カムヰヤッセン「バックギャモン・プレイヤード」観劇!(2012.2.10) | THEATRE GRENAT ~てあとる・ぐれな~

カムヰヤッセン「バックギャモン・プレイヤード」観劇!(2012.2.10)

カムヰヤッセン「バックギャモン・プレイヤード」観てきました@吉祥寺シアター。

初のカムヰヤッセン観劇です。どのような作風なのかなと楽しみにしていたのですが。心臓の温度が変わるような、不思議な感覚に包まれたのが印象的でした。

その感覚とは。郷愁感漂う民話のような始まりに、心臓は次第に温かくなり。そこから徐々に、未来への恐怖に冷たい感触が頭をもたげ。いつしかその冷たさが温かさを上回り、じりじりと焼けるような痛みに覆われ、慟哭の中に差すやわらかな希望にまた温かさが蘇る。

当日パンフは読んでいませんでしたが(前情報は入れずに観たいので、いつも帰宅してから読むのです)、浮かび上がる物語からは明らかに今の日本を髣髴とさせられ、愛すべき古き良き日本が崩れ去る様に恐怖を覚えました。

これは日本人のための寓話。テキストに沢山の言葉が散りばめられた、愛しい日本の物語。素晴らしく美しい舞台でした。

役者さんも全員素敵でした。舞台の上で、物語の中で正に「生きて」いて。細やかな息づかい、素朴な笑顔。それぞれの心の変遷に、誰一人として目が離せませんでした。静かに崩れるバランス感やその再生、どれもが涙を禁じえません。客席の灯りがついても鳴り止まない拍手に二度泣き。素敵な時間でした、本当に観て良かったです。

なお、劇中に出てきた「物知りさん」は、アメリカを擬人化したものだと感じました。便利だからと刹那の快楽を享受した末は原発事故に繋がると容易に想像できたので、常に恐怖を抱えながら観て。ステレオタイプの登場人物ばかりであるせいか、先の台詞や行動が結構読めてしまうのですが、その分かりやすさを感じるごとに「分かってるなら行動に移せ」と戒められているような気がして、自分の無関心・無責任さに罪の意識を感じながら観ずにいられない。分かりやすいのに、深いところを抉ってくる。心が痛かったです。

また、安藤理樹さんの演技を楽しみにしていたのですが、コメディのお芝居が多い安藤さんの、確りとした役者力がこれでもかというほど感じられて大満足です。泣かされました。


(観た日:2012.2.10)