日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -48ページ目

穿つんだ。そこから始まる

給与明細が渡された。

その場で破り捨てたくなるような内容だった。

今月。

来月。

そのまた先。

俺は凌ぎ切る事が出来るのだろうか?


それ以前に、


俺はいつになったら、娘達に養育費を支払えるようになるのだろう?



このままじゃだめだ。


コネも学歴も何も無い子持ちバツ二のエリンブロコビッチは、

預金残高が七十四ドルだったが、

無理矢理転がり込んだ法律事務所で偉業を成し遂げた。

エリン・ブロコビッチ コレクターズ・エディション [DVD]/ジュリア・ロバーツ.アルバート・フィニー.アーロン・エッカート

¥1,980
Amazon.co.jp


だれにだってチャンスはある?

それとも、

チャンスは溢れんばかりの才気に満ちた者にのみ与えられるもの?




隣で、

一緒に入社した同僚が何やらひそひそ話をしている。


なんてこった。

面接に行って来た。採用させそうだなどと話している。



劇薬物をぞんざいに取り扱う職場だった。


カレーに混ぜて食ったらあの世行きのものとか、

漏れたら全員がふっ飛んでしまうものとか、

(俺は七三一部隊の実験施設にでもいるのか)


そんなものが、

時にして床にこぼれ落ち、

それを職員が掃除機で吸ったりしている。


その場所で俺は作業しているのに。


ひょっとして、

近頃とんでもなく体調が悪いのは、

そのせい?




会社に行くとゲームの話とか、

パチンコの話とか、

どこかで花火大会があるだとか。


もううんざりだった。


この牢獄から脱出するためには、

おれは腐りかけたコンクリートの壁に穴をあけ、

少しずつ広げて行かねばならない。






時がくればそれは聞こえる。


そうだろう??

ギター

押し入れからギターを引っ張りだした。

何年か前に、買ったものだ。

本屋においてあったその安物のギターが欲しいと、

娘の母親に訴えたとき、

何故か反対する事はなく、

買う事を許してくれた。



それからそのギターを弾く事はほとんどなく、

押し入れの中だった。


当然だった。


弾く暇もなく、

家では弾く場所もなかった。


俺はギターをチューニングし、弾き始める。

E

C

D


Cを押さえるとき、

人差し指がスチール弦に食い込んで痛かった。


いつもその辺りで、挫折する。


中学生か高校生くらいのときも、

母にねだって、買ってもらったっけ。


人生もギターも、練習あるのみだ。


痛みを伴っても、じっと耐えるべきなのだ。


そのうち指先も固くなり、


痛みは消える。





今週も妙な時間からのシフトだった。



午後三時、始業。


まったくもって、ご苦労さん。




俺はギターをいじりながら、


何かを考えていた。


天気の事?

お金の事?

いるわけもない恋人の事?



結局は何を考えていたか。


今はもう、思い出せなかった。


さてと、


米でも研ぐとしよう。

シャッターアイランド〜ネタばれ注意

この記事はネタバレの恐れがあります。

映画を見る予定の方は、より映画を楽しめるようここから先は、

読まないでください。









最後の百円玉だった。

さて、


これで何かおかずを買うか、それとも?

体の滋養じゃなく、

心の滋養になるような事に、

使えないか?


俺は決断した。



これで、映画を観よう。

DVDだ。



レンタル屋に行き、以前から観たかったシャッターアイランドを借りた。

シャッター アイランド [DVD]/レオナルド・ディカプリオ,マーク・ラファロ,ベン・キングズレー

¥4,179
Amazon.co.jp

かなり凝ったサスペンスのようだった。

それを想像させるように、

この映画の予告で、こんなことを言っている。

「あなたは上映開始から何分で、この謎を解けるか」


映画は連邦捜査官の主人公とその相棒二人が、

船で、ある島に渡る所から始まった。

そこは完全な孤島で、監獄のような病院施設がある。

脱獄(いや逃亡か)は不可能だと言うが、

ひとりのかなりやばい女性患者が、扉も開いていない部屋からいなくなってしまった。

そこで、捜査官の主人公が登場する。


冒頭、

酷い船酔いで苦しむ主人公のデカプリオが、

甲板に出てくると、

外は曇り空で、

空の様子が異様だった。


既視感?

白昼夢?

妄想?


そう言ったものを感じさせるあきらかな意図を、

不穏な風景演出に俺は感じ取った。


俺はそのとき、この映画の結末について嫌な予感を覚えた。


「まさか、夢オチってことはないよな」


サスペンス映画の結末は、ほぼ出尽くしていると言っていい。

観客に予想出来ないような結末を用意するなど、

至難の業だろう。



しかしながら、

サスペンスで夢オチはタブーだと、俺は思う。


どんなにあり得ない仕掛けでも、

これは夢でしたよということですべてに整合性がとれてしまう。

つまり、

サスペンスでも何でもなくなってしまうわけだ。

ただし、インセプションのように夢に入って行くような話は別だ。

オチが夢でなく、話自体が夢だからだ。


夢オチに近い必殺技が、

過去の映画に何度も登場している。


それは、いわゆる宇宙人オチというやつだ。

これは、かの有名な映画監督も採用し、話題となったその映画はさほど評価される事もなかった。

(その監督は数々の傑作宇宙人モノを撮っていたのだが、まさかあの映画でそれをやるとは!)


話を戻そう。


俺は映画を観て行くうちに、

俺の想像もあながち間違いじゃなかったと悟る。



こいつは驚きの結末だった。


もっとも、


俺は三分の一くらい話が進んだ時点で、

ひょっとしてと思い、

物語の半分くらいで確信をもった。


まいったね。


サスペンスはどうしてもこうなってしまう。


謎解きだからしょうがないか。


謎解きに夢中で物語に没入出来ないなんて、


なんだかとても悲しいことだね。




ここで、とっておきの映画をご紹介しよう。

この映画の結末は凄い。

是非観て欲しいと思う。


一つ目がクローン。

とんでもない結末に、俺は驚いた。

クローン [DVD]/ゲイリー・シニーズ,マデリーン・ストウ

¥4,935
Amazon.co.jp



二つ目が、ミスト。

こんな結末でいいのって感じ。ぶっ飛んでる。

観賞後、パーフェクトなブルーに。

ミスト [DVD]/トーマス・ジェーン,マーシャ・ゲイ・ハーデン,ローリー・ホールデン

¥3,990
Amazon.co.jp