ノイズ
二日ぶりに外出した。
猫のトイレ用砂と、思いつきでコーヒーメーカーが欲しくなったからだ。
酒のかわりに飲むものとして、コーヒーはおあつらえ向きだと思えたのだ。
ホームセンターへ向かった。
猫の砂を買い、コーヒーメーカーが並んでいる売り場へ行った。
俺はコーヒーメーカーを見比べたりしながら、その場に二十分くらい佇んでいた。
さんざん悩んだ挙げ句、俺はホームセンターを後にした。
頭の中に沸き起こる雑音に、俺は痛めつけられていた。
気分が悪くなるような、何ともいえない、ノイズ。
いったい何なのだ?
俺はその足で、ファミレスへ向かった。
平日の夕暮れ時、店の中は静かだった。
俺はほっとした。
ハンバーグとドリンクバーを注文した。
コーヒーを飲みながら、頭の中の雑音を追い出したかった。
飯を食ってしまうと、俺はコーヒーをゆっくりと飲んだ。
コーヒーは、美味くも不味くもなかった。
それでも、気のせいか少しだけ、気分はましになった。
二杯目のコーヒーに口を付けたとき、どこかの母子とその友人が空席ばかりの店内で、あろう事か俺の隣の席に着いた。
何てこった!
子供の話し声は気にならなかったが、興奮しきった主婦二人の話し声には、我慢ならなかった。
興奮の高まりとともに、早口になり、声が大きくなっていった。
それは、自我の拡大だった。
そんな事で、なにかが満たされる訳がないだろう。
後になって、気分が悪くなり、落ち込むだけだ。
そうなることを俺は知っている。
なぜならば、人間に自我なんて元々存在しないのだから。
分別のある大人は、大声で話したりはしない。
文字通り、大人とは、おとなしい人をいう。
常に落ち着いていて、穏やかに語る。
それが大人というものだろう?
俺は眼を閉じた。
頭の中のノイズが切迫したものに変わった。
俺を前へ向かわせる活力をすべてむさぼり食ってしまったようだ。
俺はゆっくりと眼を開き、カップの中を覗き込んだ。
どす黒いオイルのような液体がヌメヌメと輝き、底の方で揺らめいていた。
もう、コーヒーはごめんだった。
猫のトイレ用砂と、思いつきでコーヒーメーカーが欲しくなったからだ。
酒のかわりに飲むものとして、コーヒーはおあつらえ向きだと思えたのだ。
ホームセンターへ向かった。
猫の砂を買い、コーヒーメーカーが並んでいる売り場へ行った。
俺はコーヒーメーカーを見比べたりしながら、その場に二十分くらい佇んでいた。
さんざん悩んだ挙げ句、俺はホームセンターを後にした。
頭の中に沸き起こる雑音に、俺は痛めつけられていた。
気分が悪くなるような、何ともいえない、ノイズ。
いったい何なのだ?
俺はその足で、ファミレスへ向かった。
平日の夕暮れ時、店の中は静かだった。
俺はほっとした。
ハンバーグとドリンクバーを注文した。
コーヒーを飲みながら、頭の中の雑音を追い出したかった。
飯を食ってしまうと、俺はコーヒーをゆっくりと飲んだ。
コーヒーは、美味くも不味くもなかった。
それでも、気のせいか少しだけ、気分はましになった。
二杯目のコーヒーに口を付けたとき、どこかの母子とその友人が空席ばかりの店内で、あろう事か俺の隣の席に着いた。
何てこった!
子供の話し声は気にならなかったが、興奮しきった主婦二人の話し声には、我慢ならなかった。
興奮の高まりとともに、早口になり、声が大きくなっていった。
それは、自我の拡大だった。
そんな事で、なにかが満たされる訳がないだろう。
後になって、気分が悪くなり、落ち込むだけだ。
そうなることを俺は知っている。
なぜならば、人間に自我なんて元々存在しないのだから。
分別のある大人は、大声で話したりはしない。
文字通り、大人とは、おとなしい人をいう。
常に落ち着いていて、穏やかに語る。
それが大人というものだろう?
俺は眼を閉じた。
頭の中のノイズが切迫したものに変わった。
俺を前へ向かわせる活力をすべてむさぼり食ってしまったようだ。
俺はゆっくりと眼を開き、カップの中を覗き込んだ。
どす黒いオイルのような液体がヌメヌメと輝き、底の方で揺らめいていた。
もう、コーヒーはごめんだった。