日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -289ページ目

俺流炒飯

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油をひき、卵と飯を入れて炒める。

そこに玉葱か長葱を入れる。

仕上に、塩と胡椒を振り掛ける。

それで終わりだ。

最近は、鰹だしのもとを振り掛けたりもする。


今度は、キムチを入れようと思う。


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テーブルの上に、紙切れが置かれていた。

よく見ると、娘の描いた絵であった。

クレオンが散らばったままになっている。

拾い上げてケースに入れた。

誰もいない部屋で、娘の絵を観続けていた。


お父ちゃんを描いてごらん。

そう言うと、器用に手首を返して円を描く。

次はわんわんを描いて。

そのまま、すぐ横のスペースにクレオンを走らせる。

描かれたものは、俺の顔と同じような円だった。


娘の後ろ姿をみて、子供の頃を思い出したのだった。

兄弟のいない俺は、家の中で一人、絵を描いたりして過ごした。

お袋に、兄弟が欲しいと言った事がある。

お父さんに相談するね。

そう言って、お袋は笑っていた。


娘には悪いことをした。


弟や妹と遊ぶことは多分ないだろう。

妻が娘に、兄弟が欲しいと言われたとき、何と答えるのだろうか。

そんなことを考えると、暗いものが目の前を覆った。

一人でねんこ

PCモニターの、右下にある時計に目をやった。

午前3時をまわっている。



眠れない。


いつものように、娘を寝かしつけているうちに眠ってしまったようだ。

3時間くらいは寝たのか。

午前0時に妻が部屋に入ってくることで、起こされたのだった。

自室に戻り、ぼんやりとしていた。



ふと、娘が二日前に言った事を思い出した。


「おとうちゃん、おかあちゃんといっしょにねんこしないの」


娘の唐突な質問に、妻はしばし沈黙した。

そして、こう言って笑ったのだった。



「おとうちゃんは、一人でねんこするんだよ」



PCの電源を落とし、布団へ潜り込んだ。

目を閉じると、紫色の残像のようなものがちらついていた。

やはり、眠れなかった。



もう一度、PCの電源を入れた。

ぼんやりとした意識のまま、キーを叩く。


得体のしれないものが、込み上げてきた。

俺は、腹の底に溜まった、どす黒いものを感じずにはいられなかった。