おこずかい
交通費も込みである。
いつも、何回かに分けて、手渡される。
つまりは、交通費以外に使う分などないのだった。
予定が立たない。
本を買っても、ガソリンを入れる金が心もたなくなる。
月初めに全額渡してくれれば、やりようはあった。
今月は昼飯も、節約した。
一食、100円である。
それでも、赤字になった。
今回も、親父の残したものを骨董屋に売るしかなくなったのだった。
妻に金をくれなどと、とてもいえない。
家計が苦しいということは、よくわかっているからだ。
それでも、この映画だけは観に行きたかった。
スターウォーズエピソード3。
このまま、観に行けないのかもしれないと思うと、叫びだしたくなった。
三年間、待ち望んだ小さな楽しみである。
そして、半分あきらめた。
帰りに図書館へ寄って、ハードカバーの小説を借りた。
これで我慢しよう。
家へ帰り、誰もいない居間で読み始めた。
読んでいるときだけ、絶望感を忘れられた。
もう少しで、妻が帰宅する。
それまでに食器を洗い、風呂を洗えばいい。
時計に目をやって、時間を逆算する。
そして、活字に目を戻した。
頭の中に、碧い海が広がっていた。
主人公は、ひとり船で外洋に釣りに出ていた。
海に行きたい。
そう考える俺は、愚かではないのか。
海も、二度と行けないだろう。
そう考えても、今度は何も感じなかった。
調味料バトン
aysya様より、調味料バトンをいただきました。
娘は調味料が大好きで、いつの間にか、冷蔵庫から取り出したケチャップを舐めていたりします。
マヨネーズも大好きで、おかずそっちのけで指ですくって舐めまくります。
最近は、見つからないように、冷蔵庫の奥底に隠しているようです。
では、はじめます。
Q1☆次のメニューに調味料はかけましたか?薬味は含みません。
目玉焼き →食べるときに醤油
納豆 →付属のたれプラス醤油
冷奴 →醤油またはポン酢
餃子 →酢とラー油のみ(醤油は入れない。これ、こだわり)
カレーライス →辛さ倍増スパイス。ココイチで購入
ナポリタン →タバスコか島唐辛子
ピザ →タバスコか島唐辛子
生キャベツ →マヨネーズ(実はマヨラーです)
トマト →塩
サラダ →マヨネーズかサウザン
カキフライ →タルタルソースまたはマヨネーズ
メンチカツ →何もかけない。時々マヨネーズ
コロッケ →何もかけない。やはり時々マヨネーズ
てんぷら →大根おろし入りのつゆ(一度民宿で辛味噌で食ったことあり)
とんかつ →ソース
ご飯(おかずが無い時) →生卵とめんつゆ
Q2☆周囲に意外と驚かれる好きな組み合わせは?
何でもオリーブオイル。(チャーハン、目玉焼きその他、すべてにオリーブオイル)
卵かけご飯にひと振りも美味。
妻が得意としているしゃけ餅。(焼いた鮭を餅にのせて食べるというもの)
Q3☆それが一般的だと分かっているのに苦手な組み合わせは?
ハンバーガーの中に入っているピクルス。
なぜにあんなものを入れるのか。
その分、フレッシュなオニオンを多く入れてくれ。
Q4☆バトンを回したい5名は誰ですか?
gulistan さま
candy-69 さま
radiation さま
shinkon-bangohan さま
91fj1200-3xw さま
もしよろしかったら、バトン受けてくださいね。
深夜の葬儀
深夜、誰もいない住宅街を、俺はひとり歩いていた。
青白い外灯に照らし出された、一軒の小さな平屋建てにたどり着いた。
ブロック塀に囲まれていて、道側の窓が全部開け放たれている。
やはり、寒々とした青白い光が漏れていた。
叔母が立っていた。
喪服を着ている。
誰か死んだのか。
深夜に葬儀とは、おかしな話だった。
それでも、あまり深くは考えなかった。
そのまま家に上がった。
和室が二つ並んでいる。
一つ目の部屋に、娘がいた。
いつものように、こちらを見て笑っている。
妻はすでに来ているのか。
そんなことを考えていると、背後から声がした。
祖母の声だった。
俺の名を呼んでいる。
そして、これは祖母の葬儀だと何故か確信したのだった。
奥の部屋に、祭壇がしつらえてあった。
遺影をみて、はっとした。
喪服を着た祖母の姿が写っているのだが、何故か鼻から下しか写っていない。
口だけが写っていて、その上は枠からはみ出ているのである。
顔が映っていない状態と同じだった。
へたくそな写真だと思うより、恐怖に駆られた。
どうしても、写真から目を離すことが出来なかった。
そして、その写真の、わずかに写った顔の部分が、徐々に俺の顔に変わっていった。
胸に大きな衝撃がきたように思えた瞬間に目が覚めた。
悪夢。
自分の葬儀を、見たような気分になっていた。
そこに、妻はいなかった。
娘がこちらを見て笑っていただけだ。
そして、祖母は8年前に亡くなっている。
死んだ方がましだと、なんとなく思う時がある。
本気ではない。
自虐的に夢想するだけだ。
だから、こんな夢を観たのか。
起き上がり、そのままベッドの上に座って、じっとしていた。
体中の、節々が痛かった。
目を閉じる。
娘の笑顔が、いつまでも頭の裏側に張り付いていた。