「町歩き」をツアーにするための考え方とは | がいちのぶろぐ

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日曜日に参加した「京都・島原・旧遊郭の町歩き」から、様々なことが見えてきたと思う。

 

 

(遊郭時代の入口に当たる「島原大門」)

 

この「町歩き」を、ガイド付きで行うツアーとして定着させることができるかどうか。それには、何よりも「誰を対象とするか」という視点から考えて行く必要があるだろう。

 

まずは「マイクロツーリズム」として、京都市やその近くの市などに住む人々、つまり来ようと思えば、思い立ってすぐにでも来られる人たちを対象とするケースがある。

 

自分の住む(近くの)町で、こんなにも別の世界があったのか、という新たな発見をしてもらえる〝舞台〟として、かつて遊郭だった場所を知る町歩きが行えるのではないか。

 

(島原で“美術館”となっている「角屋」(現在は休館中))

 

この場合には中高年の女性だけでなく、男性も含めて、自分たちの近くにあっても知らなかった町を発見してもらうことが目的となる。

 

だから島原の歴史と、見るべきポイントをまとめた資料を事前に準備して、理解を深めてもらう道具とする。これを準備することで、案内する側もあらためて勉強になる。

 

この場合は、京都の他の観光スポットと何が異なるかを意識して、そこに焦点を絞る必要がある。つまり、現時点で見るべき何かが特に存在する観光スポットではないのだから。

 

 

(「角屋」にはこんな場所も残されている)

 

歴史の学習として、その場所で想像を働かせてもらえるような解説と、それに見合った資料が必要になる。そのかわり、行き先は島原遊郭とその周辺に限定して、時間的にも2時間程度にする必要がある。

 

次に大阪や神戸など、ある程度の距離からやって来るお客を想定する場合。この場合はマイクロツーリズムとは少し異なる、「日帰り観光」という感覚になる。

 

これまでは京都の桜や紅葉の名所見物や、寺社仏閣巡りという感覚で京都を訪れていた人たちに、人間の営みが息づいている町としての京都を実感してもらう。

 

そうなれば、桜・紅葉を鑑賞する場合のような、中高年の女性が主な対象という枠組みから、中高年の男性も対象とできるようにコース設計を考えるべきだろう。

 

つまり旧・遊郭だった島原を知るということ自体が、中高年女性の京都観光とはひと味違うものだという意識を参加者に持ってもらえるコースを準備することが重要になる。

 

 

(現在もお茶屋として営業をしている「輪違屋」)

 

その上に〝日帰り観光〟として実施するのだから、昼食をはさんで4~5時間ぐらいのコースを準備することを視野に入れる必要があるだろう。

 

先日行った「町歩き体験」でも、10時から3時近くまで5時間かけて、旧・島原遊郭だけでなく周辺地域も歩き回ったから、このコース設計は十分検討に値する。

 

こうすることで、参加者に〝一日楽しめた〟という想いを持ってもらえる。ありがたいことに、近くに西本願寺もあれば、島原の範囲内に食事処や大正ロマン漂うカフェもある。

 

 

(きんせ旅館1階にあるレトロなカフェ)

 

だから、これこそ「半径3kmの旅」を日帰りツアーとして実施することが考えられる。もちろん、こうすることで島原の範囲内にあるお食事処やカフェとの連携も深められる。

 

現状ではまだ難しい面もあるが、さらに遠方から宿泊込みで京都を訪れる国内観光客が戻れば、「日帰り観光」向けのコース設計では、逆に時間的に長くなり過ぎる恐れもある。

 

せっかく来たのだから他の観光スポットにも行きたい、という希望の人も少なくないから、むしろ2時間程度の町歩きを、解説や資料の内容を変えて行う方が良いようにも思う。

 

外国人観光客を対象とする時が来れば、通訳ガイドの資格の問題も出て来るので、少し考え方を変える必要があるだろう。それでも、異国情緒のある2時間程度の町歩きは設計できると思う。

 

 

 

つまり「誰をお客とするか」によって、2時間コースと1日コースを設計しておいて、資料と解説を変えることによって、おそらくフレキシブルな対応が可能になると思う。

 

これからこうしたツアーを考える際には、〝町おこし〟という側面も踏まえて考えることが重要だと思う。そのためには、正直に言ってその場所である程度のお金を使ってもらうことが必要だ。

 

そのためにも、地域と案内する側が連携できる可能性を考えて行くことが、このツアーのポイントになってくると思う。