考えると

 ちょっとゾクッとしませんか?

 

 


 そう。

 

料理をおいしくさせる秘訣は隠し味!!

 

 

 

本作は、普通のホラー映画のプロットに隠し味を忍ばせる事で、とても後味の悪いゾッとするホラーに仕上げているのです!

 

↑近年のねじの2回転的な作品としては

 「ヘレディタリー/継承」が白眉ですね😆

 

 

 

 

そんな本作をリスペクトした監督たちによる後年の「妖精たちの森」も「ダーク・プレイス」も、どちらも平凡な作品とならないよう、練り込んだ脚本で作られた作品!!

 

 

どの作品も、ストーリー展開が読めずに混乱するかもしれませんが、もし全ての作品をスッキリと理解したいと思われるのであれば、「妖精の森」で、「回転」に登場する幽霊の存在を理解した上で「回転」を楽しみ、その後に、現代風にアレンジされた「回転」である「ダーク・プレイス」を愉しんで頂ければ幸いです😊

↑尚、私は未見ですが「回転」は1992年にも

 リメイクされており、日本では劇場公開されず

 「ホワイト・ナイトメア」というビデオ名で

 発売されていたようです…

 

↑せっかくですので、この作品もDVD化して頂き

 4作を見比べられるようなると嬉しいですね😆

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

死んだら埋められた!

というテーマで

 

ユーズド・カー

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★
併せて観たい発掘良品!
「REPULSION 反撥」

 

本作は、後に「ローズマリーの赤ちゃん」や「テナント/恐怖を借りた男」と言った、映画を観ている観客が神経衰弱になってしまうような精神の危うさを描いた作品を得意とするロマン・ポランスキー監督の真骨頂とも呼べる、心の中狂気を描いたサイコサスペンス!

男性恐怖症のキャロルは、唯一の心のよりどころであった姉が、恋人と旅行に出かけた後、家に一人でいる恐怖に耐えかねて、自らの精神を破壊していきます…

 

只のサスペンスではなく、ねじを二回転させたようなホラー作品です!