読んだり観たり聴いたりしたもの -38ページ目

WiiU/ザ・スワッパー/任天堂

ゼノブレイドクロスが一段落したので、新規メインゲーム枠で開始。4月に、リトルインフェルノといっしょにバーゲン購入していたもの。

2Dサイドビューのジャンプ&スワップアクションパズル。遠い惑星探査の過程で、未知の岩石生命体の脅威にさらされた宇宙ステーションに取り残された、記憶を失った人物が主人公。鍵の役割をするオーブを集めながら、移動可能範囲を広げ、情報を収集して謎に迫る、という筋書き。

特徴的なのがパズルのメイン部分。
主人公の可能アクションは、左右移動、ジャンプ、ブロックをつかんで左右に移動させる、床スイッチを押す、などの至ってノーマルな操作と、そして、キモとなるスワッパーデバイスの操作である。
身長の半分ぐらいの高さしかジャンプできず、高所から落下すれば即死の、凡庸な能力の主人公がこのパズルに挑む武器こそ、タイトルにもなっているこのスワッパーデバイスなのだ。平たく言うと、懐中電灯のような投影器で、射影した任意の場所に、自分のコピーを作る装置である。Rスティックで角度と距離を調節し、ZLボタンを押せば、パシャッと即座にコピーが生み出される。例えば、ジャンプでは届かない高所の床スイッチも、デバイスでスイッチの上にコピーを作成すれば、誕生したコピーがスイッチを踏んでくれるわけである。
コピーはオリジナルと全く同じ動きをする。オリジナルが右に移動すれば、全く同じ距離だけ右に移動するし、ジャンプすれば同様にジャンプする。つまり、同じ動きをする複数のキャラを同時に操作するのだが、壁や落とし穴など位置によって受ける制限の違いを利用し、同じ操作なのに異なる動きをさせて目的を達成する、いわばバイナリィランド系のパズルである。なお、コピーはスワッパーデバイスを持っていないので、コピーがコピーを作ることは無い。コピーは同時に4体まで作成可能だ。
そしてスワッパーデバイスのもう一つの機能が、スワップ、すなわち、オリジナルとコピーを切り替える機能である。
コピー機能もスワップ機能も、光線の射影として行うので、遮蔽物があると機能しない。また、何故か他の光線の影響を受け、青い光の中にはコピーを作成できず、赤い光は、スワップ光線を遮蔽してしまう。両者が混じったピンク色の光は両方の性質を持つ。

だいたい、これぐらいの要素で組まれたパズル面が、宇宙ステーションの各所に配置してある。パズル小部屋に入り深部にあるオーブにオリジナルが到達すればオーブゲットでクリア、というパターン。

パズル自体は、割合シンプルなこともあり、難易度は普通程度か。
面白いのは、コピーアクションの操作で、これは上記にあるようにZLで行うのだが、ZL押しつつRスティックで場所決めをして、ZLを離すと決定、という操作になる。このとき、ZLを押し続けていると、超高速度撮影のようなスローモーションになるのだ。なので、例えば、落ちたら死ぬような高所から飛び降り、地面に激突する寸前にZL押してコピーを地面のすぐ上に作成し、即座にスワップすると、切り替わった元オリジナルは死ぬが、元コピーはオリジナルとなって無事着地、という操作になる。
今のところ落下による死亡以外には、敵や即死ギミックは無いので、高度なアクション操作は要求されないパズルゲームのようであるが、一部、このスローモーションを使った、落下しつつ切り替えるアクションが最初ちょっとだけ戸惑うかもしれない。

やや暗めのクレイアートのような画面は雰囲気があって実に良い。
サクサク解けるのが結構面白くてゴリゴリ進めたので、既にもう終盤かも知れない。
クリアしたらまた感想を書こう。

任天堂
ザ・スワッパー

先週読んだ漫画 15/06/07-06/13

●こいつら100%伝説絶 3巻/岡田あーみん

読了。やはり「心配性」に比べると、作品への作者の密着度が薄い印象。担当主導の企画と聞いて納得。しかし、それだからこそ出てきたテイストも確かにあり。極丸の視点がもっとも作者視点だったのかな。しかし、危脳丸が時々行う、涙をにじませながらの無茶こそ、作者の、この作品を描くという行為自体の投影では無いかとも感じた。人の異常さ、にこだわったハイテンションギャグの大作であろう。今作でも、ここまで非道なギャグ展開を目の当たりにしつつも決して動ぜず(アブノーマルにつられない)、あまつさえ、ラストでは極丸に想いを寄せるかのような態度さえ見せる白鳥姫子が、最も異常であるのだろう。


●宇宙兄弟 18巻/小山宙哉

ヒビトが宇宙飛行士に戻るために手助けしたい、という仲間の思いを描く前半。後半はムッタの月面バックアップクルーとしての訓練スタート。特に変わり者ばかりを集めたまとまりの無いチームで、先行き不安大。とりあえずはゆっくりと一人ずつチームメイトの紹介話がしばらく続きそう。弱りつつあるものの、シャロンおばちゃんの夢に新たな進展があり希望の光が。


●パタリロ! 53巻/魔夜峰央

今巻、ゲスい人物が多い印象。あとは、もともと同性愛表現も多くBLの走り的マンガだと思うが、性描写とか春画とか、特に力を入れている雰囲気も。ミーちゃんの心境に何かがあったのだろうか。巻頭の「果てなき旅路」は珍しく硬派なSFで感動。


●ちはやふる 24巻/末次由紀

いよいよ名人戦・クイーン戦。原田先生のこの一戦にて命も尽きよとばかりの気迫に圧倒される。ちはやと詩暢ちゃんの友情にほっこり。切れかけた気持ちを持ち直して全力でがっぷり四つのクイーン戦と、なにやら事情がありそうで不穏な動きを見せる周防名人が気になる名人戦。非常に続きが気になるところだ。


●ナルト 61巻/岸本斉史

今巻は穢土転生で蘇ったイタチと偶然出会ったサスケが、「その後」の想いを確かめ合いつつ、協力してカブトと戦うシーンがほとんどで、合間に、五影と
マダラの戦闘シーンがチラチラ入る構成。うちはの禁術は策士カブトの奸計を打ち破れるのか。ただ、カブトにはカブトなりの歩んできた道があり、紡いできた想いがある。カブトの回想が入って敗北フラグか。ナルトは出番無し。


電子ゲーム70’s & 80’sコレクション/厚木十三

タイトル通りのカタログ本。
1200円という定価を考えれば驚異的な収録数。
カラーページもままあるし、筐体デザインなどに興味があれば楽しめるだろう。

が、個人的には、TVゲームには興味があってもLSIゲームは今ひとつなので、3/4を占める「電子ゲーム」のページは若干もてあました。
また、無理な注文かも知れないが、ぜひ「画面写真」があったらなあ、という気がした。特にFLゲームは美しいと思うので。あと、70'sとか書いてある割に、発売年などの情報が皆無なので、その点は残念だ。
幼少の頃、教育方針から、この手のゲームおもちゃは買ってもらえなかったので、所有していたものは皆無だが、友達の家で見かけたり遊んだりしたモノがゴロゴロと出てくるのは懐かしくて面白かった。


厚木十三
電子ゲーム70’s & 80’sコレクション

先週読んだ漫画 15/05/31-06/06

今週は2冊だけ。

●ケロロ軍曹 21-22巻/吉崎観音

積み漫画消化。久々読んだがのんびり侵略マンガはほっこり出来る。前巻が長編だっただけに意図して余計日常的というか。パロディネタも久々にキチンと見たような。見開きのキャプ翼とか萩尾望都とかパロディっぽいけど元ネタ知らないな~とか盛りだくさん。不思議の国のアリスとかお月見、ハロウィン、ドラキュラ伝説と、精力的にネタ取り込みしている印象。その分お話の構図的には安定志向で、ストーリー展開は(桃華ラブ含め)無理かなという気配もあったが、22巻末で新キャラ投入?次巻以降の扱いに注目。

3DS/ステラグロウ 体験版/セガ

体験版をプレイ。本来体験版でエントリは書かないのだが特別。

神罰により人々から「歌」が失われた時代。歌を歌えるのは魔女のみであった。記憶を失って辺境を彷徨っていた主人公の少年アルト。鄙びたミトラ村のリゼット母子は、彼を家族として迎え入れ、安寧を与える。村一番の狩人と周囲にも認められ、リゼットと仲睦まじく暮らす日々。しかし幸福は長く続かない。突然、滅びの魔女ヒルダが呪歌により村を襲ったのだ。アルトは破壊された村を目の 当たりにし、自らに眠る魔女を生み出す才「調律」に目覚め、リゼットは魔女となってヒルダと手下を追い払う。そこへ駆けつけた王立騎士団の面々に庇護される二人だったが、それは拘束でもあった。どうも彼らはこの異変の予兆を掴んでいたらしいが…。大きく変わってしまったアルトとリゼット二人の運命や如何 に。破壊された村を、結晶化してしまった村の皆を救う方法は見つかるのか…。という所までが序章。

プレイしてすぐに、あ、これはアークライズファンタジアによく似ているな、と感じた。
それもそのはず、アークラが流れを汲む、ルミナスアークシリーズのスタッフが手がけるイメージエポック作品だった。
王都、歌、魔女、結晶化等のキーワード、そして何より光田の音楽。特に素晴らしい呪歌のテイストなど、アデール降臨かと思った程。
システムはキャラ優先ターン制のSRPG。丁寧に作られている印象。
ただ、FEみたいに、敵移動範囲の表示ロックが欲しかったな。また、マップ向き固定なので建造物の陰など、キャラが隠れて見づらい箇所も散見。キャラ向きが重要なゲームなので、もうすこし表示を工夫できたと思う。また、バトルアクションとして魔女の歌がキーポイントとなりそうなので、そこは体験版で手触りを確認したかったかな。

ストーリーはまだ詳細は分からないが、歌と魔女の設定はありがちではあるものの興味を惹く。ゲーム自体は、オーソドックスとはいえキチンと作られた感のあるシステムが好印象。なによりアートワークが素晴らしい雰囲気で痺れる。特にキャラデザインにおける彩色が抜群のセンスである。声優陣も豪華で、とくに悪役の魔女ヒルダの田村ゆかりなど抑えた含みで重心を作っている印象。総じてプレイ欲求を盛り上げる要素が豊富だろう。
肝心要のSRPGのキモであるバランスは、やや簡単目かな~という印象だったがまあ序章だけでは何とも言えない。

ところで、イメエポといえばJRPGを掲げて自社パブになったはずでは?なぜにセガ発売?と思って近況調べ方々ネットをのぞいてみると、衝撃の事実が。
つい先月、この5月にイメージエポック倒産!。今年早々から傍目にも不穏な状況が続いていたらしい。よくぞセガは引き継いで発売にこぎ着けてくれたものである。
どうりでファミ通での水谷さんのインタビューも、紆余曲折を経て…とか、周りの皆様の力添えで…みたいなトーンな訳である。
10周年記念作品が最後の作品という事で、手触りの良い丁寧な良作でもあるし、アークラは面白かったし、買ってあげたいなあと思いつつ、予算には限りがあるので難しいところ。HD化しなくても良いからWiiUで出してくれたらすぐ買うのにな。

と言うわけで、せめてエントリに書いてみた。

セガ
ステラグロウ

3DS/ピンチ50連発!!/モバイル&ゲームスタジオ

基本的に、プレイ開始したゲームは即書いておく事にした。
すぐ書いておけば開始の記録になるし、今までのように後でクリア後にまとめて、とか考えると時間も無くなり億劫になって、どんどん積みゲーならぬ積みエントリが増えてしまうからだ。実際、今も書きかけ放置のエントリが十指に余る。
開始時に書いて、クリア後にまた書けば良い。飽きてプレイしなくなったり、書くのが面倒になったら、それはそれ、と言う事で。

プレイ自体もそうである。
これまでは、体験版や購入したDLゲーなど、日々どんどん積まれていくゲームを眺めながら、でも古いのからプレイしなきゃなと思っているうちに、古いのも新しいのも忘れてさらに積まれてしまうという悪循環だった。
今後は、DL・購入したゲームは、とりあえず即開始する。一回はプレイしておく、ということに決めた。ちょっとでもプレイすれば面白いものは継続して遊ぼうと思うし、カスもすぐ判別が付く。なにより、1回でもプレイしたとなれば、その後積まれて野辺に朽ちたとしてもゲームとしても本望であろう。

と言う事で、昨日買ったこのゲーム。3DSのDL専売ゲーだ。人気作で、良いデキだという評判は漏れ聞いており、いつかプレイしたいなとは思っていた。
6/3より半額セールと言う事で、250円にてDL。

飛行機事故で謎の島に不時着したトレジャーハンターとなり、次々襲い来る50のピンチをくぐり抜けろ!という設定の、2D横スクロールジャンプアクションである。
操作はシンプルで、十字キーで左右移動としゃがみ・掴まり上がり、Aボタンでジャンプ、Bボタンでダッシュ、とこれだけである。
体力ゲージは無くミス一撃死。残機は無限で即リトライの今風アクション。
ワニがいたり、落とし穴があったり、落石が転がったりする、ノーミスなら10秒程度の短いゾーンを、次々クリアしてゆくタイプ。このゾーンの合間に「1」「2」と立て札が置いてあるので多分50ステージまであるのだろう。中断セーブ可能。全ステージクリアすると、クリアタイムなどでネットランキングに登録できるらしい。なので、とりあえずはクリアを目指そうか。

まだ序盤故難易度もさほどでなく、15分もフィールを掴みながらプレイしていたら10面までクリア。
続きはまた明日。
やられたときの叫び声が耳に残るね。


モバイル&ゲームスタジオ
ピンチ50連発!!

3DS/ハコボーイ/HAL研究所

ハル研謹製の佳作アクションパズル。DL専売で630円。

ハコ世界の住人キュービィ。彼は正方形のハコで出来ており、体からハコをつなげて生み出す事が出来る。イメージとしては、ヘビ花火を浮かべてもらうと理解しやすいかも知れない。生み出したハコをつなげたまま、または、切り離して使い、引っかけたり足場にしたり、敵をブロックしたり、スイッチを押したりして、ゴールに辿り着けばステージクリア。
ステージ毎に連続使用できるハコの数が決まっているので、じっくり工夫して攻略せよ!
やり込み要素としては、ステージに置かれた王冠をゲットしてからクリアするとステージセレクトに王冠マークが付く。

シンプルなモノクロ2D画面に、シンプルなハコキャラ。短めの面でサクサク進むアクションパズル。
チビチビと楽しむも良し、ガッツリ一気プレイも良し。一時期就寝前に1ワールドずつプレイしていたが、程よい充実感で安眠できた。

全22ワールド×各6~8ステージと結構なボリューム。無論全ステージコンプし全ワールドパーフェクトクリアした。通算プレイ時間は13時間ほど。
さらにクリア後のやり込み要素としては、ゲーム内ポイントでショップ購入するタイムアタックステージが16面。また、全ステージクリアするとワールドを通しプレイできるモードが追加され、タイム、使用ハコ数、リトライ回数が記録されるようになるので、これらの成績上位を目指すことが可能だ。
タイムアタックを半分ぐらいプレイして、まあ、こちらは終了かな。

ゲーム内で集めるメダルと交換できる、見た目を変えるコスチュームというアイテムがあるのだが、この終盤にもらえるコスチューム群がややチート性能をもつ。とくにジャンプ力が増す「うさぎ」は強力すぎでは。大半のギミックをジャンプ力でスルーできてしまう。入手後はずっとウサギを使用していた。

パズル難度はそこそこで、さくっと遊べる良作だ。相性が良さそうに思えばタイムアタックをやり込んでも良いだろう。お薦めの1本である。


HAL研究所
ハコボーイ

「ハンバーガーを待つ3分間」の値段 企画を見つける着眼術/斎藤由多加

時間が無いのでメモだけ。
以前読んだ、「社長業のオキテ」に引き続いての斎藤語録。
上記の書がやや社長業寄りであったのに対し、本書はややゲームクリエイター寄りか。
街の写真を撮るのが趣味の著者が、街中で見かけたちょっとした不思議、違和感、その他現象から、エッセンスを抜き出し、それをどうゲーム制作や経営に活かすか、という視点の妙がキモか。ビジネスマンなど一般向けのエッセイとしても読みでがあるだろう。

自作ゲーム「大玉」についての言及が面白かった。曰く、「このゲームで表現したかったことは戦国時代の「ワンマン」、つまり「一将功成りて万骨枯る」という構造でした」とある点か。自分のブログの大玉のエントリを読み返しても「戦争になれば人間は誰でもそういう指導者になるのだという真理」とか書いていて、表現としては成功だったねえ、と得心した。商業的には…言及すまい。

別の著作も読んでみようと思う。

斎藤由多加
「ハンバーガーを待つ3分間」の値段 企画を見つける着眼術

機械との競争/E・ブリニョルフソン/A・マカフィー/村井章子

結局まとめると、ムーアの法則に従って発展するデジタル技術は人類から仕事を奪うが、機械に代替できない仕事も残るので、そこで頑張れ、という話。
ここ10年の、景気回復しながらも雇用は拡大しないという歴史的にも異例のトレンドを傍証に、すぐ目の前まで来ている、機械が人間を追い越す、「チェス盤の残り半分の時代」に警鐘を鳴らす。

この手の本を読むといつも思うのだが、雇用という制度に縛られすぎだろう。
個人的には、仕事=苦役、と考えている。つまり、生存に不可欠な雑務がすなわち仕事である。なので、仕事が無い世界=誰も困ってない世界、つまりそれは理想の楽園であり、こんなハッピーな事はないだろう。誰の仕事も存在しない世界を、人類は究極的には目指しているはずである。

仕事とは、奪ったり、与えられたりする物では無い。

仕事とは、まず第一に自らの生存の為に行う庶務である。もし、自分一人が無人島にいるのなら、生存に必要なありとあらゆる作業が仕事である。これはある種の理想型であるが、効率という観点からは理想からはほど遠い。人は、複数人で作業を分担し助け合う事でより効率的に生存を勝ちうる事が出来る。これを社会という。社会の中で他人のために仕事を行うのは、とりもなおさず、その行為が自身の生存に帰結するからである。
この不変の真理を得心したのは、大学生になってすぐぐらいの時期だったように思う。それ以来、私は、自分が生きていく事、特に「社会での生存」について不安に思った事は全く無い。その後卒業し、数年会社勤めをしてから自営に転じて十数年、この真理に対する信奉は変わらない。
人生は実に単純である(簡単だとは言わない)。

もし、仕事が無いとぼやく人がいるのなら、視野狭窄して取り憑かれたように職安に通う他にも、出来る事があるだろう。今すぐ隣人の扉を叩いてこう言うのだ。「何か困っている事はありませんか?何か手伝える事はありませんか?」と。これは比喩的表現では無く、文字通りそうすべきと言う事である。
自らの生存に必要な条件を自分一人で満たせないなら、他の人に助けてもらうしかない。他の人に助けてもらえる条件は、唯一つ。その人を、別の何かで助ける事だ。仕事が無いから助けてくれ、などという要求はどだい道理が逆なのだ。誰かを助けるからこそ、自分も助けてもらえるのだ。
誰かを助ける才能も手段も無い人はどうすれば良いかと問うだろうか。明らかにそれは愚問である。そんな事を心配する暇があるなら、誰かの役に立つにはどうすれば良いかを考えて考えて追求し続ければ良いだけである。社会というものが相互扶助で成り立っている以上、誰の役にも立たない人は存在の余地が無いし、役に立つ努力すら放棄した人ならなおさらである。役に立つかどうかには才能や社会的立地や障害の有無などは関係ない。
例えば、世の中には、その人が生きていてくれるだけで嬉しい、という人がいる。家族である。私にとっては、例えば妻(と愛猫)は無条件で必須の存在である。もしもこうした関係性を持つ事が出来るなら、その関係グラフのノードの一端でも社会にアンカーされていれば、その集団は社会的存在を確立していると言える訳である。そうしたアンカーを補強する戦略が何も思いつかない、というのではさしずめ熟慮が足りないと言われてもやむを得ないであろう。
また、例えば、近所の人と挨拶をすると言う事を考えよう。別に親しくしたいわけでは無い。が、もしも、あなたが毎日にっこり笑顔で挨拶する事で、その人の生活に、何らかのプラスを与えているだとすれば、それは役に立つ、という事では無いか。失業し、資金も尽き、食べるものがなくなったときに,その人にこう言おう。「実は失業して食べるものが無いのです。もしよかったら何か分けてくれませんか」。きっと何か恵んでくれるだろう。それは、連綿と積み上げてきた、あなたの笑顔の挨拶の対価と言えよう。それが他人の役に立っていた、という証左でもある。

まじめな話、仕事が無くて困っているなら、「こんにちは。同じ町内の○○です。仕事無いので、何かお手伝いさせてもらえませんか。1時間千円で何でもやります」と町内を回れば良い。本当にこれを延々と実行してみて、それでもダメだった人だけが、「私は何の役にも立たない人間だ」と言えるだろう。そうでなければ、試す前からいじけている頭でっかちに過ぎない。
私はこの10年、自営業として、本質的にはこれと全く同様の事をして糊口をしのいできた。だからこそ自信を持って言えるが、失業など何も怖い事は無い。仕事は街にいくらでもある。一生懸命に、他人の役に立とうと走り回っていれば、自ずとちゃんとそれで食べていけるようになる。
仕事は与えられる物では無い。自分の専門は○○だとか、そんな職はやったことがないとか、固定観念にとらわれていては本質を見失う。自分は今、他人の役に立っているかどうか。役に立ってさえいれば、生きていける。
勘違いしないで欲しいのだが、博愛だとか自己犠牲の精神とか社会奉仕とか、そういうものでは無い。自分の為なのだ。人の役に立てば立つほど、より大きなものが自分に返ってくるからである。この文脈に貨幣が出てこなかった事に注意して欲しい。金では無いのだ。金は、単に役立ち度をはかる物差しに過ぎない。役に立つかどうかという本質にたてば、経済の変遷など、人生にとって、取るに足らない影響だと分かるだろう。

本書では、あくまで機械の性能の上限や適用限界を理由として、人間にしか出来ないニッチとしての「人間の仕事」が残る、というスタンスである。
しかし、私は、人間の仕事というものが、上記のように「他人の役に立つもの」という本質を持つことから、機械の進出に対して柔軟な対応が可能だ、という考えである。他人の役に立とうと思って働く限り、それは機械に代替する事が難しい分野で、機械に代替する事が難しい成果を上げるだろうから。

じゃあ、人間よりも人間の役に立つかどうかをひたすら考えて、ひたすら人間の役に立つように素晴らしく働く機械が席捲したらどうするかって?
どうもしませんよ。それこそが人類の理想郷では?


E・ブリニョルフソン/A・マカフィー/村井章子
機械との競争

先週読んだ漫画 15/05/17-05/30

またまたサボって2周分まとめて。

●本屋の森のあかり 12巻/磯谷友紀

最終巻。緑くん曰く、「ギリギリのとこで 全部 手に入れて いくんだよな」というあかり。夢も恋も手に入れた。いや、そうではない。どちらもまだ緒に付いたばかり。スタートラインに立って、ようやくこれからなのだ。まばゆい未来を思わせるラスト。栞さんと緑くんのアザーエピソード2本もなかなか素晴らしい。
本好き書店員が、書店と人生について思いを巡らすよいお話だった。程よく夢想的で、程よく現実的。
敢えて1点だけ難を書くと、この物語で扱われる本とは、ほとんどが「物語」である、という点か。前々から思っていたが、紙面に絵文字を並べて纏めて綴じたものを、なべて「本」という括りは広すぎる。マンガ、小説、写真集、実用書、資料集、論文、雑誌、これら全て本である。「索引が無いものは本とは呼ばない」と述べた人がいたが、僕自身、小説よりノンフィクションや実用書の方を好んでよく読むし、「本≒物語」というような扱いにはちょっと反感を感じないでも無い。「趣味は読書です」という人が実はマンガしか読んでなかった、という笑い話は、現代の感性ではやや古めかしい部類であろうが、「趣味は読書です」という人が実は小説しか読んでなかった、という笑い話的違和感を、このマンガでは感じたのである。物語、小説の素晴らしさをおとしめようと言うのでは無い。本屋という森には、物語以外の素晴らしい植物もたくさん茂っているのだよ、という事が言いたいだけである。


●宇宙兄弟 16-17巻/小山宙哉

月面の弟をがむしゃらに追う兄。事故のトラウマから深刻なパニック障害に陥り、月から永遠に遠ざかろうとしている弟。いつでも困難も課題も山積みだ。それでも投げ出さず、倦まず腐らず、目の前の課題一つだけを考えて、一つまた一つと乗り越えていく。それがこのマンガのもつ明るさであり、読みたい、彼ら兄弟の頑張りを見届けたいという、魅力の源泉である。今後の展開に期待大。


●こいつら100%伝説絶 2巻/岡田あーみん

ターミィや怪しい商売屋など、キャラ設定がこなれてきた。自身の締め切りネタに象徴されるように、仕事的にはかなりシビアな状況だったのだろうが、それだけに、皮膚を突き破る骨の如き、狂気寸前の表現のほとばしりは鬼気迫るモノがある。が、パターンとしては、ナンセンス展開の跡、とりあえず刺す切るの血まみれ展開が多く、好みが分かれるところか。3巻にも期待。