THEATRE GRENAT ~てあとる・ぐれな~ -6ページ目

海賊ハイジャック黒の章「黒髪と魚の足とプレシオサウルス」観劇。(2012.2.11)

海賊ハイジャック黒の章「黒髪と魚の足とプレシオサウルス」観てきました@サンモールスタジオ。

同時上演の青の章「dogma」同様、こちらも再演だったのですが、うーん。。前回よりパワーダウンしてしまったかな、、

というのも、川添美和さん演じるヒロインのお兄さん役が、ひょいのさんから主宰の宇野正玖さんにチェンジして。宇野さんもかなりのイケメンなのですが、ひょいのさんの持つ飄々とした独特の空気とセクシーさはかなり捨て難く。

しかしワイルドセクシーな宇野さんの兄は、妹への思いが妙にエロティックで。そういった表現はないものの、「兄と妹と恋人」の精神的な三角関係を浮かび上がらせ、なんとも言えない背徳感を醸し出していました。これはこれで好きです。

逆に、ジョン・ウェインは今ひとつ存在感意義が分からなかったです。気がつくと服を着替えてたりするのですが、もしかしたら女性向けのサービスシーンだったのかな?何かもう少し醸し出すものがあれば、メンズの生着替えに「おおっ」となってたのかななんて思ったり。

そして、スルーしてはいけないのが、おまけにしてはボリュームのある演目「ほんの遊び心」。これはタカダ刑事を主人公に、全くわけの分からない芝居。なんというか、海賊ハイジャックリピーター向け。初心者には無理、絶対無理(笑) 面白かったですw タカダ刑事は是非シリーズ化してほしい(笑)

それにしても、海賊ハイジャック。私にとって完全に見逃してはいけない劇団になりました。6月は日本劇作家協会優秀新人賞を取った作品の再演でこれまた楽しみ。宇野さんの脚本の耽美感はとてつもなく素敵なのです。 (追記:6月の公演は無くなったそうです。。)


(観た日:2012.2.11)

カムヰヤッセン「バックギャモン・プレイヤード」観劇!(2012.2.10)

カムヰヤッセン「バックギャモン・プレイヤード」観てきました@吉祥寺シアター。

初のカムヰヤッセン観劇です。どのような作風なのかなと楽しみにしていたのですが。心臓の温度が変わるような、不思議な感覚に包まれたのが印象的でした。

その感覚とは。郷愁感漂う民話のような始まりに、心臓は次第に温かくなり。そこから徐々に、未来への恐怖に冷たい感触が頭をもたげ。いつしかその冷たさが温かさを上回り、じりじりと焼けるような痛みに覆われ、慟哭の中に差すやわらかな希望にまた温かさが蘇る。

当日パンフは読んでいませんでしたが(前情報は入れずに観たいので、いつも帰宅してから読むのです)、浮かび上がる物語からは明らかに今の日本を髣髴とさせられ、愛すべき古き良き日本が崩れ去る様に恐怖を覚えました。

これは日本人のための寓話。テキストに沢山の言葉が散りばめられた、愛しい日本の物語。素晴らしく美しい舞台でした。

役者さんも全員素敵でした。舞台の上で、物語の中で正に「生きて」いて。細やかな息づかい、素朴な笑顔。それぞれの心の変遷に、誰一人として目が離せませんでした。静かに崩れるバランス感やその再生、どれもが涙を禁じえません。客席の灯りがついても鳴り止まない拍手に二度泣き。素敵な時間でした、本当に観て良かったです。

なお、劇中に出てきた「物知りさん」は、アメリカを擬人化したものだと感じました。便利だからと刹那の快楽を享受した末は原発事故に繋がると容易に想像できたので、常に恐怖を抱えながら観て。ステレオタイプの登場人物ばかりであるせいか、先の台詞や行動が結構読めてしまうのですが、その分かりやすさを感じるごとに「分かってるなら行動に移せ」と戒められているような気がして、自分の無関心・無責任さに罪の意識を感じながら観ずにいられない。分かりやすいのに、深いところを抉ってくる。心が痛かったです。

また、安藤理樹さんの演技を楽しみにしていたのですが、コメディのお芝居が多い安藤さんの、確りとした役者力がこれでもかというほど感じられて大満足です。泣かされました。


(観た日:2012.2.10)

海賊ハイジャック青の章「dogma」観劇!(2012.2.6)

海賊ハイジャック青の章「dogma」観てきました@サンモールスタジオ。

昨年末に上演された演目の再演ですが、もうね。海賊ハイジャック最高傑作かと。

再演で尺を伸ばした分、各登場人物が深く描かれていて、そのうえ役者さんの演技力がとても伸びていて。戯曲に息づく登場人物の生が鮮やかに浮かび上がる見事な再演。

川添美和(みわちゅう)さんの生命力溢れる演技もさることながら、役者さん一人残らずその過去、思想、そして未来までをも想像させる作り込みの深さ。素晴らしいクオリティでした。


お話は、時代不詳。袴姿に日本刀を携える教師達。エレキギターをかき鳴らす生徒。校長はスーツ。顔の下半分に包帯を巻き、左足を引きずる。

校長の記した経典には厳しい戒律が記され、その教えを12年間教え込まれた後の卒業試験で満点を取らなかった者は全員処刑される。そして満点を取った生徒にも名誉の死を与える。教師達は道徳の時間に、名誉の死の喜びを教える。

しかし、教師の中で五代だけは違った。道徳の時間に音楽や絵画や、生きる喜びを生徒達に教えた。彼女の生徒達は、卒業式の日に、死への恐怖を叫ぶ・・・。



相変わらず目の前の光景は果てしなく美しく、そして残酷。次々と上がる断末魔の叫びに始終息苦しく、腐臭さえするのに、観ているうちに這いつくばってでも生きようと思えます。海賊ハイジャックの美学、ここに極まれり。その生命力を前に「生きよう」と思わない人はいないはず。

生きよう、と思いました。どんなに無様でも、生きる喜びを享受しようと。どのように生きるか。死の際はどう死に向かうか。そんなことを考えさせられる秀作。

で、登場人物達がその後どう生きるかが気になになりました。特に、恋人を一人で死に至らしめた伊賀。名誉の死を遂げた赤松を羨ましいと言っていたけれど、きっとそれは死の恐怖から逃れるための自己防衛。ずるくて弱い、伊賀。その伊賀がどうやってその罪の意識を背負って生きるのか。伊賀を演じたのは平良和義さん。良かったです。初演よりグッと上手くなってました。

それにしても、みわちゅうさんは本当に素晴らしい。あの小さな体躯のどこなあんなに生命力を秘めているのか。サンモールスタジオ最優秀女優賞は当然の受賞かと。


(観た日:2012.2.6)