詩 それはまるで、エリザベスタウン
深夜。
突然の電話に、
僕は驚いたし、
うれしかったんだ。
君はどんどんしゃべって、
僕はそれを聞いていた。
何かが始まる予感を、
感じながら。
まるで、エリザベスタウンじゃないかと、
僕は思ったんだ。
以前話さなかったっけ?
僕が一番好きなラブストーリームービーさ。
君がキルスティンダンストで、
僕は、
ははははは~
オーランドブルームってか。
君はキルスティンよりグッとくるし、
とても美しいけれども、
僕がオーランドブルームってのはちょっと言い過ぎかな。
せいぜい、ブルースウイリスってことでおさめておくれ。
僕が眼を開けると、君がいた。
僕が永遠に眼を閉じようとしたとき、
君が僕を眼醒めさせてくれた。
君と一緒に、
エリザベスタウンへ行こう。
手をつないで、
屋台で何か食べながら、
君と一緒に、
エリザベスタウンへ行こう。
屋台で買ったコークで、
一緒に乾杯さ。
君をおんぶして、
アイスクリームを舐めながら。
さあ、
エリザベスタウンへ行こう。
こっちへおいで。
僕は君に恋したんだ。
エリザベスタウン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]/オーランド・ブルーム,キルスティン・ダンスト

¥1,500
Amazon.co.jp
突然の電話に、
僕は驚いたし、
うれしかったんだ。
君はどんどんしゃべって、
僕はそれを聞いていた。
何かが始まる予感を、
感じながら。
まるで、エリザベスタウンじゃないかと、
僕は思ったんだ。
以前話さなかったっけ?
僕が一番好きなラブストーリームービーさ。
君がキルスティンダンストで、
僕は、
ははははは~
オーランドブルームってか。
君はキルスティンよりグッとくるし、
とても美しいけれども、
僕がオーランドブルームってのはちょっと言い過ぎかな。
せいぜい、ブルースウイリスってことでおさめておくれ。
僕が眼を開けると、君がいた。
僕が永遠に眼を閉じようとしたとき、
君が僕を眼醒めさせてくれた。
君と一緒に、
エリザベスタウンへ行こう。
手をつないで、
屋台で何か食べながら、
君と一緒に、
エリザベスタウンへ行こう。
屋台で買ったコークで、
一緒に乾杯さ。
君をおんぶして、
アイスクリームを舐めながら。
さあ、
エリザベスタウンへ行こう。
こっちへおいで。
僕は君に恋したんだ。
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かわいそうな
早朝。
会社の通用口を出る。
外はまだ濃厚に、夏の香りがした。
深夜勤務から解放され、放心状態で駐車場を歩いていると、
携帯にメールの着信があった。
娘の母親からのもので、
九時には家を出ろとの約束は、
絶対に忘れるな、というような内容だった。
俺はそんな辛辣なメールに、
今までとは違った感慨を覚えたのだった。
過去に、娘の母親に対して抱いていた感情とは、
怒りだったり、
恐怖だったり、
憎しみだったり。
しかし、
そう言った感情は今は無く、
俺は何故か、娘の母親が酷くかわいそうに思えてならなかった。
何故なのだろう。
何としてでも、俺と娘を引き合わせたくないのはもちろんの事、
自分自身も、俺と会いたくないと言ったような、
ある意味、ひどく子供じみたその所行に?
別れた後、他人となった俺に対して、
今も変わらずの憎悪を抱くその妄執に?
俺は空しくもなり、また、娘の母親のどうしようもない屈託を感じ、
そして、
娘の事を思った。
娘の母親の、負の感情。
その矛先が、娘に向かわなければよいのだが。
なんてこった。
結果、
俺は夜勤明けに家に帰る事が出来ずに、
そのまま車でぶらぶらするはめになった。
マクドナルドでバーガーとコーヒーで時間をつぶす。
それから車の中で仮眠し、
家に帰る頃合いを待った。
暗くなってから家に帰る。
娘の母親が買った、三種類の運動器具はそのままだった。
予想通り、ファンヒーターが無くなっていた。
ソファーがそのままだったのは、有り難かった。
猫も、そのままだった。
厄介なものは置いて行く。
俺も。
猫も。
そして、
ブラウン管のアナログテレビも。
人生の主従関係。
もう終わったのだ。
安心しろ。
そう。
もう、終わったのだ。
会社の通用口を出る。
外はまだ濃厚に、夏の香りがした。
深夜勤務から解放され、放心状態で駐車場を歩いていると、
携帯にメールの着信があった。
娘の母親からのもので、
九時には家を出ろとの約束は、
絶対に忘れるな、というような内容だった。
俺はそんな辛辣なメールに、
今までとは違った感慨を覚えたのだった。
過去に、娘の母親に対して抱いていた感情とは、
怒りだったり、
恐怖だったり、
憎しみだったり。
しかし、
そう言った感情は今は無く、
俺は何故か、娘の母親が酷くかわいそうに思えてならなかった。
何故なのだろう。
何としてでも、俺と娘を引き合わせたくないのはもちろんの事、
自分自身も、俺と会いたくないと言ったような、
ある意味、ひどく子供じみたその所行に?
別れた後、他人となった俺に対して、
今も変わらずの憎悪を抱くその妄執に?
俺は空しくもなり、また、娘の母親のどうしようもない屈託を感じ、
そして、
娘の事を思った。
娘の母親の、負の感情。
その矛先が、娘に向かわなければよいのだが。
なんてこった。
結果、
俺は夜勤明けに家に帰る事が出来ずに、
そのまま車でぶらぶらするはめになった。
マクドナルドでバーガーとコーヒーで時間をつぶす。
それから車の中で仮眠し、
家に帰る頃合いを待った。
暗くなってから家に帰る。
娘の母親が買った、三種類の運動器具はそのままだった。
予想通り、ファンヒーターが無くなっていた。
ソファーがそのままだったのは、有り難かった。
猫も、そのままだった。
厄介なものは置いて行く。
俺も。
猫も。
そして、
ブラウン管のアナログテレビも。
人生の主従関係。
もう終わったのだ。
安心しろ。
そう。
もう、終わったのだ。
悪夢、それはありふれたこと。
「酷く胸が悪くなって。まるで犬の糞を食ったみたいだった。吐いたら黒いもんが出て来たよ」
「いったい何食ったんだい?」
「何も。何も食ってない」
「………」
「とにかく腹が痛くて、むかついて、眠れなかったんだ。おまけに鼻血まで出て来た」
「おいおい、大丈夫か?」
「ああ、血は吐かなかったよ。しかしな」
「しかし、何だ?」
「仕事は休んだ」
「………」
「何だかおかしくなっちまったのかな。俺の体」
「風でもひいたんだろう。そんなところだろう、心配すんな」
「今日は気分がいいんだ。窓を開けてると、風も心地いいな。暑さも去ったのかもな」
「ああ、こっちも快適だぜ。また、会おう」
「またな」
目覚めると、外は暗く、
仕事に行く準備をしなければならなかった。
目覚める前、嫌な夢を観た。
訳の分からない黒い影が出て来て、
俺にこう言うのだ。
~本気で死ぬ気なら、十階建て以上のビルから飛び降りる事だ。
おそらくお前は、飛び降りた瞬間後悔する事だろう。
しかし、
そのとき既に遅し。
どうあがいても、二、三秒後にはあの世行きだ。
その二、三秒。
その短い一瞬で、人の生を悟るのさ~
仕事に出かける前に、米を炊いた。
卵と豆腐を炒める。
虫の鳴き声。
車の走りすぎる音。
それらは何のリアリティーも無く、
夢の中の言葉が、
いつまでも、
頭の中に響いている。
単なる夢だった。
どうという事も無い。
数時間後に仕事だ。
ただそれだけ。
まったくもって、
なんてこともない。
気にしない事だ。
冗談じゃない。
俺は気分がいい。
今までになく、気分がいい。
ああ。
そういうこと。
「いったい何食ったんだい?」
「何も。何も食ってない」
「………」
「とにかく腹が痛くて、むかついて、眠れなかったんだ。おまけに鼻血まで出て来た」
「おいおい、大丈夫か?」
「ああ、血は吐かなかったよ。しかしな」
「しかし、何だ?」
「仕事は休んだ」
「………」
「何だかおかしくなっちまったのかな。俺の体」
「風でもひいたんだろう。そんなところだろう、心配すんな」
「今日は気分がいいんだ。窓を開けてると、風も心地いいな。暑さも去ったのかもな」
「ああ、こっちも快適だぜ。また、会おう」
「またな」
目覚めると、外は暗く、
仕事に行く準備をしなければならなかった。
目覚める前、嫌な夢を観た。
訳の分からない黒い影が出て来て、
俺にこう言うのだ。
~本気で死ぬ気なら、十階建て以上のビルから飛び降りる事だ。
おそらくお前は、飛び降りた瞬間後悔する事だろう。
しかし、
そのとき既に遅し。
どうあがいても、二、三秒後にはあの世行きだ。
その二、三秒。
その短い一瞬で、人の生を悟るのさ~
仕事に出かける前に、米を炊いた。
卵と豆腐を炒める。
虫の鳴き声。
車の走りすぎる音。
それらは何のリアリティーも無く、
夢の中の言葉が、
いつまでも、
頭の中に響いている。
単なる夢だった。
どうという事も無い。
数時間後に仕事だ。
ただそれだけ。
まったくもって、
なんてこともない。
気にしない事だ。
冗談じゃない。
俺は気分がいい。
今までになく、気分がいい。
ああ。
そういうこと。