キューバンオレガノ
今年の春、キューバンオレガノというのを買った。
オレガノと言っても、とても肉厚で、多肉植物っぽい。
香りは、オレガノに、爽やかなフルーティーな香りを足した感じ。
園芸店の方が教えてくれた。
この肉厚な葉が、もっと大きく育つと、
吸盤のような吸着力が出る。
だから、キューバンオレガノという、と。
めずらしもの好きのとしては、これは育てなければと
即、購入。
葉の裏を見ると、葉脈が、ボコッと膨らんでいる。
この、ボコッとしたところが、
吸着力を生むのではないのかと推測した。
そして、特別な思い入れを持って、育てた。
太陽に当て、水を注ぎ、時には肥料を施した。
思いにこたえるように、キューバンオレガノは
大きくなっていった。
しかし、いっこうに、期待している吸着力が生まれてこない。
なぜだ?
なぜ驚きの吸着力がわいてこないのだ?
無理やり、壁に葉を密着させても、悲しく葉がつぶれるばかり。
私の育て方に間違いがあたのだろうか。
しかし、それでも、まだ私は期待している。
キューバンオレガノというその名に恥じぬ
吸着力が生まれる日を。
イチョウ
画面を一部変えました。(夏バージョン)
私の住む家の近くに、寺がある。
チベットの寺とはいえ、曼陀羅製作などはしていないらしく、
普通のお寺だ。
(所詮、ここは、神奈川のチベット)
この寺に、樹齢400年のイチョウの巨木がある。
このイチョウは、幹にしめ縄を巻き、もはやご神木と崇められている。
このイチョウは、雌木なので、秋になると、大量のギンナンを
地面に落とす。
そのありがたいご神木からの恵みを我々人間は拾う。
お寺の方では、我々が銀杏を拾うことを、快く許してくれている。
ただ、ルールがある。
そのルールは、こう看板に書かれている。
ありがたいご神木のありがたいギンナンではあるのだが、
あの皮の匂いだけは、どうも、ありがたくない。
昨日、犬の散歩中、かわいいのを見つけた。
イチョウの若木だ。
これは、ありがたいイチョウかが実をつけた、ありがたいギンナンから
発芽した、ありがたいイチョウの子供。
このありがたいイチョウの苗が、晴れ晴れとしめ縄を巻かれる
までには、あと400年かかる。
400年・・・・。
400年前って、もしかして徳川家康とかが生きていたのか?
植物ってすごいなぁ~と、感心する、植物バカだった。
チベット、夏をむかえる
ここ、神奈川のチベットにも、夏がきた!
昨日は、室内温度が、最高29度まで上がった。
29度!とえばってみても、夕方には涼しくなり、
夜は、結局、布団をかけて寝ている。
これが、弱寒冷地チベットの底力なのか?
我々は、人並みに熱帯夜も体験できないのか?
そして、夕方に聞こえる、カナカナという虫の声に、
秋の気配を感じ、その後ろに控える冬将軍の陰に怯える。
こんなチベットでは、エアコン保有率が低い。
うちも、エアコンは保有していない。
なので、でんこが、「エアコンの設定温度は28度だよ」と、
陽気にチベットを訪問してくれることはない。
でんこも見放した土地、チベット・・・・。
考えたら、「でんこ」というのは、東京電力のキャラクター。
(電気を大切に!と言って歩くお姉ちゃん)
関東地区以外では、「でんこ」はいないのだろうか。
伝説の男 パート2
伝説の男、私の父。
彼の伝説は枚挙にいとまがない。
以前、父は、ベランダで山椒を育てていた。
これから迎える夏に向けて、この山椒は
大活躍するであろう。
玉子豆腐や、うなぎの上に、この山椒がのせられ、
食卓に彩りを添えるであろう。
この山椒は、家族の小さな幸せの象徴であった。
しかし、そんな幸せの象徴に、異変が起きた!
青虫に、葉が食われているのだ。
チョウの青虫と思われるそれは、
幸せを食いながら、大きくなっている。
そんな青虫には、即刻、退場願わねばならない。
誰もがそう思った。
しかし、伝説の男は言った。
「いや、この青虫が成長し、蝶になるのを見たい。
だから、この青虫は、このままここに住まわせる」
口調は、田舎者の江戸っ子風だが、要約すると
このようなことを言った。
あきれ返る我々を尻目に、そそくさと、店(伝説の男は
自転車店を営んでいる)の前に、山椒の鉢を置いた。
そして、成長する青虫を観察するかたわら、自転車の
修理をするという日々を彼は続けていた。
我々家族は、いつしか、山椒のことも青虫のことも、すっかり忘れた。
伝説の男だけが、青虫と山椒を見続けた。
山椒はすっかり丸坊主になり、青虫の成長のために、
草が生える隣の空き地に、山椒の鉢はおかれた。
そこで、青虫がどう成長したのかは、我々は知らない。
あきれ返っている我々の気配を察知していた、伝説の男は、
その後の、青虫の成長報告をしなかった。
ただ、ある日「あれは、アゲハだった」ということを、
ポロリともらしただけだった。
その後、私は、独立し、神奈川のチベットに庭をもつことになった。
そして、ブットレアという、蝶を呼ぶという花木をまっさきに植えた。
伝説の男のDNAが、私に、そうさせているのかもしれない。
伝説の男
今日のサッカーで、東京ベルディは、伝説をつくった。
伝説といえば、私の父も、かなりの伝説をつくっている。
以前、ベランダで、彼は、ミニトマトを作っていた。
小さな緑色のミニトマトがたわわになり、
さぁ、赤くなるのを待つだけという時。
彼は、ミニトマトの葉を全てむしってしまった。
葉のない、茎だけのミニトマトに、緑色の丸い実が
ぶら下がっている姿は、かなり異様だった。
なぜこんなことを?
と聞いてみると、
ミニトマトに、太陽光線をたくさんあてるために、
邪魔と思われる葉を全て取り去った。
という内容のことを、彼独特の田舎者の江戸っ子
のような話し方で、説明する。
違う!
植物は、光合成が・・・!
などと言いたかったが、なんとなくやめてしまった。
このまま、彼には、伝説をつくってもらおうと思ったのだ。
そして、私の思惑通り、父は、伝説をつくり続けている。
小麦色のマーメイド
昨日、ホームセンターに花が入荷した。
うちのホームセンターでは、週に3回入荷するのだが、
夏になると、花の入荷量がグッと減る。
ニチニチソウ、インパチェンス、ベコニアセンパ・・・・。
「また、いつものか」と、すこしガッカリしながら、値つけを
していた。
さぁ、次のはと大きなカーゴをのぞくと、ルドベキアだった。
「あ~、ルドベキアね・・・・」
と、黒いラックを持ち上げる。
すると、黄色いルドベキアの中に、ひとつだけ、
キラッと輝く、かわいい子を発見した!
この写真だと、赤っぽいが、実際は、茶色いルドベキアなのだ。
私の耳に歌声が届く。
「私、裸足のマーメイド、小麦色なの~♪」
そう歌って、上目づかいの、決めポーズで私を見上げるルドベキア。
そうか、そうか、君は、小麦色なんだね、マーメイドちゃんなんだね。
私はすっかり、マーメイドちゃんに夢中。
お客さんに見つからないうちに、すかさず、レジの脇に隠す。
そして、小麦色のマーメイドちゃん以外の、黄色いルドベキア達は、
値をつけ、陳列棚に並べた。
そして、仕事終わりに、
「これだけ、茶色だったんですよ~。かわいいですよね~。」と
見当違いな自慢をし、社員価格で購入し、職場を後にした。
江戸っ子の後釜は西洋さん
江戸っ子アジサイに退散いただいて、
まだ、彼の体温が残る土。
そこにすかさず、牛糞を混ぜ込み、
西洋ニンジンボクを植え込んだ。
西洋ニンジンボクは、図鑑で見てから、ずっと欲しかった。
放任しておけば樹高2mくらいになるらしい。
しかも、ブットレアのように、大暴れする成長ではなく、
こんもりとした形になりそうな気がする。
しかし、当時、近所の園芸店では、この木は売っていなかった。
やっと見つけても、ひょろっとした、あまり良い株ではなく、
購入まで踏み切れなかったのだ。
そして、今年、出会ってしまった。
理想的な西洋ニンジンボクに。
迷うことなく、購入。
西洋さんにチベットに入国していただく。
そして、江戸っ子アジサイの場所に、
西洋さんが鎮座。
軽い山の中に植えられた江戸っ子の前を通るたびに
「おめぇさん、西洋さんなんてゲイコクジン(外国人)を
入れるために、あっしはこんな山の中ですかい?」
という声が聞こえる。(気がする)
江戸っ子アジサイ
名は体をあらわす。
アジサイ「墨田の花火」は、まさにこれであろう。
こんなにきれいに咲いていた墨田の花火。
今では、この姿。
他のアジサイたちは、まだまだ、発展途上系で咲いていると
いうのに、この墨田の花火だけ、このありさまだ。
チベット在住の友人達に聞いてみると、
やはり、墨田の花火はこんな調子らしい。
花火というのは、パッと開いて、パッと散るのが身上。
このアジサイが、墨田の花火という名を持つ以上、
これでいいのであろう。
こういう咲き方をするから、墨田の花火という名をつけて
もらったのだろう。
しかも、墨田と、産地指定までしてある。
彼は、江戸っ子なのだ。
粋を極める、江戸っ子の彼にとって、いつまでも、
未練たらしく、花をつけているなんてのは、野暮というものであろう。
私のような田舎者のチベット民が、それに文句を言うのは
筋違いである。
しかし、田舎には田舎のやり方というのがあるのだ。
彼には、私の庭から撤退していただいた。
そして、道路わきの軽い山の中が彼の終の棲家となった。
江戸っ子、都落ち。












