穿つんだ。そこから始まる | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

穿つんだ。そこから始まる

給与明細が渡された。

その場で破り捨てたくなるような内容だった。

今月。

来月。

そのまた先。

俺は凌ぎ切る事が出来るのだろうか?


それ以前に、


俺はいつになったら、娘達に養育費を支払えるようになるのだろう?



このままじゃだめだ。


コネも学歴も何も無い子持ちバツ二のエリンブロコビッチは、

預金残高が七十四ドルだったが、

無理矢理転がり込んだ法律事務所で偉業を成し遂げた。

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だれにだってチャンスはある?

それとも、

チャンスは溢れんばかりの才気に満ちた者にのみ与えられるもの?




隣で、

一緒に入社した同僚が何やらひそひそ話をしている。


なんてこった。

面接に行って来た。採用させそうだなどと話している。



劇薬物をぞんざいに取り扱う職場だった。


カレーに混ぜて食ったらあの世行きのものとか、

漏れたら全員がふっ飛んでしまうものとか、

(俺は七三一部隊の実験施設にでもいるのか)


そんなものが、

時にして床にこぼれ落ち、

それを職員が掃除機で吸ったりしている。


その場所で俺は作業しているのに。


ひょっとして、

近頃とんでもなく体調が悪いのは、

そのせい?




会社に行くとゲームの話とか、

パチンコの話とか、

どこかで花火大会があるだとか。


もううんざりだった。


この牢獄から脱出するためには、

おれは腐りかけたコンクリートの壁に穴をあけ、

少しずつ広げて行かねばならない。






時がくればそれは聞こえる。


そうだろう??