日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -68ページ目

軍用無人機の操縦風景





ハリウッド映画で、このところ頻繁に登場するようになった無人軍用機。



映画のなかでは大型ディスプレーに映し出される搭載カメラ映像で、まるでビデオゲームのように操縦しているシーンが見受けられるが、



実際には、10年前のゲームのような何の面白みもないオペレーション画面で操縦しているのだった。





こんな噂を耳にした事があった。



ある軍事拠点を、無人機で爆撃したその人物は、ゲームオタクだったと。





僕が夢想していた、人間の代用としてのロボット兵の登場も、



そう遠くない未来に実現しそうだ。





しかし、戦争自体、誰も望んでいない。



戦争など無い世界。



国家という概念が無くなる遠い遠い未来。



現時点では、それは想像すらできない。

ノイズ

二日ぶりに外出した。


猫のトイレ用砂と、思いつきでコーヒーメーカーが欲しくなったからだ。

酒のかわりに飲むものとして、コーヒーはおあつらえ向きだと思えたのだ。

ホームセンターへ向かった。

猫の砂を買い、コーヒーメーカーが並んでいる売り場へ行った。

俺はコーヒーメーカーを見比べたりしながら、その場に二十分くらい佇んでいた。

さんざん悩んだ挙げ句、俺はホームセンターを後にした。

頭の中に沸き起こる雑音に、俺は痛めつけられていた。

気分が悪くなるような、何ともいえない、ノイズ。


いったい何なのだ?


俺はその足で、ファミレスへ向かった。

平日の夕暮れ時、店の中は静かだった。

俺はほっとした。

ハンバーグとドリンクバーを注文した。

コーヒーを飲みながら、頭の中の雑音を追い出したかった。

飯を食ってしまうと、俺はコーヒーをゆっくりと飲んだ。

コーヒーは、美味くも不味くもなかった。

それでも、気のせいか少しだけ、気分はましになった。

二杯目のコーヒーに口を付けたとき、どこかの母子とその友人が空席ばかりの店内で、あろう事か俺の隣の席に着いた。


何てこった!


子供の話し声は気にならなかったが、興奮しきった主婦二人の話し声には、我慢ならなかった。

興奮の高まりとともに、早口になり、声が大きくなっていった。

それは、自我の拡大だった。

そんな事で、なにかが満たされる訳がないだろう。

後になって、気分が悪くなり、落ち込むだけだ。

そうなることを俺は知っている。


なぜならば、人間に自我なんて元々存在しないのだから。


分別のある大人は、大声で話したりはしない。

文字通り、大人とは、おとなしい人をいう。

常に落ち着いていて、穏やかに語る。

それが大人というものだろう?



俺は眼を閉じた。

頭の中のノイズが切迫したものに変わった。

俺を前へ向かわせる活力をすべてむさぼり食ってしまったようだ。

俺はゆっくりと眼を開き、カップの中を覗き込んだ。

どす黒いオイルのような液体がヌメヌメと輝き、底の方で揺らめいていた。

もう、コーヒーはごめんだった。

深い穴

精神的に、かなり落ち込んでいる。

何も手につかない。


やる気も起きない。


どうすれば、気分が上向くのだろう。



二日間。


一歩も外に出ていなかった。


頭が痛い。


眠れない。



そんな状況でも、何かを見つめ、何かを欲する事が出来るのだろうか。


ちらかった部屋にうんざりしながらも、何も手につかず、そのまま放置して



夜になり。

また朝が来る。



気力がわき上がるまで、


あと、


どれくらいかかるのだろう。


とにかく、 横になる事だ。


少しでも、眠らなければ。


もう、立ち止まってはいられないのだから。