こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑭というテーマで

 

小さな悪の華(1970)

(原題:MAIS NE NOUS DELIVREZ PAS DU MAL

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

 

良品とは言えないが…

 

本日の作品は、発掘良品という言葉に相応しい作品かと言えば、ちょっと躊躇してしまう問題作!

 

恐らくですが本作をご覧になった方は「この映画をTVで放映する事はほぼ不可能な問題作だ!」と思って頂けると確信しております😅

 

↑現在発売されている日本版DVDジャケットも

 かなり際どい絵柄になっていますあせるあせる

 

 

では、本作は観る価値のない"悪い作品"なのでしょうか?

 

 

いいえ。

 

本作はむしろ、私たちが観ておいて損のない現代の闇を描いたような作品となっているのです…

 

↑注意:本作は背徳的な内容となっておりますので

 ご覧になる際には、どうぞご留意ください!

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

ボードレールの『悪の華』に耽溺し、悪の魅惑にとりつかれた十五才の二人の修道院生の数々の悪魔的な所業を描く。

監督・脚本は新人ジョエル・セリア、撮影はマルセル・コンブ、音楽はドミニク・ネイが各々担当。出演は「先生」のカトリーヌ・ワグナー、ジャンヌ・グーピル、ベルナール・デランなど。

 

 

ん?

 

ものすごく重要な事が解説されていませんね汗汗汗

 

 

 

ですが、悪の魅惑にとりつかれた十五才の二人の修道院生の数々の悪魔的な所業という箇所は本作の内容をコンパクトに解説してくれています😊

 

 

 

本作の内容は、この解説の通り、アンヌとローヌという2人の女学生が悪行の限りを尽くす作品!!

 

 

2人は修道院が運営している寄宿学校で学んでいますが、彼女たちはキリスト教に帰依するどころか、モラルに反する事を生きがいにしているような邪悪な少女たち!

 

 

 

映画の冒頭、寄宿舎のベッドの中で2人が読んでいるのは煽情的な小説!

 

2人は学校の屋根裏部屋から本を盗み出していますので、窃盗も行っているという事になります!

 

↑卑猥な本を盗み出して夜中に読みふける二人!

 

 

 

…つまり彼女たちは、修道院的な環境が気にくわなく反抗しているという事??

 

 

いいえ。

 

彼女たちは裕福な家庭に育った良家の子女ですが、夏休みに家に戻ってからも度を越した悪行は止まらず、牧童を誘惑してからかったり、遊びで小鳥を虐殺したり、人の家の納屋に火を放ったり、挙句の果ては、真夜中に悪魔を崇拝した黒ミサを行うようになってゆくのです!!

 

↑何不自由ない暮らしを謳歌している少女たちでしたが

 

↑親がいない所では、牧童を誘惑したり…

 

↑檻の中の小鳥を虐殺したり…

 

↑他人の納屋に火を放ったりし始めたのです!!

 

 

 

 

さて、一体アンヌとローヌの2人は何が目的で、邪悪な事を繰り返していたのでしょう?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑悪逆の限りを尽くしたアンヌとローヌの夏休みは

 どのような結末を迎えたのでしょうか?

 

 

 

魂を取り戻した後で…

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、もし観客がアンヌとローヌの行動だけを見ていると、彼女たちのあまりの邪悪さに胸がムカムカして来るのではないかと思います。

 

 

ですが周囲を見渡してみると、今の私たちの周りにも、このような無軌道な行動をして破滅の道を進む女の子は存在するのではないでしょうか?

 

 

万引きや置き引きを繰り返す女の子…

 

クラスメイトに酷い虐めを行い続ける女の子…

 

麻薬などに溺れてゆく女の子…

 

 

 

そう。

 

この世の中には常に一定数、闇の世界に自らの足で踏み入れてゆく女の子が存在するのです!

 

↑大人を性的に誘惑する女の子も存在しますよね…

 

 

キネマ旬報社さんの解説にある「ボードレールの『悪の華』」とは、フランスの詩人であるシャルル・ボードレールが生前に出版した唯一の詩集の名称!

 

 

この詩集は、愛や恋や人生の素晴らしさ等の詩でなく、死や堕落や人生の無常さなどが詠まれた詩であり、近代の文学に大きな影響を与えていったもの!!

 

本作もそんな「悪の華」と同様、表面上では背徳的で残酷で堕落した2人の少女を描きながらも、映画の端々に、彼女たちが「小さな悪の華」となっていった遠因を示してくれています。

 

 

 

[遠因を描いてる部分の例]

 

車が故障して立ち往生していた男を自宅に呼び込んだアンヌは、男に「子供はいるか?」と聞いた後「家族は仲良しなのか?」と質問します。

 

男が「家族は普通、仲良しだろ?」と聞き返しますが、アンヌはさらっと「そうでない家族もいる」と返答します。

 

アンヌが男を家に呼び込めたのは、夏休みに父母が2カ月間休暇をとって、アンヌを放って遊びに行ってしまっていたから!!

 

つまりアンヌの心が荒れた遠因の一つは、親の無関心があったのです…

 

↑アンヌに無関心な父母の残酷な仕打ちによって

 アンヌは残酷さを身に着けたのです。

 

 

本作は、反キリスト教的で淫靡な内容からフランス本国を初めとする各国で上映禁止となった作品。

 

ですが、本作には原作となった2人の少女が起こした事件が存在していますし、本作が封印された後にも「クリスチーナF」、「17歳の処方箋」、「ブリングリング」、「スプリング・ブレイカーズ」、「渇き。」、「ネオンデーモン」などといった何不自由なく暮らしている女の子が破滅に向かって走り出す映画は作られ続けていく事となるのです…

 

↑中島哲也監督の「渇き。」のキャッコピーは

 「愛する娘はバケモノでした。」というもの。

 

 アンヌやローヌや加奈子のような女の子は

 世界のどこかで、今日も悪事を重ねていくのです…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

童話の世界に迷い込み…

というテーマで

 

闇のバイブル 聖少女の詩

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★
併せて観たい発掘良品!
「マドモアゼル」

 

都会から来たマドモアゼルの呼ばれる女教師は、夜中に他人の納屋に放火したり、村の水門を開けて洪水を引き起こしたりします。

村人に慕われていたマドモアゼルは、何故、邪悪な事を続けていたのでしょう?
 

本作も、悪の華を描いた映画の一種だと思います…